この記事のポイント
- 本業に支障をきたさない「手間なく継続できる仕組み」づくりが大切:医師は重い税負担や激務により、運用を考える時間が不足しがち。本業に影響を与えず自動で継続できる仕組みの構築が重要である。
- 「コア・サテライト戦略」で投資信託と個別債券を組み合わせる:資産の多くを「コア(守り)」として投資信託や個別債券で堅実に運用し、一部を「サテライト(攻め)」に充てるアプローチが効果的である。
- 最初の「設計」と「その後のメンテナンス」にこそ専門家(IFA)を:自動運用だからこそ放置リスクが伴う。初期の配分設計だけでなく、状況変化に応じたリバランスやライフステージの変化に対応するため、IFAの活用が推奨される。
毎日の診療、当直、緊急時の呼び出し…… 目の前の患者様のために日々尽力されている先生方、本当にお疲れ様です。
ふと一息ついたとき、こんな悩みや違和感を抱くことはありませんか?
- 額面の年収は高いはずなのに、税金や諸経費で引かれ、手元の預金は意外と増えていない
- 様々な投資の提案を受ける機会はあるものの、多忙ゆえにじっくり検討する余裕がない
- 将来のために何かすべきだとは思うが、勉強する時間も選ぶ時間もない
実は、多くの医師の先生方が同じような悩みを抱えています。
医療のプロフェッショナルである先生方でも、ご自身の資産形成については「後回し」や「非効率な選択」になってしまいがちなのが現実です。
この記事では、忙しい先生方が本業に集中しながら、将来の不安を解消するための「手間なく堅実」な資産形成術について解説します。
※本記事で紹介する内容は、医師という職業の一般的な傾向に基づいたものです。実際の勤務実態、収入状況、資産運用の目的は、勤務形態(勤務医・開業医)やご専門、ライフステージ等によって大きく異なります。すべての方に一律に当てはまるものではない点をご留意いただき、一つの参考としてお読みください。
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なぜ「医師」に資産運用が必要なのか?
「医師は高収入だから、資産運用なんてしなくても安泰だろう」というイメージを持たれることもありますが、実際には他の職業と同様、一人ひとりが異なるキャリアの不安や課題を抱えています。
体力を削っての働き方であったり、将来の開業を見据えていたりと、「現在の労働収入が将来も変わらず維持される保証」はどこにもありません。こうした中で、特に意識すべきは「税金」、「インフレ(物価上昇)」、そして「退職金」という3つの壁です。
①累進課税による「税金の壁」
日本の所得税は累進課税制度をとっており、所得が高いほど税率が上がります。例えば、課税所得が1,800万円を超えると所得税率は40%、4,000万円を超えると最高税率の45%となります(住民税と合わせると最大55%)。
つまり、労働時間を増やして必死に額面収入を上げても、その半分近くが税金として引かれてしまう現実があります。労働による収入を増やすアプローチだけでは、手元に残る資産を効率的に増やすのが難しいという限界が存在するのです。
②現金預金の価値を減らす「インフレ(物価上昇)の壁」
さらに追い打ちをかけるのが、近年の顕著な物価上昇(インフレ)です。
「投資は怖いから、とりあえず預貯金で持っておこう」と考えがちですが、インフレ局面においては、現金をそのまま預貯金として持っているだけでは実質的な資産価値が目減りしてしまいます。
この「重い税負担」と「インフレ」の挟み撃ちに対抗するためには、税制優遇制度を活用しつつ、「お金そのものに働いてもらう(資産収入を得る)」仕組みづくりが重要になります。
③勤務形態によって異なる「退職金(老後)の壁」
勤務医の先生方の場合、勤務先の病院によっては退職金制度が十分に整備されていないケースが少なくありません。また、開業医の先生にはそもそも退職金がありません。
現役時代の生活水準を維持しながらセカンドライフを迎えるには、まとまった引退資金が必要になります。しかし、先生方はあまりに多忙です。診療の合間を縫って株価を頻繁にチェックしたり、不動産の管理状況を確認したりすることは現実的ではありません。
だからこそ、日々の業務に支障をきたすことなく、手間をかけずに継続できる資産形成の仕組みを、現役のうちに構築しておくことが重要です。
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医師のための「コア・サテライト」戦略
では、時間のない先生方はどのような運用を目指すべきでしょうか? 推奨されるのは、保有資産を「コア(守り・安定)」と「サテライト(攻め・積極)」に分けて運用する「コア・サテライト戦略」です。
コア(守り・安定):資産の7〜8割
