収入保障保険とは、被保険者に万が一の事態があったとき、毎月一定額を年金形式で受け取れる保険です。割安な保険料で、必要になる保険金額や受け取りの期間を設定できます。
本記事では収入保障保険の仕組みや必要な人、選び方のポイントについて紹介します。収入保障保険で万が一に備えたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
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INDEX
収入保障保険とは?
収入保障保険とは、被保険者に万が一のことがあったとき、一定額の保険金を毎月受け取れる保険です。年金形式のほか、一括で受け取ることもできます。一定期間のみ保障される定期型の死亡保険ですが、一般的な定期保険とは異なります。
ここでは、収入保障保険の概要や仕組み、定期保険との違いをみていきましょう。
収入保障保険の仕組み
収入保障保険は定期型の死亡保険です。加入時に設定した保険金額を死亡時から保険期間満了まで定期的に受給します。保険期間の経過とともに、保険の合計額が減少する仕組みです。早く死亡した場合は合計額が大きくなり、保険期間の満了近くで死亡した場合は合計額も少なくなります。
ただし、保険金を受け取れる最低限の期間が設定されるのが一般的です。例えば2年の期間が設定されている場合、保険期間が残り半年となった段階で被保険者が死亡した場合でも、半年間ではなく2年間保険金を受給できることになります。
受け取り期間の保証は長い方が良さそうにみえますが、その分保険料は高くなることは把握しておきましょう。
収入保障保険は一括の受給もでき、一部を一括にして残りを年金形式にすることも可能です。
「収入保障」という名称から、被保険者が病気などで働けなくなったときに収入を保障する保険と考える場合があるかもしれませんが、メインはあくまでも死亡保障です。
ただし、近年は病気やケガで働けない状態になったときに保障される特約をつける商品も出てきています。そのようなリスクに備える保険として「就業不能保険」もありますが、収入保障保険の特約でカバーできる場合もあります。
定期保険との違い
収入保障保険は、保険期間が設定されている定期保険の一種です。一般的な定期保険とは被保険者に万が一のことがあった場合に保険金を受け取れるという点で同じですが、以下の点が異なります。
特に大きな違いは受取方法です。定期保険は、万一のときに一括で保険金を受け取ります。被保険者が死亡した時期が契約の直後でも保険期間満了の前日でも、受け取る保険金額は同じです。
一方、収入保障保険の場合、保険金を受け取るのは万一のときから保険期間が満了するまでになり、受取金額も期間の経過とともに少なくなります。
収入保障保険のメリット
収入保障保険は掛け捨て型の保険であり、終身保険と比較して保険料が安いというメリットがあります。
また、保険期間の経過に応じて合理的に保障を備えられるのも利点です。必要な生活費に合わせて収入保障年金額を設定できるため、計画的な備えができるのも優れている点といえるでしょう。
ここでは、収入保障保険のメリットについて紹介します。
保険料がお手頃
収入保障保険は掛け捨て型で、毎月の保険料が積み立てられる貯蓄型の保険に比べると保険料が安く設定されています。保険期間の経過とともに受け取れる保険金総額が減っていくことも、保険料が安い理由です。
家計の負担を抑えながら、大きな死亡保障を準備できる点がメリットといえるでしょう。
また、年金形式の収入保障保険は一度に保険金を散財してしまうリスクがなく、生活費として計画的に使用できる点もメリットです。
合理的にリスクに備えられる
収入保障保険は、保険期間の経過に応じて受け取る保険金総額が減る合理的な仕組みです。
子どもが小さいうちは教育費や生活費もかかり、大きな保障が必要になりますが、保険期間が経過して子供が成長したころには必要な保障も減少します。住宅ローンなどの負担も減っていくでしょう。
必要に合わせ、合理的にリスクに備えられるのがメリットです。
計画的に将来の備えができる
収入保障保険は必要な生活費に合わせ、毎月受け取る保険金額を設定できるのもメリットです。
一般的な定期保険のように保険金が一括で支払われる場合、必要な保険金額を設定するのは難しくなります。
毎月の生活費や教育費であれば計算しやすく、支出を計算して予想できる金額を設定し、計画的に将来の備えができるでしょう。
