資産運用業界では今、「ロボアド」が花盛りを迎えているようです。
業界最大手のウェルスナビ(WealthNavi)では、サービス開始からわずか4年弱で預かり資産2,300億円、運用者数20万人という規模にまでなっています。
ウェルスナビ以外でも多くのロボアド会社や証券会社がサービスを提供しています。ロボアドの何がそんなに支持されている要因なのでしょうか?
当コラムでは業界最大手のウェルスナビを参考に、ロボアドを使うメリットは何なのかを考えていきたいと思います。
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ロボアドとは?
ロボアドとは「ロボット」+「アドバイザー」の略称です。コンピューターのプログラムに基づき資産運用のアドバイスをしてくれたり、運用を代行してくれたりします。金融とITを融合させたFintech(フィンテック)の代表的なサービスの一つです。
ロボアドには
- 投資アドバイス型
- 投資一任型
の2つのタイプがあります。
- 投資アドバイス型…投資家に最適な資産配分や投資対象のアドバイスのみしてくれる
- 投資一任型…金融商品の選定から注文の発注、リバランスまでしてくれる
投資家に最適な資産配分や投資対象のアドバイスのみしてくれるものが「投資アドバイス型」、金融商品の選定から注文の発注、リバランスまでしてくれるものが「投資一任型」になります。
ちなみにウェルスナビは「投資一任型」になりますので、最初に投資方針の設定(目標設定)を行い、口座に入金すれば、その後の手続きを全てお任せできます。
投資方針を決めるのも特段難しいことはなく、いくつかの質問(ウェルスナビは6つの質問)に答えるだけで決めることができます。資産運用を難しいと感じ、最初の一歩を踏み出せない人におすすめのサービスです。
ロボアドの運用実績はどうなのか?
ここでは「投資一任型」のロボアドについて、その運用実績を見ていきたいと思います。
投資信託の格付け評価を行っているモーニングスター社が主要なロボアドの運用実績を比較、取りまとめていますのでご紹介します。
実績は2020年4月末までの1年間となっています。比較対象としてバランス型の投資信託が挙げられています。
※バランス型の投資信託とは、株式や債券といった複数の資産が組み込まれた投資信託をいいます。
THEOのマイナス幅が大きいのが気になりますが、ウェルスナビをはじめ、ロボアド各社とも健闘していることが読み取れます。
※2020年4月はコロナショックの影響が色濃く市場に残っている時期でした。
あくまで1年間という短期間の実績であり、将来のパフォーマンスを約束してくれるものではありません。しかし自身でポートフォリオを組むのが面倒だ、難しいなどと感じる人には、運用の選択肢として候補に入れてもよいのではないでしょうか?
ロボアド活用のメリットを考える!
ロボアド活用のメリットはどのようなものがあるでしょうか?ここでは3つのメリットをお伝えしたいと思います。
- 世界水準の資産運用が手軽にできる
- <心理的な罠>にはまらず資産運用ができる
- シンプルでフェアな手数料である
世界水準の資産運用が手軽にできる
1つ目のメリットとして「世界水準の資産運用が手軽にできる」ことが挙げられます。
ウェルスナビではノーベル賞受賞者が提唱する理論に基づいた金融アルゴリズムを使い、これまでは富裕層に限られていた資産運用法を誰でも手軽に使えるようにしました。資産の多寡による有利・不利がなくなったため、これから資産を作っていきたい人には喜ばしい変化です。
<心理的な罠>にはまらず資産運用ができる
2つ目のメリットは「<心理的な罠>にはまらず資産運用ができる」ことです。
<心理的な罠>とは人が陥ってしまう不合理な考え・行動のことをいいます。
罠の一例として、「投資において金融商品の値段が上がっているものが良いものと、逆に下がっている商品が悪いものと考えてしまう」というものがあります。投資の鉄則は安い局面で買いを入れ、高くなったら売りに出すことです。
しかし人というのは合理的に行動しようと思ってもなかなか上手くできないもので、高値掴みしてしまったり、安い局面で売ってしまったりするケースが非常に多いのです。特に市場が大きく動いている時は冷静な判断ができず、高値掴みの安値売りを入れてしまいがちです。
ロボアドであれば当然市場がどのように動いても取り乱すことはありません。組み込まれたアルゴリズムに従い淡々と運用を続けてくれるのです。
シンプルでフェアな手数料である
3つ目のメリットは「シンプルでフェアな手数料である」ことが挙げられます。
ウェルスナビについて言えば、手数料は預かり資産残高の1%のみです(残高が3,000万円を超える部分は0.5%)。
これが大手の対面証券会社のファンドラップなどでは手数料がいくつかあったり、ラップに組み入れられた投資信託の信託報酬を負担しなければならなかったりと、結局手数料はトータルいくらになるか分かりにくかったりします。
コストは運用成績に大きく影響してきますので、シンプルで分かりやすい手数料体系は非常に大事だと考えられます。
多くの会社がロボアドサービスを提供! ロボアドは群雄割拠の時代へ!
当コラムではウェルスナビを中心に話を進めてきました。ロボアドの最大手はウェルスナビとなりますが、他にも多くのロボアドが登場しています。
有名なところでは、楽天証券が提供する「楽ラップ」、お金のデザインの「THEO」、マネックスグループが提供する「ON COMPASS」などがあります。
ロボアドと一口に言っても運用のアルゴリズムは各社によって異なります。アルゴリズムが違えば当然パフォーマンスは変わってきます(先ほどの図の通り)。ロボアドを利用する際は過去の実績はどうだったかを確認してからにするといいでしょう。
ロボアドは資産運用をシステムに完全にお任せする形となりますが、対人で相談をして今後の資産運用を考えていくという方法もあります。
当社でも随時相談の受付をしていますので「やっぱり人に相談して決めたい」という希望があれば、是非利用してみてください。
※ロボアドサービスを利用しつつ、その他の資産運用相談を対人でする人もたくさんいます。
このコラムの執筆者
小須田 徹
株式会社Fan IFA
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プライマリー・プライベートバンカー(日本証券アナリスト協会認定) 関西学院大学卒。政府系金融機関勤務を経てIFAに転身。東京丸の内店に在籍。日本人の金融リテラシー向上に寄与すべく活動中。投資初心者の若い世代から退職世代の方まで、幅広い年齢層のお客様の金融コンサルティングを行う。