資産の核となる部分は、大きく勝つことよりも「負けないこと」を重視し、手堅く守りながら増やす仕組みを作ります。主に以下の2つの手段を活用します。
① 投資信託による「長期・積立・分散」
世界中の株式や債券に分散投資する「投資信託」を活用します。
特に「NISA(少額投資非課税制度)」や「iDeCo(個人型確定拠出年金)」といった非課税制度を活用することで、税制メリットを享受できます。これらは一度設定してしまえば、あとは毎月自動的に積み立てられるため、基本的には「ほったらかし」で資産形成が進行します。
② 中期資金としての「個別債券」
既に預金口座にある程度のまとまった資金があり、「5年〜10年後に使うかもしれない(開業資金や教育資金など)」という性質の資金については、個別債券(米国債や格付けの高い社債など)も有力なコア(守り)の選択肢となります。
投資信託とは異なりあらかじめ満期(償還日)が決まっているため、途中の価格変動に気を揉むことなく、「満期まで保有する」ことを前提とすれば、リスクを抑えつつインフレに対抗する利子を受け取ることができます。
※ただし、発行体の信用状況や市場環境によっては元本割れのリスクが生じる点には留意が必要です。
サテライト(攻め・積極):資産の2〜3割
残りの2〜3割で、より高いリターンを目指す運用や、個別のニーズに合わせた投資を検討します。具体的には「個別株式」や「不動産投資」などが挙げられます。
ただし、特に不動産は物件選定や管理の手間、空室リスクなどが伴います。「節税になるから」という理由だけで安易に始めると、管理対応に追われて本業に支障をきたす可能性もあるため、慎重な判断が必要です。
【実践編】コア運用における「iDeCo」活用のポイント
コア運用で活用する「iDeCo(個人型確定拠出年金)」は、掛金が全額所得控除になるため、所得税率の高い医師にとって強力な節税メリットがあります。しかし、先生方の置かれた状況によって利用方法や上限額が変わるため注意が必要です。
勤務形態による加入資格と掛金上限の確認
医師は、勤務形態によって加入する年金制度が異なり、これがiDeCoの掛金上限額に直結します。
| 勤務形態 | 該当する年金制度 | iDeCoの掛金上限(月額) | 主なポイント |
|---|---|---|---|
| 勤務医 (公立病院など) | 共済組合 (公務員) | 20,000円 | 企業年金制度のない一般会社員(上限2.3万円)よりも上限が低め。 |
| 勤務医 (私立病院など) | 厚生年金 (会社員) | 23,000円 または 20,000円 | 勤務先に企業型DCや確定給付年金がない場合は2.3万円。ある場合は2万円。 |
| 開業医 | 国民年金 (第1号被保険者) | 68,000円 | 掛金上限が他の区分より高く設定されている。国民年金基金に加入している場合は、その掛金と合算して68,000円が上限。 |
出典:iDeCo公式サイト iDeCo(イデコ)をはじめるまでの4つのポイント
※2027年から第1号被保険者(自営業者など)が月7.5万円、第2号被保険者(会社員・公務員など)が月6.2万円に引き上げられる予定(年金払い給付額の合計による)
⚠ 特に勤務医(公立・共済組合員など)の留意点
公務員に準ずる共済組合に加入している勤務医の場合、掛金上限は最大でも月額20,000円と低めです。iDeCo自体の節税効果は大きいものの、積立額全体の絶対量が小さくなるため、NISAなど他の非課税制度と並行して太いコア(守り)を形成する必要があります。
高い節税メリットの恩恵をフル活用する
所得税率が高い先生ほど、iDeCoの「掛金が全額、所得控除の対象となる(所得税・住民税が軽減される)」という効果は高まります。
掛金を年末調整や確定申告で忘れずに控除することで、翌年の税負担を軽減しましょう。
開業医は「国民年金基金」とのバランスを考慮
開業医(国民年金第1号被保険者)の場合、iDeCoの掛金上限は大きいですが、同じく年金の上乗せ制度である「国民年金基金」にも加入できます。
- iDeCoと国民年金基金の掛金は、合算して月額68,000円が上限
- 将来の年金受給額の「安定性(国民年金基金)」と、インフレに対応できる「運用性(iDeCo)」のバランスを考慮し、割合を慎重に決める必要があります。
共通の注意点:原則60歳まで引き出し不可
iDeCoは原則として60歳まで資金を引き出すことができません。近いうちに必要となる「開業資金」「住宅資金」「お子様の教育資金」などをiDeCoに回しすぎないよう、資金の「色分け」がとても重要です。
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最初の「仕組みづくり」と「状況変化への対応」に専門家(IFA)が必要な理由
