アメリカと日本の経済動向と金融政策の見通し
アメリカ
01.景気のイメージ
23年2.3%、24年1.7%に成長率を上方修正。堅調な雇用等から23年7-9月期は上振れる公算が大きい。先行きは財政刺激のピークアウト、利上げ効果等から成長はやや鈍化するとしても後退に陥るリスクは低い。問題は引き続きインフレ。需要が底堅く失業率が低位に留まる中では、賃金上昇・インフレ率が下げ渋る可能性が無視できない。
02.金融政策(今後1年程度)
追加利上げ余地が残る
FRBは9月は政策金利を据え置き、11月に0.25%の利上げを追加、その後様子見に転ずると予想。従来24年7-9月以降の利下げを予想してきたが、米景気の堅調を考慮し、25年初以降に修正。中立金利を巡る議論、及び長期金利上昇が金融システムに与える影響に注意したい。
日本
01.景気のイメージ
23年4-6月の成長上振れを受け23年度見通しを2.5%に上方修正。24年度(1.1%)は据え置き。米見通しの上方修正などもあり外需の見通しが改善。先行き、外需は鈍化しようが、内需・インバウンド消費が下支えとなろう。円安を受けインフレ見通しを若干上方修正したが、コストプッシュ圧力が減衰し、コアCPIは減速基調を辿る公算が大きい。
02.金融政策(今後1年程度)
YCCを修正したが金融緩和の大枠は維持
日銀は7月の会合でYCCを修正し、1%の上限を設けつつ、0.5%を超える金利上昇を容認することで、YCCの副作用に対して布石を打った。これにより追加的な対応を行う必要性は当面低下。インフレ目標達成には距離があり、YCC・マイナス金利という緩和の枠組みは維持されよう。為替の動向に留意。
※太字は注目点を示す。FFRB:米連邦準備制度理事会。CPI:消費者物価指数。YCC:イールドカーブ・コントロール。 ※各種報道等を基に三井住友DSアセットマネジメント作成。 ※掲載内容は2023年9月5日時点のものです。
IFAの用語解説「デフレーター上昇」
デフレーターとは、物価動向を把握するための指数の一つです。
物価動向を把握する際に名目値と実質値の2つがあります。デフレーターを求める際の計算式は以下のとおりです。
デフレーター=名目値÷実質値
※名目値(現在実際に取引されている価格を表した値) ※実質値(基準年の物価を基準に、名目値から物価の変動要素を取り除いた値)
デフレーターの上昇とは、価格上昇の圧力が高いことを指します。
- デフレーターが1以上→基準年と比べて物価が上昇 (インフレ)
- デフレーターが1未満→基準年と比べて物価が下落 (デフレ)
代表的なデフレーターを用いた指数として、GDPデフレーターがあります。これは、物価動向を測る指数であり、景気の判断を仰ぐための材料となります。 消費や公共投資、設備投資など国内で行われた生産活動の大半を含めており、国内経済の全体的な物価動向を表す包括的な指標です。ただし、GDPデフレーターには輸入価格の上昇による影響は反映されません。
IFAの用語解説「中立金利」
中立金利とは経済(景気)に対して、刺激も与えず抑制することもない中立的な水準の金利のことです。自然利子率、均衡実質金利とも呼ばれます。このような水準で金利が中・長期的に推移しているとすれば、その国の経済は安定しているといえます。
中立金利は、金融政策を決定する中央銀行にとっては、政策が経済に刺激を与えているのか抑制しているのかを測る材料となります。
この中立金利を推計する際に必要となるのが実質金利です。実質金利は、預金金利や債券の表面利率などの名目金利から、予想される物価の上昇率を差し引いて求めます。
実質金利が低いと、多くの人がお金を借りたくなります。その結果、金利は上がります。逆に、実質金利が高いと、お金を借りる人が少なくなり、金利は下がります。この実質金利が、資金需要に対して高くもなければ低くもない水準が中立金利ということです。
このコラムの執筆者
MONEY HUB PLUS 編集部
株式会社Fan
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