2023年8月の日本・アメリカ金融情勢まとめ

2023年8月の日本・アメリカ金融情勢まとめ

政治・経済

本記事は、三井住友DSアセットマネジメントが発行している「投資環境の見通し(2023年8月号)」レポートをもとに、日本とアメリカの経済動向をマネハブ編集部が抜粋しまとめたものです。

また、レポートの中から気になる用語をIFAが解説します!

アメリカと日本の経済動向と金融政策の見通し

アメリカと日本の経済動向と金融政策の見通し

アメリカ

01.景気のイメージ

雇用・消費が引き続き底堅く、経済の軌道をやや上方修正。成長予想は23年2.0%、24年は1.3%にいずれも0.2%上方修正。名目成長率が高いことから企業収益は下振れを回避、財政支援により需要が喚起されていることもあり、リセッションのリスクは低下。問題は引き続きインフレ。インフレが正常化に向かうかの判断に時間を要しよう。

02.金融政策(今後1年程度)

追加利上げ余地が残る
FRBは7月に0.25%の利上げを実施。利上げは最終段階だが、景気堅調、粘着的なインフレを考えると追加利上げの余地。先行きは11月に0.25%の利上げ追加後、様子見に転じよう。足元のインフレ安定を受けFRBは間隔を長めにとると考え追加利上げは11月だろう。24年7-9月以降の利下げを予想。

日本

01.景気のイメージ

23年度1.2%、24年度1.1%の成長を予想。設備投資計画の強さや為替想定を円安方向に修正を受け、両年度とも0.1%の上方修正。先行き、外需は鈍化しようが、内需・インバウンド消費が下支えとなろう。円安を受けインフレ見通しを若干上方修正。但し、インフレは輸入物価の鈍化から減速基調で24年後半に2%割れとなる見込み。

02.金融政策(今後1年程度)

YCCを修正したが金融緩和の大枠は維持
日銀は7月の会合でYCCを修正し、1%の上限を設けつつ、0.5%を超える金利上昇を容認することで、YCCの副作用に対して布石を打った。これにより追加的な対応を行う必要性は当面低下。インフレ目標達成には距離があり、YCC・マイナス金利という緩和の枠組みは維持されよう。為替の動向に留意。

※太字は注目点を示す。FRB:米連邦準備制度理事会。YCC:イールドカーブ・コントロール。
※各種報道等を基に三井住友DSアセットマネジメント作成。 ※掲載内容は2023年8月3日時点のものです。

IFAの用語解説「リオープニング」

IFAの用語解説

リオープニング (Reopening) とは、ある要因で停滞していた経済活動が再開することを指します。

最近話題となったのは、中国政府が2023年8月に発表した、中国人の日本への団体旅行の解禁です。「爆買い」で知られる中国人旅行者が、約3年半ぶりに日本を訪れることになります。百貨店やレジャー、ホテルなどの業種が恩恵を享受することが期待されています。

金融の用語に「リオープン」がありますが、こちらは意味が違います。
リオープンとは、国債を発行する際、既発債と同じ利率、元利払い期日を設定し、同一の回号を付すことにより、その国債を既発債と同一銘柄として取り扱うための方式のことです。

IFAの用語解説「コストプッシュ圧力」

価格への転嫁が必要になるくらいの、生産コストを上昇させる圧力がかかっていることを指します。具体的な要因としては次の2点が挙げられます。

  • 原材料や資源価格の上昇
  • 賃金の高騰

いわゆる供給側の要因であり、輸入価格の上昇などの自国だけの原因ではない場合、対策は難しいものとなります。急激なコストの上昇には、価格転嫁が追いつかないこともあります。また、価格に転嫁したことにより需要減退が起これば、企業の利益を圧迫する懸念があります。

最近の例では、「物価の優等生」と言われる卵の価格が、コストプッシュ圧力により上昇しています。これは飼料価格の高騰や、光熱費の上昇が要因として挙げられます。

コストプッシュ圧力により価格上昇が起きている状況をコストプッシュインフレといいます。それに対して、景気上昇により需要が供給を超え、それによって価格が上昇していくことは、ディマンドプルインフレといいます。

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このコラムの執筆者

MONEY HUB PLUS 編集部

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