ここまで読んで、「なるほど、一度設定すれば自動で積み立てられる『投資信託』や、満期保有で手堅く運用できる『個別債券』を活用すればいいのか。それなら自分でネット証券の口座を開いて購入すれば終わりだな」と思われた先生もいらっしゃるかもしれません。
しかし、ここに盲点があります。「一度設定してしまえば手間がかからない(ほったらかしにできる)」ということは、裏を返せば「普段は運用のことや資産バランスの崩れを忘れてしまいがちになる」ということでもあるのです。
だからこそ、最初の設定にボタンの掛け違いがあったり、状況が変わっているのに見直しを怠って「放置状態」になってしまったりすると、数年後、数十年後に取り返しのつかない差が生じてしまうリスクがあります。
特に、医師の先生方は以下のようにライフプランや資金の流れが複雑になる傾向があります。
- 勤務医の方:
- 複数の病院でのアルバイト収入があり、正確な課税所得やiDeCo上限額の把握が難しい
- 将来の開業を見据えた、流動性のある資金の確保が必要
- 開業医の方:
- 医院の運転資金・設備投資資金と、個人の資産形成のバランス
- 事業承継やリタイア後の生活水準の設計
- 共通の悩み:
- お子様の医学部進学や留学を見据えた、数千万円規模の教育資金の準備
「自分は毎月いくら積み立てるべきなのか?」「NISAとiDeCoのどちらを優先し、どう配分すべきなのか?」「数年後に使う資金は、どの債券で運用するのが良いのか?」
これらの問いに対して、先生個人のライフプランに基づいた「ご自身に合った資産配分(アセットアロケーション)」を自力で設計するのは容易ではありません。
さらに、資産運用を開始した後にも重要なハードルがあります。それが「リバランス(配分の再調整)」と「ライフステージの変化への対応」です。
①時間の経過で崩れる資産比率を整える「リバランス」
例えば「株式50%:債券50%」という比率で運用をスタートしたとしても、数年後に株式市場が好調であれば、知らず知らずのうちに「株式70%:債券30%」のような、当初の想定より値動きが大きすぎる(リスクの高い)配分に偏ってしまうことがあります。
これを元の比率に引き戻す「リバランス」が必要になりますが、多忙な先生が市場動向をこまめにチェックし、売買の判断を自分自身で行うのは時間的にも心理的にも高いハードルとなります。
②キャリアやライフステージの変化に合わせた計画の見直し
勤務医から開業医へのシフト、想定以上の増収や一時的な出費、お子様の成長に伴う教育資金の具体化など、時間の経過とともに「当初想定していた運用期間」や「許容できるリスクの大きさ」は変化していきます。その変化に応じて、ポートフォリオ(資産の組み合わせ)自体も柔軟に修正しなければなりません。
医療の世界で、患者様の体質や治療の進行状況(経過観察)に合わせて、その都度適切な治療計画へアップデートしていくように。
資産運用においても、「最初の仕組みづくり」はもちろん、その後に生じる「市場や人生の変化への柔軟な対応」まで、長期にわたってサポートを続けてくれる専門家――それこそが、私たちIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)の存在意義なのです。
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「ネット証券の手数料の安さは魅力だが、自分一人で操作や商品選びをするのは不安」そんな先生方のジレンマを解消できるのが強みです。
2. 中立的な立場でのトータルサポート
私たちは、商品を販売して終わりではありません。
長期的な視点に立ち、ライフプランの作成から、NISA・iDeCoの活用割合、そして将来の「出口戦略(資産の賢い取り崩し方)」までトータルでアドバイスを行います。無理な勧誘は行いませんので、ご安心ください。
3. 身近な場所で、気軽に相談できる
私たちはショッピングセンター内など、生活に身近な場所に店舗を構えているため、休日に気軽にお立ち寄りいただけます(プライバシーに配慮した個室もご用意)。
また、平日の夜間や診療の合間でもご自宅から相談できる「オンライン相談」も完備しております。
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このコラムの執筆者
道谷 昌弘
株式会社Fan IFA
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AFP(日本FP協会認定) 大学卒業後、大手証券会社に入社。国内営業部門にて法人・個人の資産運用アドバイスを行う。8年間勤めたのち退社し、より中立的なアドバイスができるIFA(独立系投資アドバイザー)に転身。現在は富山を拠点に、全国各地のお客様に幅広くコンサルティングを行いながら、お客様にとって本当に良い商品提案を日々追求している。