NISA、iDeCo(イデコ)(個人型確定拠出年金)等の制度が充実したことにより、個人投資家における資産運用ニーズが上昇しています。
一言で資産運用と言っても、様々な選択肢があります。株式、債券、FX、金・銀等に投資することが簡単に出来る時代になりました。
手数料が安いネット証券の口座開設数増加と共に、低コストで運用可能なインデックスファンドが個人投資家の間で人気になっています。
今回は、書籍・雑誌等で特集が組まれることもあるインデックスファンドについて掘り下げていきます。
インデックスファンドとは?
インデックスファンドとは日経平均株価、TOPIX、NYダウなどの参考指数(インデックス)に価格変動を連動させることを目的とした投資信託です。
<良い点>
- 参考指数(市場平均)に連動することで、平均的なリターンを得られる。結果に納得しやすい
- 運用を詳細に考える必要がなく、コストが少なくて済む(ランニングコスト≒信託報酬が低い)
<悪い点>
- インデックスファンドだからといって、どんな投資対象でも良いとは限らない
- 市場平均がリターンの上限となる(市場平均以上のパフォーマンスにはならない)
- インデックスファンドだからといって、価格変動リスクが小さくなるわけではない
インデックス運用は一長一短
改めてインデックス運用の良い点、悪い点を考えてみます。
<良い点>
- 長期に保有し続けることで着実な資産形成が図れる(可能性が高い)
- 市場平均に投資しているので、特にアレコレ運用に関して考える必要がない(時間コストが掛からない)
- 個人では、管理ができない銘柄数をまとめて運用することが出来る
- 資産分散を行うことも簡単
<悪い点>
- インデックスファンドの投資対象は様々であり、投資対象を間違えると効率的な運用から離れてしまうケースがある。市場平均に投資しているので大きなリターンを狙っている人には不向き
- インデックスファンドは、運用資産を全て投資に回すことで、指数と連動させている。そのため指数が大きく下がると投資信託の価格も同じように下がる
- リスクを抑える運用とは異なるため、運用目的と照らし合わせた上で検討しなければならない
「コスト」以外にも考慮する点がある
ネット等でアクティブ運用よりインデックス運用の方が良いと書いてある記事を見かけますが、「コスト」だけしか述べていない内容のものが多いと感じます。
ここではインデックスファンドのコスト(信託報酬)をメインに据えて説明していきます。
投資信託には、3つの手数料がかかります。
- 買付手数料
- 信託報酬
- 信託財産留保額、解約手数料
インデックスファンドを語る上で、信託報酬がよく取り上げられます。
新聞などで良く利用されるグラフを参考にしてみたいと思います。
上記のグラフは、同じ指数を投資対象にしているインデックスファンド同士を比較する場合の時だけ使えます。
投資対象が同じ場合、「コスト」に差があれば、「安い(低い)」方がパフォーマンスは良くなります。
上のグラフを見て、(下線の投資信託は)多くの人が信託報酬の高いファンド(≒アクティブファンド)と勘違いしてしまいます。
それはミスリードです。
実際には、アクティブ運用とインデックス運用では投資対象が異なるため、期待リターンが同じにはなりません。
アクティブファンドの中にはインデックスファンドを超える成績を長期間維持しているものがあります。
「コスト」だけをもって「インデックスファンドの方が優れている」と考えることがないようにしましょう。
コスト以外にも投資信託選びにおいては考慮すべきことが沢山あります。
- リターン
- リスク(振れ幅)
- ベータ
- 相関係数
- シャープレシオ
等々・・・
自身の目的と合致した投資信託であるか、総合的に判断する必要があります。
本コラムのまとめ
インデックス運用には、良い点・悪い点があります。正確な情報を基に、資産運用を行っていきましょう。
今回の記事はインデックスファンドを単純に勧めているのではありません。インデックスファンドにも目的に応じた選び方があります。
自身の目的と照らし合わせて、インデックスファンドを活用していきましょう。
このコラムの執筆者
道谷 昌弘
株式会社Fan IFA
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AFP(日本FP協会認定) 大学卒業後、大手証券会社に入社。国内営業部門にて法人・個人の資産運用アドバイスを行う。8年間勤めたのち退社し、より中立的なアドバイスができるIFA(独立系投資アドバイザー)に転身。現在は富山を拠点に、全国各地のお客様に幅広くコンサルティングを行いながら、お客様にとって本当に良い商品提案を日々追求している。