本記事は、三井住友DSアセットマネジメントが発行している「投資環境の見通し(2022年7月号)」レポートをもとに、日本とアメリカの経済動向をマネハブ編集部が抜粋しまとめたものです。
また、レポートの中から気になる用語をIFAが解説します!
アメリカと日本の経済動向と金融政策の見通し
アメリカ
01.景気のイメージ
雇用の鈍化とFRBの利上げ加速を反映し、22年について2.5%から2.1%に、23年は2.0%から1.7%に成長予想を下方修正。
足元の景気は底堅いが、物価高による消費抑制、利上げ効果が加わることから、景気は減速傾向。インフレは供給制約が強い分野で上昇継続、家賃にやや動意が出るなどにより、当面高止まる可能性。
02.金融政策(今後1年程度)
利上げを前倒し・拡大
FRBは消費者物価やインフレ期待指標の上振れを受け6月のFOMCで0.75%の利上げを実施。22年は実施済み分も含めて7回の利上げを予想。7月は0.75%、9月は0.5%の後、11、12月、23年3月に0.25%の利上げを追加。FFレートは3.50~3.75%まで引き上げられると予想。
日本
01.景気のイメージ
22年度2.0%と0.1ポイント下方修正、23年度は1.5%と0.2ポイント上方修正。22年1-3月はマイナス成長だったが、4-6月以降は人流回復による消費持ち直しや設備投資など内需主導で回復しよう。経済対策の効果にも期待。コスト高や供給制約解消の遅れがリスク。コア消費者物価指数(CPI)は4、5月と前年比2.1%となった。22年度内は高止まろう。
02.金融政策(今後1年程度)
金融緩和の継続がメインシナリオ
日銀は原材料高による物価上昇は持続性が乏しいとして金融政策を据え置き。23年4月の総裁交代後、イールドカーブコントロールの柔軟化(長期金利レンジの拡大:±0.25%→±0.50%等)が検討される可能性。政策調整が早まる可能性として、為替と世論・政治情勢に注意したい。
※太字は注目点を示す。FRB:米連邦準備制度理事会。FOMC:米連邦公開市場委員会。ECB:欧州中央銀行。MLF:中期貸出制度。 ※各種報道等を基に三井住友DSアセットマネジメント作成。 ※掲載内容は7月7日時点のものです。
IFAの用語解説「FFレート」
FFレートとは、フェデラル・ファンド(Federal Funds)レートの略です。
フェデラルは「合衆国の、連邦制の」、ファンドは「基金、準備金」という意味になります。
連邦準備銀行(FRB・米国の中央銀行)に預け入れる無利息の準備金(フェデラル・ファンド)が不足している銀行が、余剰の出ている銀行に無担保で資金を借りるときに適用される金利を指します。
米国は連邦公開市場委員会(FOMC)の会合で、連邦準備銀行の準備金の需給を調節し、FFレートの誘導目標を変更することで、金融政策の決定をしています。
FFレートを上昇させると、市場金利を上昇し景気の過熱化が抑えられます。
逆に下落させると、市場金利が下がり景気を刺激することになります。
2022年は、FFレートが段階的に上昇する「利上げ」が複数回行われています。
インフレ率(物価の上昇率)に応じて、引き上げられていく予定です。
IFAの用語解説「テーパリング」
先細りさせる(Tapering)という意味です。
リーマンショック、コロナショック等の景気を悪化させるような出来事が起きた際に、政策金利(FFレート)を意図的に引き下げ、市場金利を引き下げる+資産の買い入れを行い、資金の流動性を維持させる量的緩和策が行われてきました。
この量的緩和策で循環していた資金を段階的に減らしていくことをテーパリングと言います。
例えば、FRBが資産の買い入れを毎月1200億ドル買い増していたとします。
すると、市中に毎月1200億ドルのお金が流れます。
結果、過剰に流動性を維持しているため、資金が流入した分野は過熱気味になってしまいます。
そのため、テーパリングが行われると資金が引き出される傾向があります。
コロナショック以降、米国のインフレ率が高い水準で推移しており、経済が過熱している状態が続いていました。
2021年末までは株価も高く、景気が良すぎる状態になっていました。
そこでテーパリングを行うことで、市中に資金が回るスピードを抑えようとする目論見があります。
このコラムの執筆者
MONEY HUB PLUS 編集部
株式会社Fan
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