


老後2000万問題って聞くけど、老後資金はいくら必要?資産運用を始める前に
2019.10.17
最近は若干下火になっていますが、“老後2000万問題”と、メディアでも連日報道されていましたので皆さんも記憶に新しいところかと思います。
ところで、皆さんはご自身の老後資金がいくら必要になるか考えたことはありますか?
老後資金はいくら必要になるのか
必要額というのは当然に人それぞれ異なります。
そのため、自分の家計ではどのくらい必要になるのか、ということを考えてみる必要があります。
例えば“老後2000万円”という数字はどのように出されたのか今一度振返ってみましょう。
総務省の家計調査(2017年)によると、一般的な高齢世帯(夫婦2人)のひと月の支出が26.4万円なのに対して、収入は20.9万円となっています。
差額の約5.5万円が毎月不足する計算となり、30年間ではおよそ2,000万円になるという計算です。
このような計算式で、年金だけで賄えない生活費の不足額が計算できます。
ご自身のケースではどうでしょうか。まずはしっかりと計算し、把握することも大切です。
貯金だけでよいのでは?
「貯金だけでも十分なのでは?」と考える方も多くいらっしゃると思います。
もちろん貯金ができる期間が長くあれば、十分備えることは可能です。
毎月5万円を約33年4ヵ月貯金していけば、2,000万円を貯めることができます。
3,000万円を貯めるのには、約50年必要です。
人生100年時代と言われるなかで、約半分の時間を貯金に充てなければならないと考えると恐ろしいですね・・・
しかし、これは運用を全くしなかった場合のお話です。
では、貯金ではなく毎月5万円を積立投資していった場合はどうでしょうか。
次項で考えていきましょう。
年率3%の商品で積立投資をすることができたら…
具体的に積立投資をしてどれほどの資金が準備できるかを検証してみましょう!
<毎月5万円を年率3%で運用する商品に投資した場合>
運用期間20年間の場合、運用成果は 約1,640万円(元本1,200万円)
運用期間25年間の場合、運用成果は 約2,230万円(元本1,500万円)
運用期間30年間の場合、運用成果は 約2,910万円(元本1,800万円)
同じ3,000万円を貯めるのでも、運用をせずに貯金だけした場合は、約50年かかりましたが、年3%で運用することができれば、約30年で資金を準備することが可能です。
また、資産運用のご相談の際に、「はたして3%で運用できるでしょうか?」というご質問を多くいただきます。
将来のことなので100%の断言はできませんが、正しい商品選びをすれば年率3%は充分に可能であると考えています。
例えば、過去30年間に世界の株式に投資を行っていた場合の収益は年率6%程度の成績となっています。
つみたてNISAやiDeCoを活用しよう
運用して生じた利益(運用益)に対しては、20%(復興税込みで20.315%)の税金が課税されます。
iDeCoやNISA、つみたてNISAを利用することで、運用益を非課税にすることが可能です。
先ほど、毎月5万円を積立投資に充てるシミュレーションを行いましたが、つみたてNISAの場合、年間の上限が40万円となっているため、月々3万円弱の積み立てしかできません。
しかし、iDeCoや会社の確定拠出年金と組み合わせることで月々の掛金を大きくすることができます。
また積立投資をする際には、ボーナス月設定ができる証券会社もあります。
ボーナスの月に積立金額を上乗せすることができるので、毎月一定額を積み立てるのが難しいという方にはおススメです!
老後の資金の準備はお早めに
“老後資金2000万円必要”と様々なメディアで取りあげられたこともあり、老後の資金準備への不安や資産形成への興味関心を持たれた方が多くいらっしゃると思います。
2,000万円と聞くと、「とても無理…」と思ってしまうかもしれませんが、計画的に準備をすれば決して準備できない金額ではありません。先に取り上げた資産運用における非課税制度もあります。
ただ1~5年といった短期間で用意できるものでもありません。長期的な計画が必要になります。早め早めの準備をして、ますます長くなる老後生活を充実したものにしましょう。
このコラムの執筆者

小須田 徹
株式会社Fan IFA
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プライマリー・プライベートバンカー(日本証券アナリスト協会認定) 関西学院大学卒。政府系金融機関勤務を経てIFAに転身。東京丸の内店に在籍。日本人の金融リテラシー向上に寄与すべく活動中。投資初心者の若い世代から退職世代の方まで、幅広い年齢層のお客様の金融コンサルティングを行う。