この記事のポイント
- 資産1億円を超えた富裕層には、単に資産を増やすこと以上に、インフレ等のリスクに備えて「極力減らさず着実に育てる」ための新たな管理視点が必要である
- 長期的な運用を成功させるためには、個別の銘柄選びよりも全体の「資産配分」を優先し、手数料や税金といったコントロール可能な「コスト」に対してシビアになることが重要である
- 感情による判断ミスを防ぎ、通貨の分散やリバランスなどの実務を冷静に実行していくため、客観的な視点を持つIFAなどの専門家の活用を検討すべき
「気づけば資産が1億円を超えていたが、どう管理すべきか戸惑っている」
純金融資産が1億円の大台に乗ると、それまでとは違った視点が必要になります。 これまでは「資産をいかに効率よく増やすか」に主眼を置いていたかもしれません。
しかし、富裕層の仲間入りを果たした後、求められるのは「資産を極力減らさずに、着実に育てる」という高度なバランス感覚です。
大切に築き上げた資産を、一時の市場変動や判断ミスで大きく損なうことは避けたいものです。一方で、インフレによる「お金の価値の目減り」といったリスクにも備える必要があります。
本記事では、2025年2月に公表された野村総合研究所のデータに基づき、富裕層の現状を整理します。その上で、多くの富裕層が実践している「守りと攻めの鉄則」を詳しく解説します。
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日本の「富裕層」は2005年以降最多へ。野村総合研究所のデータで見る資産階層の定義
資産運用の戦略を立てる前に、まずはご自身の資産状況が国内でどのような位置付けにあるかを確認しましょう。
ここからは野村総合研究所(NRI)の推計(2023年推計、2025年2月発表)をみていきます。(以下野村総合研究所のニュースリリースから引用)
富裕層・超富裕層の世帯数は、2005年以降の最多に
預貯金、株式、債券、投資信託、一時払い生命保険や年金保険など、世帯として保有する金融資産の合計額から負債を差し引いた「純金融資産保有額」を基に、総世帯を5つの階層に分類し、各々の世帯数と資産保有額を推計しました。結果は、純金融資産保有額が1億円以上5億円未満の「富裕層」、および同5億円以上の「超富裕層」を合わせると165.3万世帯で、2021年の148.5世帯から11.3%増加しています。内訳は、富裕層が153.5万世帯、超富裕層が11.8万世帯でした(図1)。
図1 純金融資産保有額の階層別にみた保有資産規模と世帯数
2023年の富裕層・超富裕層の合計世帯数は、この推計を開始した2005年以降増加しており、富裕層・超富裕層それぞれの世帯数も、2013年以降は一貫して増加傾向にあります(表1)。
表1:純金融資産保有額の階層別にみた保有資産規模と世帯数の推移(2005年~2023年の推計結果)
出所:国税庁「国税庁統計年報書」、総務省「全国消費実態調査」、厚生労働省「人口動態調査」、国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計」、東証「TOPIX」およびNRI「生活者1万人アンケート調査(金融編)」、「富裕層アンケート調査」などからNRI推計。(注)推計の基となったデータなどは図1と同じ。
出典:野村総合研究所(2025年2月13日発表、2023年推計データ)
純金融資産が1億円を超える「富裕層・超富裕層」の合計は165.3万世帯に達しました。
2021年の前回調査から約11.3%増加しており、その資産総額は469兆円にも上ります。株価の上昇や円安の進行により、資産価値が大きく膨らんだことが主な要因と考えられています。
急増する「いつの間にか富裕層」と「スーパーパワーファミリー」
今回の調査では、2つの注目すべきトレンドが浮き彫りになりました。
- いつの間にか富裕層:40代後半〜50代の一般会社員が、NISAや持株会の活用、株価上昇によって「気づけば1億円」に達したケースです。
- スーパーパワーファミリー:都心居住のパワーカップル(世帯年収3,000万円以上)が、40〜50代で急速に資産を積み上げたケースです。
これらの方々に共通するのは、「資産は増えたが、富裕層としての管理知識が追いついていない」という不安です。急増した資産を守るためには、それまでの「貯蓄」とは異なる「管理」の視点が不可欠です。
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守りと攻めを両立する「富裕層の資産運用・3つの鉄則」
1億円以上の資産を維持・成長させるためには、目先の銘柄選びよりも「運用の軸となる方針」を明確にすることが重要です。ここでは、多くの富裕層が大切にしている「3つの考え方」を解説します。
鉄則1:資産配分(アセットアロケーション)を優先する
投資成果には資産配分(アセットアロケーション)が大きな影響を与えるとする研究もあり、長期的な運用において重要な要素と考えられています。株、債券、現金、不動産などの比率を、自身のライフプランに合わせて適正化することが優先事項です。
「どの銘柄が上がるか」よりも「どの資産をいくら持つか」という設計図を大切にしましょう。
鉄則2:確実な「コストと税務」にシビアになる
運用資産が大きくなるほど、手数料や税金の「1%」が数百万円単位の差となって現れます。不確実な「将来の利回り」を追い求めるよりも、確実にコントロールできる「コスト」を抑えるほうが合理的です。
低コストな運用商品の選定やNISAやiDeCoの活用は、富裕層にとっても揺るぎない基本戦略となります。
【参考】
NISA特設ウェブサイト|金融庁
