値下がりした株式や投資信託は損切り売却して現金にするべき?キャッシュポジションの考え方

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投資信託

2020年6月は米国株式市場で、ナスダック総合株価指数が史上最高値を更新しました。
未だ新型コロナウイルスの感染リスクに予断を許さない状況ですが、株式市場は落ち着きを取り戻しつつあります。

2020年2月末頃から世界の株価は急激に下落し、乱高下を繰り返していました。保有している株式や投資信託が大きく値下がり、不安になった方も多くいらっしゃったと思います。反対に、これから株を買おうとしていた方にとっては絶好の買い場だったかもしれません。

大きく値下がりした株式、投資信託を「損切り」をした方が良いのか、 「損切りしない」方がいいのか悩んでいる方が多いのではないでしょうか?

「損切り」をするときには、実はメンタル面で非常に難しい点があります。

投資をする人の話でよく「買ったら下がる」「売ったら上がる」というのは聞いたことがないでしょうか?

売却した後に、下落したら「売ってよかった」と思うかもしれません。 反対に、上昇しようものなら「やっぱり売却しなきゃよかった」と思うはずです。

その時に、「良かったという安心」より「やってしまったという後悔」の方が強く感じてしまいます。そのため、「損切り」はメンタル面で難しいと言われる理由です。

今回は、メンタル面をカバーしつつ、投資をしていく中で重要なポイントになるキャッシュポジションの面から「損切り」「現金化」についてお話ししたいと思います。

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キャッシュポジションとは?

まずキャッシュポジションとは、投資資金の中で投資に回していない手元にある資金のことです

例えば、投資資金100万円を株で運用する場合

  • 株式に100%投資をした場合は、キャッシュポジションは0で、フル投資になります。
  • 株式に50%投資をし、50%を現金で保有する場合は、キャッシュポジション50%になります。

どのくらい現金を手元に残しておくか、ということです。現金比率などとも呼ばれます。

先述のとおり、損切り売却等はメンタル面で非常に難しいです。しかし、キャッシュポジションの考え方を持つことで、「ポジションを変更する」という前向きな考え方になり、損切り売却を前向きに考えることができるのではないでしょうか。

キャッシュポジションは何%がよい?

運用において、長期的な視点を持ち続けることは重要です。それに加え、ご自身で相場に合わせて現金比率を判断することは至難の業とも言えます。

■運用効率の面では・・・

上昇局面:フル投資>キャッシュポジション投資

下落局面:フル投資<キャッシュポジション投資

となります。しかし、フル投資もキャッシュポジション投資も一長一短です。

投資において、保有資産を「売却する」ことは「購入する」よりも難しいです。損失がでている場合の売却となると更に悩まれると思います。何故かというと…「もう少し上昇するのではないか?」「損を確定させてしまいたくない」など心理面で行動に移しづらいからです。

では、キャッシュポジションは何%がよいのでしょうか?

一つの例としては、「100マイナス年齢」(100から自分の年齢を引いた数字)を株式などのハイリスク・ハイリターンを狙う運用に充て、「年齢」の部分の数字をキャッシュポジション(日本国債等も含む)のローリスク・ローリターンの割合にする方法があります。

各々の年齢に合わせて、キャッシュポジション比率を簡単に計算することが出来ます。しかし、全投資家に当てはまるというわけではないため、あくまでも参考程度にしてください。

投資信託を参考にみていきましょう

キャッシュポジションについてのイメージ図

実は日本における投資信託は、投資家から預かった資金をほぼ全額運用に回す「フル投資型」 がほとんどです。「フルインベストメント型」などとも呼ばれています。

指数連動型投資信託(インデックスファンド、ETF等)は、基本的にフル投資型です。

インデックスファンドは日本の投資家に急速に浸透したため、投資信託の純資産ランキングで上位に入ってきています。インデックスファンドが良いとされている点は、ベンチマークに連動させているためファンドの運用コストを引き下げることが出来るという点です。

しかし、ファンドの運用における自由度が低い状態と言い換えることもできます。

キャッシュポジションを採用しているアクティブファンドの場合は、相場が下がりそうな時にファンドマネージャーが投資信託の中の商品を売却して現金部分を増やし、また上昇しそうな時に再度購入しています。自由度の高さがアクティブファンドのポイントにもなります。

キャッシュポジションを重視する投資信託

一部のアクティブファンドでは、キャッシュポジションが採用されています。実際に投資信託の月次運用レポートを読んでみると、投資信託の中身(どんな売買がされていたのか)がわかります。

直近の例としては、ひふみ投信は2020年2月末で現金比率を31%まで引き上げていました。2020年5月末時点では現金比率は13.9%になっています。相場に合わせて現金比率を管理しているのです。

個人の場合は、買い時だと頭ではわかっていても、

  • 「もっと下がるのではないか?」
  • 「今買って本当に大丈夫なんだろうか?」
  • 「将来、反発してくれるかわからない」

等のメンタル面で不安になり、行動(購入)ができないケースも多いです。

キャッシュポジションを持つアクティブファンドにおいては、下落した際に安く買い付けようとタイミングを考えている場合が多く、実際に行動に移して株式などを購入しています。

最後に

運用コストの安いインデックスファンドも魅力的ですが、運用の自由度の高いアクティブファンドも非常に魅力的です。

これから投資信託を購入される方は、運用レポートや目論見書をじっくり読むことをオススメします。また保有している方もぜひ一度しっかり読み込んでください。

投資信託は銘柄の本数が多いため、どれを買ったらよいかわからないというお声をよくいただきます。ネット証券の場合は2600本以上の中から選ぶ必要がでてきます。

人は多くの選択肢を提示されるほど良い選択をするのが難しくなってしまいます。二つの選択肢なら比較して選択することができますが、選択肢が多くなれば決め方が適当になってしまうのです。

選択肢の数が多いほど選ぶことが難しくなって不安な心理状態になり、運用の知識がない自分では、判断が出来ないということで人気ランキングなどに頼る傾向があります。

人気ランキングを参考にするのも一つの手段ですが、ぜひ一度アドバイザーにご相談ください。目標(ゴール)に向けてあなたにぴったりの資産運用、資産形成をご紹介いたします。

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このコラムの執筆者

道谷 昌弘

株式会社Fan IFA

AFP(日本FP協会認定) 大学卒業後、大手証券会社に入社。国内営業部門にて法人・個人の資産運用アドバイスを行う。8年間勤めたのち退社し、より中立的なアドバイスができるIFA(独立系投資アドバイザー)に転身。現在は富山を拠点に、全国各地のお客様に幅広くコンサルティングを行いながら、お客様にとって本当に良い商品提案を日々追求している。

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