2023年5月の日本・アメリカ金融情勢まとめ

本記事は、三井住友DSアセットマネジメントが発行している「投資環境の見通し（2023年5月号）」レポートをもとに、日本とアメリカの経済動向をマネハブ編集部が抜粋しまとめたものです。

また、レポートの中から気になる用語をIFAが解説します！

アメリカと日本の経済動向と金融政策の見通し

アメリカ

01.景気のイメージ

上半期堅調を受け、23年の成長率は1.7％から1.8％に上方修正。先行きは金融環境悪化を考慮して、24年を1.0％から0.9％に修正。23年1-3月のGDPは在庫減の影響で年率1.1％だったが、最終需要は同3.4％だった。FRBは粘着的なインフレを警戒しつつ、銀行不安の影響も考慮する姿勢。大局的には利上げ停止を検討する局面に差し掛かりつつある。

02.金融政策（今後1年程度）

インフレと銀行問題のバランスを意識した政策運営
FRBはインフレ上振れと銀行問題のバランスを考慮、5月のFOMCでも利上げを0.25％にとどめた上、先行きの利上げの必要性は、利上げの効果や経済・金融情勢をみて判断するとした。データ次第で追加利上げの余地は残るが、緩やかながらもインフレがピークアウトする中、今後は様子見に転換するケースがメインシナリオ。

日本

01.景気のイメージ

23、24年度の成長率は1.1％、0.9％の成長を予想。海外見通しの変更から0.1％ずつ下方修正。今後米国等の減速の影響はあるが、内需・インバウンド消費が下支えしよう。インフレは輸入物価の鈍化等から消費者物価の前年比は減速基調を転じよう。但し、賃上げ率の上振れ等から、コアCPIの前年比＋2％割れが定着するのは24年半ば以降になる見込み。

02.金融政策（今後1年程度）

緩和的姿勢を維持
植田新体制となった4月会合で日銀は現状維持を決定。フォーワードガイダンスは削除したが展望レポートで慎重な成長・インフレ見通しを提示、長期レビューの実施を決定。7月に10年債金利の変動幅拡大（±1.0％）を実施するものの、大枠ではインフレ目標達成のため緩和的政策を維持するとの判断を維持。

※太字は注目点を示す。FRB：米連邦準備制度理事会。FOMC：米連邦公開市場委員会。 ※各種報道等を基に三井住友DSアセットマネジメント作成。 ※掲載内容は2023年5月9日時点のものです。

IFAの用語解説「フォーワードガイダンス」

「時間軸政策」とも言います。中央銀行が「一定の期間、金融政策を維持する」「一定の条件で政策の続行を判断する」などという声明をあらかじめ発表することによって、市場に安心感や期待感を持たせる狙いがあります。
日本においては、1999年から2000年にかけて実施された「ゼロ金利政策」がそれにあたります。この政策決定時に、日銀総裁である植田和男氏（2023年5月現在）が、日本銀行政策委員会審議委員を務めていました。

IFAの用語解説「FOMC」

FOMCとは、Federal Open Market Committee（連邦公開市場委員会）の略称です。
アメリカの政策金利などの金融政策を決定する会合です。
日本では、日本銀行が行う「金融政策決定会合」が同じ役割を果たします。金融政策の方向性や政策金利の上げ下げなどを決定しています。
会合は年に8回、6週間ごとに開催されます。世界経済のトップともいえるアメリカの金融政策は、金融マーケットに多大な影響をもたらすため、世界中の市場関係者から注目されています。
発表内容が市場関係者の予想と大きく異なる場面では、為替レートだけでなく株価などにも影響が出ます。