収入保障保険のデメリット
収入保障保険にはデメリットな側面もあります。解約返戻金はなく、途中で解約しても支払った保険金は戻ってきません。
また、保険期間が満了する間近で万が一のことがあれば、受け取れる保険金額は少なくなります。基本的に年金形式のため、まとまった金額の備えには向いていないでしょう。
収入保障保険のデメリットについて解説します。
解約返戻金がない
収入保障保険は掛け捨て型で、途中で解約した場合は解約返戻金を受け取れません。支払った保険料が戻ってこない点がデメリットです。
保険期間が満了するまでに何もないことは安心ですが、支払った保険料は戻ってきません。その分も保険料が割安になっているということは把握しておきましょう。
貯蓄も兼ねてリスクに備えたい場合は、貯蓄型の保険を選ぶ必要があります。
保険期間終了間近の場合、受取保険金額が少ない
収入保障保険は保険期間の経過により保険金総額が減少するため、保険期間の満了間近に万一のことがあれば、受取保険金額が少なくなります。合理的ではあるものの、いざというときにまとまった金額を遺したい場合には向いていません。
保険期間満了の時期が近づいてきたら、その先に備えて保険の見直しを検討することも必要です。
まとまった金額の支出には向かない
収入保障保険は基本的に年金形式で受け取る保険のため、まとまった支出に備える方法としては向いていません。万が一の場合は葬儀費用などの支出があり、子どもが小さい場合は教育費など多くの費用が必要になります。
万が一の備えには、長期にわたって必要になる生活費のために収入保障保険、大きな支出のために終身保険と2本立てにすることも検討してみるとよいでしょう。
収入保障保険が必要な人の例
収入保障保険が必要になるのは、子育てに多くの費用が必要になる世帯や、受け取れる年金の少ない自営業などです。
子育て世帯は生活費のほかに教育費がかかり、子供の年齢が低いうちは収入保障保険の備えが必要になります。
個人事業主やフリーランスなど国民年金を支払っている世帯も、万が一の際に家族が受け取る遺族年金は少ないため、収入保障保険の備えが必要です。
収入保障保険が必要な人の例をみていきましょう。
子育て世帯
子供の小さい子育て世帯は収入保障保険の備えが必要です。生活費がかかり、住宅ローンを組んでいる場合はその支払いもずっと続くでしょう。将来には教育費も必要になります。万が一に備え、毎月の収入が保障される収入保障保険があれば安心です。
子育て世帯で必要な保障額は、一般的には子どもの成長とともに減っていきます。保険経過とともに保険金総額が減り、保険料を安く抑えられる収入保障保険は子育て世帯に最適といえるでしょう。
個人事業主やフリーランス
自営業など個人事業主・フリーランスの方は厚生年金に加入できず、将来受け取る年金額は会社員に比べて少なめです。万が一の際に遺族が受け取る年金も同様に少なくなります。
遺族基礎年金の受給対象者
- 子のある配偶者
- 子
※受給対象者は死亡した方に生計を維持されていた遺族。 ※子とは18歳になった年度の3月31日までにある方、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある方をさします。 ※子のある配偶者が遺族基礎年金を受け取っている間や、子に生計を同じくする父または母がいる間は、子には遺族基礎年金は支給されません。
その際に受け取ることができる金額
年額79万5,000円+子の加算 (第1子・第2子は各22万8,700円、第3子以降は各7万6200円)
となり、受け取れる金額の一例は以下のとおりです。
子のある配偶者(※)が受け取るとき
- 妻と18歳までの子どもが1人:年額102万3,700円
- 妻と18歳までの子どもが2人:年額125万2,400円
- 妻と18歳までの子どもが3人:年額132万8,600円
※受取人の年齢が67歳以下の場合(昭和31年4月2日以後生まれ)
生活費や教育費を賄うには少ない金額であり、収入保障保険で補う必要があるでしょう。
参考:日本年金機構「遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)」
収入保障保険の選び方の4つのポイント
収入保障保険は保険会社ごとにさまざまな商品が提供されており、自分に合う商品を選べます。選ぶ際のポイントは、以下の4つです。
- 受け取る保険金額
- 保障期間