iDeCo公式サイト|iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)【公式】
鉄則3:客観的な「第三者の目」を味方につける
大きな資産を動かす際、人はどうしても恐怖や欲といった感情に左右されがちです。客観的なデータに基づき、冷静な判断を促してくれる資産運用アドバイスの専門家の存在は、長期的な成功に欠かせません。
孤独な判断によるミスを避け、セカンドオピニオンを得られる体制を整えておくことが、リスクヘッジに繋がります。
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資産1億円からの管理で向き合うべき「具体的な実務」
前述の鉄則を具体的なアクションに落とし込む際、富裕層が特に意識すべき実務的なポイントが3つあります。
1. 通貨の分散(購買力のリスクヘッジ)
日本円だけで資産を保有することは、一見安全に見えますが、実質的な目減りのリスクを伴います。インフレによる物価上昇が続くと、現金の「買える力」が低下するためです。
為替変動により円換算での評価額が減少するリスクにも留意が必要ですが、米ドルなどの外貨建て資産を適切に組み合わせることで、インフレへの備えとなる場合があります。
2. 将来の承継を見据えた「運用の全体設計」
富裕層にとって、運用益の効率を追求することと同じくらい重要なのが「資産の引き継ぎ」です。将来の相続税の負担も考慮して、資産を「誰の、どの口座で、どのような形」で保有すべきか効率的に判断する必要があります。
運用と承継を切り離さず、出口まで一貫した全体像を設計することが求められます。
参考:相続税の仕組みの分かりやすい解説「相続税のあらまし」|国税庁
3. ルール化された「リバランス」の実行
「値上がりした資産を売り、値下がりした資産を買い増す」というリバランスは、暴落時ほど実行が困難になります。これを個人の意思ではなく、あらかじめ決めたルールとして仕組み化しておくことが重要です。
定期的なメンテナンスを淡々と実行できる体制こそが、ポートフォリオの健全性を維持します。
理想の運用を実現するために。相談先を選ぶ新しい基準
資産が1億円を超えると、金融機関からの提案が増えます。それぞれの役割を理解し、自分の目的に合った相談先を選ぶことが大切です。
継続して付き合うことのできるパートナーが必要
資産運用や相続は10年、20年と続く息の長い取り組みです。
ご自身の人生背景や想いを深く理解し、長きにわたって歩みを共にするパートナーを選べるかどうかは、納得のいく資産形成を形にするための、一つの大切な要素と言えるでしょう。
「客観的なアドバイス」と「運用コストの抑制」の両立
近年、富裕層のパートナーとして選ばれているのが「IFA(独立系ファイナンシャル・アドバイザー)」です。 特定の金融機関に属さない立場から、顧客に合わせた提案を行えるのが特徴です。
中でも、SBI証券や楽天証券といったネット証券のインフラを活用できるIFAは、富裕層にとって大きなメリットがあります。IFAのアドバイスを受けながらも、ネット証券のシステム基盤を活かすことで、コスト面を意識した運用の検討が可能となる場合があります。
投資信託相談プラザでは、これら「中立的な提案」と「コストの合理性」はもちろん、お客様の長い歩みに寄り添い続けるため、原則として、担当者変更がない制度を採用しております。
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まとめ:資産の「健康診断」で将来への備えを
資産が1億円を超えた後の管理には、それまでとは異なる専門的な判断が求められます。特に「いつの間にか富裕層」になられた方にとって、膨らんだ資産の適切な分散投資や定期的なメンテナンスは、早急に取り組むべき課題です。
私たち「投資信託相談プラザ」は、ネット証券大手のSBI証券・楽天証券と提携し、幅広い層のお客様に資産運用のサポートを提供してまいりました。「ネット証券の合理性」と、「専門家によるアドバイス」この両立を求めるお客様から、資産形成の選択肢として広くご活用いただいています。
ご相談は、全国のショッピングセンター内などの店舗による対面相談のほか、お忙しい方や遠方の方でも利用しやすいオンライン相談にも対応しています。
まずは現在のポートフォリオが適切かどうかを確認する「資産の健康診断」から始めてみませんか。IFAと共に現状を正しく把握することが、将来への備えにつながります。
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このコラムの執筆者
道谷 昌弘
株式会社Fan IFA
本コンテンツは情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘する目的で、作成したものではありません。銘柄の選択、売買価格等の投資の最終決定は、お客様ご自身でご判断いただきますようお願いいたします。本コンテンツの情報は、弊社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その情報源の確実性を保証するものではありません。本コンテンツの記載内容に関するご質問・ご照会等には一切お答えいたしかねますので予めご了承お願いいたします。また、本コンテンツの記載内容は、予告なしに変更することがあります。




AFP(日本FP協会認定) 大学卒業後、大手証券会社に入社。国内営業部門にて法人・個人の資産運用アドバイスを行う。8年間勤めたのち退社し、より中立的なアドバイスができるIFA(独立系投資アドバイザー)に転身。現在は富山を拠点に、全国各地のお客様に幅広くコンサルティングを行いながら、お客様にとって本当に良い商品提案を日々追求している。