60代おひとりさまの資産運用|不安を減らす賢い備え方

60代おひとりさまの資産運用|不安を減らす賢い備え方

資産運用

この記事のポイント

  • 急な出費や病気に備え、生活費の1〜2年分は手元に残す。投資は余剰資金のみで行い、資産を大きく増やすことより、インフレで価値が減らないよう「守る」ことを優先する。
  • NISA制度を使い、株式だけでなく債券なども組み合わせて分散投資する。時間をかけてコツコツ積立を行い、リスクを抑えながら資産を長持ちさせるのが基本だ。
  • 将来の判断力低下や万が一の時に備え、資産管理はシンプルにしておく。一人で抱え込まず、中立的なアドバイザー(IFA)などの専門家を頼るのも賢い選択肢である

60代を迎え、これからの人生をより豊かに過ごすために「資産運用」を検討する方が増えています。特に「おひとりさま」としてご自身の将来設計をすべて担う方にとって、お金の管理は重要なテーマです。

こうしたお悩みを抱えていませんか?

  • 「年金だけで足りるだろうか」
  • 「インフレで預貯金の価値が目減りするのが怖い」
  • 「投資は始めたいけれど、リスクが不安」

60代の方がお一人で資産運用に取り組む際には、20代や30代のように積極的にリスクを取って「増やす」ことだけが目的ではありません。大切なのは、ご自身の状況を把握し、将来の不安を減らし、築いてきた資産を「賢く守り、備える」ことです。

この記事では、IFA(資産運用アドバイザー)が、ゆとりある老後を目指し、お一人で資産運用を始める上で知っておきたい基本戦略から、具体的な注意点、信頼できる相談先の選び方まで、わかりやすく解説します。

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60代おひとりさまが資産運用で抱える3つの不安

60代は、定年退職や年金受給開始など、ライフステージが大きく変わる時期です。お一人で資産運用を始めようとする場合、その不安はより具体的かもしれません。

1. 老後資金はいつまで持つ?(長生き・インフレリスク)

医療の進歩により「人生100年時代」が現実のものとなり、長生きは喜ばしいことである一方、経済的な備えがいつまで持つかという「長生きリスク」が生まれます。

また、近年続く物価上昇(インフレ)は、預貯金の価値を実質的に目減りさせます。例えば、年2%のインフレが続けば、100万円の価値は10年後には約82万円になってしまいます。

公的年金が物価スライド制(物価上昇に合わせて支給額が見直される仕組み)とはいえ、その調整にはタイムラグや調整率の限界があり、インフレに完全に対応できるとは限りません。

参照:統計局ホームページ/消費者物価指数(CPI)

2. 頼れる人がいない中での資金管理

おひとりさまの場合、病気やケガで働けなくなった時、あるいは将来的に介護が必要になった時、経済的な備えや判断をすべてご自身で行う必要があります。

「いざという時、経済的に頼れる人がいない」という現実は、資産運用において「どれだけのリスクを取れるか」という判断にも大きく影響します。

3. 投資は怖い。でも預貯金だけでは不安

「投資」と聞くと、「元本割れが怖い」「仕組みが複雑でわからない」といったネガティブなイメージを持つ方も少なくありません。特に60代からは、運用に失敗して資産を大きく減らすことは避けたいと考えるのが自然です。

しかし、前述のインフレリスクを考えると、低金利時代の今、預貯金だけに頼ることもまた「資産が目減りするリスク」を抱えていることになります。

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60代おひとりさまの資産運用|「守り」と「備え」のバランス戦略

60代の資産運用は、不安を解消し、ゆとりある生活を送るための「守り」と「備え」のバランスが鍵となります。

まずは「いくら必要か」を明確に。生活防衛資金を確保する

資産運用を始める前に、必ず以下の2つのお金を計算し、確保してください。

  1. 生活防衛資金(守り)
    • 病気やケガ、急な出費に備えるためのお金。
    • 一般的に、生活費の半年~1年分程度が目安。
    • おひとりさまの場合は、万が一の入院なども考慮し、少し多め(1年~2年分など)に確保する。
    • この資金は、すぐに引き出せるよう預貯金などで管理し、絶対に投資には回しません。
  2. 近い将来に使う予定のお金(備え)
    • 車の買い替え、家のリフォーム、旅行など、5年以内に使い道が決まっているお金も、リスクを避けて預貯金や個人向け国債などで確保しておきましょう。

