本記事は、三井住友DSアセットマネジメントが発行している「投資環境の見通し(2023年4月号)」レポートをもとに、日本とアメリカの経済動向をマネハブ編集部が抜粋しまとめたものです。
また、レポートの中から気になる用語をIFAが解説します!
アメリカと日本の経済動向と金融政策の見通し
アメリカ
01.景気のイメージ
エネルギー価格安定や財政のプラス効果から1-3月の消費が上振れたことを受け、23年の成長率を1.3%から1.7%に上方修正。但し、利上げや銀行不安の影響により23年後半~24年前半に減速する見通しで、24年は1.1%から1.0%に下方修正。FRBはインフレ警戒を続けつつ、銀行不安の影響も考慮、小幅の利上げを追加後、様子見に転ずる見通し。
02.金融政策(今後1年程度)
インフレと銀行問題のバランスを意識した政策運営
FRBはインフレ上振れと銀行問題のバランスを考慮、3月のFOMCの利上げを0.25%に止め、フェデラルファンド(FF)金利見通し(ドットチャート)の修正も小幅だった。FRBは金融不安が利上げ(0.25%)2-3回分の効果を持つとみて利上げ幅を調整、5月に追加利上げ後、様子見に転換する見通し。
日本
01.景気のイメージ
賃上げ率上振れを主因に、23年度、24年度の成長率見通しを上方修正。設備投資や個人消費、インバウンド消費、経済対策が景気をサポート。23年度後半に米国の減速を受けて景気は一旦軟化するが、米経済が失速を回避する中で景気は復調しよう。コア消費者物価指数(CPI)は徐々に2%を下回ってこようが、賃上げ幅上振れを背景に、従来予想よりは高めに落ち着く見通し。
02.金融政策(今後1年程度)
長期金利の変動レンジを拡大する方向
3月の決定会合で日銀は金融政策の枠組みを維持した。23年度入り以降、植田新総裁の下、YCCの修正を行うだろうが激変を避け、2%のインフレ目標達成にむけて緩和的政策姿勢を維持しよう。メインシナリオとしては10年債金利の変動幅拡大(±1.0%、4-6月)を実施後、利上げ的政策実施には時間をかけよう。
※太字は注目点を示す。FRB:米連邦準備制度理事会。YCC:イールドカーブ・コントロール。 ※各種報道等を基に三井住友DSアセットマネジメント作成。 ※掲載内容は2023年4月4日時点のものです。
IFAの用語解説「シリコンバレー銀行(SVB)」
主にスタートアップ企業やテクノロジー企業などへの新興企業向け金融サービスを提供している銀行です。
株式を手放さずに資金調達ができるため、スタートアップ企業から重宝されており、通常の銀行業務の他にもベンチャーキャピタル事業にも注力していました。
しかし、2023年3月に経営破綻して米連邦預金保険公社(FDIC)の管理下に入ったことが話題になりました。
SVBは預金を米国債の運用に回していましたが、その含み損が大きくなると、預金者が不安になりMMFへの大量の資金流出が起こりました。それが経営破綻の原因の一つと言われています。
銀行は元々大量の現金を手元に置いているわけではありません。
大量の資金が同時に流出すると経営が困難になるケースが出てきます。
IFAの用語解説「金融ストレス指数」
金融ストレス指数(Financial Stress Index)は、米国の金融市場の総合的な健全性を示す指数です。
アメリカ財務省が、株式市場、債券市場、通貨市場、銀行システムなどのデータを総合的に分析して算出します。
指数が高いほど金融市場が不安定であることを示し、低いほど安定していることを示します。
金融ストレス指数は、金融危機や経済変動時に経済学者や投資家によく利用され、市場のトレンドを分析する上で重要な指標となっています。
今回のケースで、金融ストレス指数が急激な上昇をしたために成長期待が後退するのではないかと不安視されています。
指数が上昇している期間がどれだけ続くか投資家は注視しています。
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