あわせて読みたい
前編では、保険と投資信託を「併せ持ち」することで、単独で保有するよりもリスクを抑えたり、リターンを向上させる効果が得られるという考え方について、事例を参考にお伝えしました。
引き続き後編でも、投資信託相談プラザのIFAが提案した事例を参考にお話していきます!
INDEX
【前編の復習】まず、資産運用の目的を整理してみましょう
資産運用を始めようとしたきっかけはどんなものでしょうか?大きく分けて2つの目的があるのではないでしょうか。
- 「ため」の備え・・・必ず必要になるものへの備え(教育費・老後資金)
- 「もしも」への備え・・・必要かはわからないものに対する備え
その備えが必要だと感じた理由はなんでしょうか?
- 老後が不安だから、とにかくたくさんお金を貯めておきたい
- 教育資金が10年後までに必要
- もしかしたら病気で働けなくなるかもしれないから、その時のためにお金を貯めておきたい
さまざまな理由があると思いますが、その目的に合わせた運用方針の策定や商品選びが必要です。目的を明確にしないまま資産運用を始めると、非合理的な手法を選択してしまうかもしれません。
外貨建て個人年金保険×投資信託〈30代・男性の場合〉
30代男性のケースです。
「私の場合、告知要件に該当するので保険は入れないかもしれません。老後に向けて積立をしようと思っていますが、投資信託のみで運用を考えています。」
こちらの方には下記のようにご提案いたしました。
IFAの提案:無選択型保険とNISAを組み合わせることをご提案します
- 外貨建て個人年金保険(米ドル)(毎月2万円)
- バランス型の投資信託(毎月2万円)NISAのつみたて投資枠を利用して買付
- 先進国債券インデックスファンド(毎月1万円)NISAのつみたて投資枠を利用して買付
毎月5万円の積立が可能ということだったので、資産分散と保険料控除の観点から無選択型保険への加入と投資信託での運用を組み合わせてご提案しました。
無選択型保険とは、生命保険に加入する際の健康状態の告知や、医師による診査を必要としない商品です。無選択型保険は「無診査・無告知」であり、持病や既住症がある方でも保険加入が可能です。この時ご提案した商品については、無選択型保険でしたが万一の時には死亡保障がありました。
また、米ドル建ての個人年金保険を選択したことで、米国の金利上昇の恩恵が期待できます。年金受け取りの際にどの通貨で受け取ることができるかという点は契約前にしっかり確認しておきましょう。ここでご提案させていただいた商品は受け取り時に通貨を選択することが可能でした。受け取りのタイミングで為替の状況を見て判断することが可能です。
この保険は更に、投資信託にはない積立利率の最低保証があります。最低保証積立利率が設定されている商品であれば、積立利率がこれを下回ることはありません。投資信託も保険も運用が思ったようにいかなかったとしても、保険の方に最低保証があるのでリスクの軽減となります。
個人年金保険は、商品によっては一定期間経過後払込停止が可能な商品もあります。契約後も相場や家計の状況に合わせて対応が可能です。
個人年金保険料控除の対象商品であれば、所得控除の対象となります。給与所得者であれば年末調整、給与所得者以外の自営業者やフリーランスの場合は確定申告にて申告します。ただ、控除の対象とならない商品もあるので確認が必要です。
デメリットは、信託報酬が投資信託と比較して高い点と、解約控除があるため早期の解約は損になる点です。
投資信託は柔軟性が高いのがポイント
米ドル建ての外貨建て個人年金保険に加入したので、投資信託はバランス型と先進国債券を投資対象とする銘柄を買い付けることになりました。ほとんどの投資信託はいつでも売買が可能です。相場環境やポートフォリオに合わせて買付する銘柄を変更してもいいでしょう。
また、投資信託は少額から買付が可能です。個別株式や一部の債券のように最低購入金額が大きいものであれば、投資資金が少ない場合に銘柄数が制限されるかもしれません。
早期解約が損になるので、保険で積み立てているお金は、将来の老後資金として、なるべく途中で解約せずに使わないようにしましょう。
収入保障保険×投資信託〈30代・男性の場合〉
30代男性のケースです。
「今年子どもが生まれました。妻は今育休中で復帰を予定していますが、自分にもしものことがあったらと不安です。また、子どもの教育資金もどのように用意していったらいいかわかりません。」
- 生命保険には加入していない
- 妻(30歳)は育休中、最近第1子が誕生
- 持ち家所有、住宅ローン有
今回のケースは「ため」の備え+「もしも」への備えです。まず、「ため」の備えについてみていきましょう。
IFAの提案:「ため」の備えには
教育資金づくりの方法としては、3つをご提案いたしました。
- 預貯金
- 学資保険
- 投資信託(NISAを使って運用)
それぞれのメリット・デメリットについて説明したところ、質問者様は、お子様の教育資金準備のために投資信託での運用を選択されました。お子様の進路が変わったとしても、柔軟に運用が可能であり、保険関係費用がない分収益性が期待できると判断されたからです。