資産運用に回すのは、上記2つを差し引いた「当面使う予定のない余裕資金」のみです。

資産運用の目的:「増やす」より「適切に守り、使う」

60代からの資産運用は、資産を使い果たさないようインフレ負けを防ぎつつ、計画的に取り崩していく(使っていく)視点も大切です。

金融庁も「高齢期においては、資産の目減りを抑制しつつ、計画的にこれを活用していくことが重要」と言及しています。(※)

無理に高いリターンを目指すのではなく、年率2~4%程度のリターンを目標に、「適切に守り、使う」運用を心がけましょう。

(※)出典:金融庁「高齢社会における資産形成・管理」(2019年)

長期・積立・分散投資の基本(コア・サテライト戦略)

資産運用には「長期・積立・分散」の3原則があります。これは、投資のリスクを時間や投資先を分けることで軽減する基本的な考え方です。

60代の方には、この原則を応用した「コア・サテライト戦略」をおすすめします。これは、資産を「守り」の中核(コア)と、「攻め」の衛星(サテライト)に分けて管理する手法です。

🌞コア(中核・守り):資産の7~9割

  • 資産の土台となる「守り」の部分。
  • 値動きが比較的安定している債券型の株式投資信託や、全世界株式・米国株式などに連動する低コストのインデックスファンド(投資信託)を組み合わせ、長期的に安定したリターンを目指す。
  • 株式(インデックス)だけでなく債券を組み入れることで、市場が急落した際の値下がりリスクを和らげる効果(クッション効果)が期待できる。

💫サテライト(衛星・攻め):資産の1~3割

  • コア部分で「守り」を固めた上で、余裕資金の一部を使って「攻め」として積極的にリターンを狙う部分。
  • コア資産とは異なる値動きが期待できる資産や、ご自身が応援したい特定のテーマ(例:ヘルスケア、AI技術、高配当株など)のファンドを組み合わせ、コア資産よりも高いリターンを目指す。

この戦略により、資産全体のリスクをコントロールしやすくなります。

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60代から始める資産運用 3つのポイント

具体的な運用の始め方として、3つのポイントをご紹介します。

ポイント1:NISA(ニーサ)制度を賢く活用する

資産運用を始めるなら、税制優遇制度であるNISA(ニーサ)の活用は欠かせないのではないでしょうか。通常、投資で得た利益(売却益や配当金・分配金)には約20%の税金がかかりますが、NISA口座内での運用なら非課税になります。

2024年1月にリニューアルされたNISAは、制度改正で非課税保有期間が無期限となりました。NISAは、個人の長期的な資産形成を支援することを目的として設けられた制度ですので、60代から始めても、長期運用の恩恵を十分に受けることができます。

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ポイント2:まとまった資金は「一括」と「積立」の併用も検討

退職金などでまとまった資金がある場合、「すべてを一括で投資するのは怖い」と感じるかもしれません。

基本は「積立投資」

毎月一定額をコツコツと買い付ける「積立投資」は、購入時期を分散させる(時間分散)ことで、価格が高い時に買いすぎるリスクを抑えることができます。これは投資の基本として有効です。

「一括投資」の併用(債券の活用)

一方で、まとまった資金を預貯金として寝かせておくだけでは、インフレで価値が目減りするリスクがあります。

資産運用の方法としては、債券や債券ファンドを一括で購入して利子収入(インカムゲイン)を得ることを目指す手法など、さまざまな選択肢があります。

例えば、余裕資金のうち一部を債券を主に対象とする投資信託で一括購入する方法や、別の一部をNISAを活用した株式インデックスファンドの積立に充てる方法などがあげられます。これらを組み合わせるかどうかは、資金状況やリスク許容度に応じて検討されるとよいでしょう。

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ポイント3:自身のリスク許容度(どれだけのリスクを受け入れられるか)を把握する

リスク許容度とは、「資産運用において、一時的にどれくらいの損失までなら精神的に耐えられるか」の度合いです。これは年齢、収入、資産状況、投資経験、そして投資に関する考え方によって異なります。

おひとりさまの場合、リスク許容度を保守的(低め)に見積もる傾向がみられることがありますが、以下の点を客観的に確認しておくことが参考になる場合があります。

年金収入はいくらか?

  • 厚生労働省の統計(令和5年度)によると、厚生年金(第1号)受給者の平均年金月額は約14.7万円。(※)
  • ご自身の年金受給額(見込み額)を確認し、生活費をどれだけ賄えるか計算しましょう。

資産全体のうち、投資に回す割合は?