- 受取方法
- 保険料率
受け取れる遺族年金との調整で保険金額を設定し、家計の負担が大きい時期を目安に保障期間を考えます。また、健康状態によって保険料が安くなる商品もあるため、チェックしてみるとよいでしょう。
収入保障保険の選び方について紹介します。
1.月々の保険金額
収入保障保険の保険金は基本的に年金形式で受け取り、金額は設定されている範囲から選べます。月額10万~20万円程度が一般的で、5万~30万円と選択の幅が大きい商品もあります。月々の保険金額を設定する目安は、毎月の生活費から遺族年金で受け取る金額を差し引いた金額です。
例えば、遺された家族の生活費として25万円が必要な場合、遺族年金で受け取れるのが15万円であれば、
25万円−15万円=10万円
が不足します。不足部分を貯蓄で補填すること、もしくは遺族が収入を増やすことが難しい場合、保険金額を10万円に設定すれば安心です。
2.保障期間
保険期間は自由に設定できます。家計の負担が大きい時期はいつまでなのかを考え、設定するとよいでしょう。期間の目安は、主に次の3つが考えられます。
- 子どもが大学を卒業するまで
- 子どもが独立するまで
- 配偶者が年金を受給するまで
子どものいる世帯で家計の負担が大きいのは教育費です。特に大学の学費は高額になるため、大学を卒業するまでを保障期間にしておけば安心でしょう。
また、子どもと暮らしているうちは生活費がかかりますが、独立すれば年金だけで賄える場合もあります。
配偶者が65歳になって自身の老齢年金を受給できるようになれば、生活費を賄える場合もあるでしょう。それまでに期間を設定するという方法もあります。
3.保険金の受取方法
保険金の受け取りは、年金形式のほか一括で受け取る方法、一括受け取りと年金形式を組み合わせる3つの方法があります。
年金形式を選択した場合、保険期間の間、毎月一定額を受け取って生活費にあてられます。一度に入る金額は限られるため、使いすぎるという心配がありません。
一括で受け取る場合、受け取れる保険金は年金形式の総額よりも減少します。減少する理由は、年金形式の金額について、保険会社が運用する分も考慮されているためです。葬儀費用などまとまったお金が必要と考える場合は、一括の受け取りにするとよいでしょう。
また、まとまって必要な分だけ一括で受け取り、残りを年金形式で受け取る方法も可能です。
なお、年金形式と一括受け取りでは、保険金にかかる税金が異なります。年金形式で受け取る場合、被保険者が亡くなったときは一時金相当額が年金受給権として相続税もしくは贈与税の対象となり、年金を受け取ったときは所得税(雑所得)・住民税の支払いが必要です。このとき、相続税もしくは贈与税の対象となった分は課税対象になりません。
一括で受け取った場合は保険料負担者と被保険者、保険金受取人の関係によって課税される税金が異なるため、確認が必要です。
4.保険料率の設定
収入保障保険は保険会社により、健康体割引や非喫煙者割引の料率が設定された商品もあります。健康状態の基準を満たし、タバコを吸っていない場合に保険料が割引になる商品です。
健康体でタバコを吸わない人は、これらの割引のある保険商品を選べば保険料を抑えることができます。
保険料率や基準は各社で異なるため、事前に問い合わせが必要です。一例として、健康状態についてはBMIや血圧が基準値以下、タバコについては1年以上吸っていない・喫煙検査でニコチン含有量が所定の範囲内などの条件があります。
収入保障保険で万が一に備えよう
子育て世帯などで世帯主に万が一の事態があったとき、収入保障保険に加入していれば家族の生活費を保障できます。掛け捨てで解約返戻金がない代わり保険料が割安で、必要になる生活費や期間に合わせて保険金額・保障期間を設定できるのがメリットです。
また、国民年金の加入者で将来の遺族年金が少ない場合にも、収入保障保険に入っていれば安心です。
「収入保障保険に興味があるが、資産運用も考えている」「保険と投資を併用したい」という方は、保険と投資のバランス診断を受けてみてはいかがでしょうか。年齢や月々の保険料など簡単な項目を入力するだけで、現在の保険や投資のバランスがわかります。リスクに備えながら資産形成をしたい方は、ぜひご利用ください。
このコラムの執筆者
MONEY HUB PLUS 編集部
株式会社Fan
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