しかし、投資信託は元本保証がないことや、自分に万が一のことがあった場合の不安を解消できずにいました。特に、中途解約時の損失や、収入が減った場合に積立を継続することの難しさについて懸念されていました。
投資信託のメリットを活かしつつ、「もしも」への備えも
- 投資信託のメリット ①柔軟な運用が可能な点 ②収益性が期待できる点 ③解約が容易な点 の3点を改めてご説明しました。
- 万が一の備え 投資信託のデメリットである「万が一の時の保障がない」という点を補うためには死亡保障が必要ということを確認しました。
収入保障保険を使って「もしも」への備えを
「もしも」への備えといいますが、どのくらい備えておいたらいいのか、見当がつかないのではないでしょうか。
出産に合わせて必ず確認しておきたいのは、死亡保障です。死亡保障は家族に万が一のことがあった場合、遺族の生活費をまかなうために必要となります。つまり、奥様が出産された時点が(ちょうど今ですね)必要となる死亡保障のピークとなります。
死亡保障額を決めるため、以下の3点を確認しました。
- 残された奥様へ公的保障である遺族年金がいくら入るのか?
- 質問者様が亡くなられた場合、勤務先の会社から支給される死亡退職金はいくらか?
- 住宅ローンはどなたの名義ですか?…(質問者様にもしものことがあれば)団信に加入しているので、住宅ローンの返済が保証される→毎月の返済がなくなる
質問者様はこれをふまえて、
「自分に万が一のことがあった場合に、毎月10万円程生活費を補填してくれると、今の生活水準をそこまで下げることなく妻と子どもが暮らせると思います。」
とおっしゃいました。
保険で、ご主人が亡くなられた後の生活費の補填ができれば、生活水準が大きく下がる可能性は低いでしょう。そうすれば投資信託の積立継続も可能になるかもしれません。投資信託の積立が継続できれば、教育資金も確保できる可能性が増えるでしょう。
毎月10万円の保障を受けるためには、商品にもよりますが、毎月の保険料負担が大きくなることが想定されます。終身タイプの保険で全てをまかなおうとすると、保険料は割高になる可能性があります。そこで定期型の保険も使っていくことをおすすめしました。
たとえば収入保障保険です。収入保障保険とは、被保険者が死亡または高度障害状態になったときに、毎月一定額の年金や給付金を保険期間満了時まで受取れる、定期型の死亡保険です。
「収入保障」という名前から、就労できなくなったときに収入を補填できる保険をイメージするかもしれませんが、あくまでも死亡保険です。就労できなくなった時の収入の補填は「就業不能保険」でカバーできます。ただ、こちらは死亡保険金はなく、保険金を受け取るのは被保険者本人となります。
収入保障保険は、保険期間の経過とともに保障(年金や給付金の総額)が減少していく逓減型の死亡保険です。解約返戻金はありません。一般的な定期保険とは異なり、加入直後は保障が大きく、年月の経過とともに保障が小さくなります。余分な保障がない保険ともいえます。
ちなみに、すでに収入保障保険を保有されている方は、保険会社を変更することによって同じ保障内容でも保険料が安くなったりするケースは他の保険に比べて多いかもしれません。
理由としては、予定死亡率(過去の統計から一定期間に死亡する人の割合を性別や年齢別に予測した数値)が低下した場合、保険料が下がる可能性があるからです。また、健康状態や健康診断の結果によって毎月の保険料が割引される商品や非喫煙割引がある商品もあります。
この質問者様のケースで提案した内容
- 収入保障保険(毎月払2,200円)(保険期間・保険料払込期間・年金支払期間:65歳/年金月額10万円/リビング・ニーズ特約付加、三大疾病保険料払込免除特約付加、配偶者同時災害死亡時割増特約付加)
- 米国株式インデックスファンド(毎月2万円)NISAのつみたて投資枠を利用して買付
- 先進国債券ファンド(毎月2万円)NISAのつみたて投資枠を利用して買付
柔軟に資産運用をしたい方へ「併せ持ち」をおすすめします
投資信託相談プラザでは「ゴールベース」の資産運用を提案しています。お客様のゴール(夢・目標)を決め、そこから逆算して運用方針や商品を決める運用法のことです。IFAがお客様へご提案する際の流れは以下のとおりです。
- ゴールを明確化して優先順位を決める
- 将来のお金の状況を試算しプランを立てる
- お金の置き方・働かせ方を考える
- 状況を定期的に確認する
運用と保障は別に考え、ゴールを見据えて今の時点で必要な商品を組み合わせていきます。どの金融商品にもメリット・デメリットがあり、ライフイベントによってリスク許容度も変化していくため、一つの商品だけで全てのニーズを満たすことは難しいでしょう。だからこそ、複数の金融商品を組み合わせる「ポートフォリオ」が重要になってきます。
投資信託相談プラザでは、お客様のライフプランやリスク許容度を丁寧にヒアリングし、最適なポートフォリオをご提案いたします。「併せ持ち」という考え方を取り入れ、将来の目標に向かって、より柔軟かつ安定的な資産運用を目指してみませんか?