  • 生活防衛資金をしっかり確保した上で、余裕資金の範囲内で行うことが大前提。

(※) 出典:厚生労働省「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」

60代おひとりさまが資産運用で注意すべき点

60代のおひとりさまならではの注意点もあります。

相談先を選ぶ際の視点

大切なのは、ご自身の運用方針や不安をしっかりと伝え、それに寄り添った提案をしてくれるかを見極めることです。

資産運用の相談先として、銀行や証券会社が思い浮かぶかもしれません。身近で便利な反面、最終的な契約はご自身の判断となります。提示された商品やサービスが、ご自身の目標達成に適しているかどうかを、他の選択肢と比較検討しながら確認する姿勢が重要です。

相続や万が一の時の備え(おひとりさま特有の課題)

おひとりさまの場合、ご自身の資産を最終的に誰に遺すのか(相続)、あるいは寄付するのかを決めておく必要があります。

投資信託などの金融資産は、相続手続きが複雑になる場合があります。元気なうちにエンディングノートや遺言書を作成し、資産の所在やご自身の意思を明確にしておくことは、残された方への最後の配慮となります。

体力・判断力が低下した時の備え(資産管理のシンプル化)

60代はまだお元気でも、70代、80代と年齢を重ねるにつれ、体力や判断力は少しずつ低下していく可能性があります。 複雑な金融商品を多数保有していると、管理が行き届かなくなったり、詐欺などの被害にあったりするリスクも高まります。

60代後半から70代に進むにつれて、ご自身の管理負担を減らすため、運用を投資のプロに一任できる「ファンドラップ」を取り入れ、資産管理をより簡素化していくことも有効な選択肢となります。

ファンドラップの大きな利点は、運用管理の手間と精神的負担を大幅に軽減できる点です。資産配分の決定、商品の選定、市場に応じたリバランスといったすべての運用プロセスを投資の専門家に一任できるため、日々の市場チェックや複雑な判断から解放されます。

資産運用の悩み、誰に相談する?

「自分に合った運用方法がわからない」
「専門家の客観的な意見が聞きたい」

そう感じた時、信頼できる相談相手を見つけることが、60代のおひとりさまが資産運用をスタートされるにあたっての第一歩となります。

銀行や証券会社窓口の特徴

大手銀行や証券会社は、取り扱う商品が豊富で、情報提供の体制も整っています。長年の取引があり、信頼関係が築けている担当者がいれば心強いでしょう。

ただし、前述の通り、提案される商品がご自身のニーズに合っているか、手数料は妥当かをご自身で判断する視点も必要です。

独立系ファイナンシャル・アドバイザー(IFA)の「投資信託相談プラザ」

銀行や証券会社といった金融機関から独立した、中立的な立場の資産運用アドバイスの専門家(投資信託相談プラザなど)に相談する選択肢もあります。

IFA(Independent Financial Advisor)とは、特定の金融機関に所属せず、独立した立場で資産運用のアドバイスを行う専門家のことです。

IFAは幅広い金融商品の中から、お客様一人ひとりの状況やご意向に沿ったご提案が可能です。

「まずは自分の状況を整理したい」「客観的な意見を聞いてみたい」という段階でも構いません。無理な勧誘は一切行いません。

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まとめ:60代おひとりさまこそ、賢い資産運用で将来に備えよう

60代おひとりさまの資産運用は、不安を解消し、これからの人生を自分らしく楽しむための大切な「備え」です。

重要なのは、ご自身の「生活防衛資金」をしっかり確保した上で、「余裕資金」の範囲内で、長期・積立・分散を基本とした堅実な運用をスタートすること。

まとまった資金がある場合は、債券なども組み合わせながら、インフレに負けない「守り」の戦略を取り入れましょう。もし一人で判断するのが不安なら、専門家の力を借りることも賢明な選択です。

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このコラムの執筆者

道谷 昌弘

株式会社Fan IFA

AFP(日本FP協会認定) 大学卒業後、大手証券会社に入社。国内営業部門にて法人・個人の資産運用アドバイスを行う。8年間勤めたのち退社し、より中立的なアドバイスができるIFA(独立系投資アドバイザー)に転身。現在は富山を拠点に、全国各地のお客様に幅広くコンサルティングを行いながら、お客様にとって本当に良い商品提案を日々追求している。

本コンテンツは情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘する目的で、作成したものではありません。銘柄の選択、売買価格等の投資の最終決定は、お客様ご自身でご判断いただきますようお願いいたします。本コンテンツの情報は、弊社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その情報源の確実性を保証するものではありません。本コンテンツの記載内容に関するご質問・ご照会等には一切お答えいたしかねますので予めご了承お願いいたします。また、本コンテンツの記載内容は、予告なしに変更することがあります。

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