あわせて読みたい
弊社の生命保険募集人は、保険契約の締結にあたり保険会社の承諾を必要とする媒介の権限のみが認められており、契約締結の代理権や告知受領権はありません。保険契約の申込をされる際は、ご契約のしおり、約款、重要事項説明書(契約概要・注意喚起情報)、契約締結前交付書面等の書面を十分にご確認くださいますようお願い申し上げます。また、変額保険には運用リスク等のリスク、外貨建て保険には為替リスク等のリスクがございます。リスクや手数料等の重要事項をよくご確認ください。
各商品等にご投資いただく際には商品毎に所定の手数料や諸経費等をご負担いただく場合があります。 又、各商品等には価格の変動等による損失を生じる恐れがあります。
各商品等へのご投資にかかる手数料等およびリスクについては、当該商品等の契約締結前交付書面、目論見書、お客様向け資料等をよくお読みになり内容について十分にご理解ください。
商品等へのご投資には、商品毎に所定の手数料や必要経費等をご負担いただく場合があります。また、各商品等は価格の変動等により損失が生じるおそれがあります。各商品等への投資に際してご負担いただく手数料等及びリスクは商品毎に異なりますので、詳細につきましては、WEBサイトの当該商品等のページ、金融商品取引法等に係る表示又は契約締結前交付書面等をご確認ください。
投資信託に関するご注意事項
投資信託は、主に国内外の株式や債券等を投資対象としています。投資信託の基準価額は、組み入れた株式や債券等の値動き、為替相場の変動等により上下しますので、これにより投資元本を割り込むおそれがあります。
投資信託は、個別の投資信託毎にご負担いただく手数料等の費用やリスクの内容や性質が異なります。ファンド・オブ・ファンズの場合は、他のファンドを投資対象としており、投資対象ファンドにおける所定の信託報酬を含めてお客様が実質的に負担する信託報酬を算出しております(投資対象ファンドの変更等により、変動することがあります)。
投資信託の決算日時点の基準価額がお客様の個別元本を下回っている場合、分配金は「特別分配金」となり課税されません。当該分配金については、NISA口座での非課税メリットを享受いただけませんので、ご留意ください。
取得の申し込みにあたっては投資信託説明書(目論見書)をお渡ししますので、必ずファンドの仕組みやリスク等の内容をご確認の上、ご自身でご判断ください。
NISAのご注意事項
・配当金等は口座開設をした金融機関等経由で交付されないものは非課税となりません。NISA口座で国内上場株式等の配当金を非課税で受け取るためには、配当金の受領方法を「株式数比例配分方式」に事前にご登録いただく必要があります。
・同一年において1人1口座(1金融機関)しか開設できません。
・NISAで購入できる商品は金融商品取引業者が指定する商品に限られます。
・2024年からの新NISAでは年間投資枠と非課税保有限度額が設定されます。
・損失は税務上ないものとされます。
・出国により非居住者に該当する場合、NISA口座で上場株式等の管理を行うことはできません。
・2024年からの新NISAにおけるつみたて投資枠では積立による定期・継続的な買付しかできません。
※その他、2024年からの新NISAに関するご注意事項、並びに2023年までの一般NISA ・つみたてNISA等に関するご注意事項の詳細は金融商品取引業者のWEBサイトにてご確認ください。
このコラムの執筆者
MONEY HUB PLUS 編集部
株式会社Fan
本コンテンツは情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘する目的で、作成したものではありません。銘柄の選択、売買価格等の投資の最終決定は、お客様ご自身でご判断いただきますようお願いいたします。本コンテンツの情報は、弊社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その情報源の確実性を保証したものではありません。本コンテンツの記載内容に関するご質問・ご照会等には一切お答え致しかねますので予めご了承お願い致します。また、本コンテンツの記載内容は、予告なしに変更することがあります。
未来につながる投資情報メディア「Money Hub Plus(マネハブ)」の編集部です。
みなさまの資産形成に役立つ情報を日々発信しております。