
不動産投資は魅力的だけど、副業に該当するのでは?と不安で一歩を踏み出せない方へ、詳しく解説していきます。不動産投資に興味のある方は、ぜひ参考にしてみてください。
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不動産投資は副業にあたらない可能性が高い

資産運用とみなされる
不動産投資は、株式投資や投資信託の買付と同様に、資産形成の手段のひとつとして捉えられています。個人的な資産を増やすための行動であり、副業にあたらないケースがほとんどです。
相続や譲渡でやむを得ず始める人もいる
転勤に伴いマイホームを貸し出すことになるケースや、相続や譲渡でやむを得ず不動産を取得するケースもあり、会社側も不動産投資や賃貸経営を禁止することがそもそも難しいのが現状です。
こんな場合は要注意!

事業的規模の場合は注意が必要
不動産投資の規模が大きくなり、事業的な活動とみなされる場合は副業規制に該当することがあります。さて、事業的規模とはどのくらいの規模を指すのでしょうか?
目安として挙げられるのは、所得税法26条〈不動産所得〉関係に記載されている内容です。
不動産貸付けが事業として行われているかどうかの判定基準
不動産の貸付けが事業として行われているかどうかについては、原則として社会通念上事業と称するに至る程度の規模で行われているかどうかによって、実質的に判断します。
ただし、建物の貸付けについては、次のいずれかの基準に当てはまれば、原則として事業として行われているものとして取り扱われます。
- 貸間、アパート等については、貸与することのできる独立した室数がおおむね10室以上であること。
- 独立家屋の貸付けについては、おおむね5棟以上であること。
引用元 国税庁 No.1373 事業としての不動産貸付けとそれ以外の不動産貸付けとの区分
この判定基準を超える投資を行う場合は注意が必要です。
公務員の場合は注意が必要
公務員は、国家公務員法や地方公務員法によって副業が禁止されています。しかし、以下の要件であれば副業にあたらないと判断されます。
- 不動産規模が5棟未満
- 不動産規模が10室未満
- 投資による賃料収入が500万円未満
出典 人事院 人事規則14‐8(営利企業との役員などとの兼業)の運用について
無理のない範囲で資金計画を立てよう
そもそも、副業規制が存在するのは、本業がおろそかになる可能性があるからという一面があります。無理のない範囲で資金計画を立て、本業に支障が出ることのないように気をつけましょう。
不動産投資をする前に確認しよう

事前に就業規則を確認しよう
不動産投資が副業規制にあたらないケースが多いとはいえ、投資をスタートする前に就業規則を確認した方がいいでしょう。
確定申告が必要な場合もある
会社員の方が不動産投資を行う場合、全てのケースにおいて確定申告が必要ということはありませんが、一定の条件を満たした場合、確定申告の義務が生じます。
確定申告が必要な場合
- 不動産所得が年間20万円を超えた場合
- 青色申告を選択した場合
確定申告の要/不要の基準となるのは、不動産などの貸付に伴う収入金額ではなく、「所得金額」であることは注意が必要です。
不動産所得の計算方法
家賃収入-必要経費=不動産所得
✅豆知識 青色申告とは?
青色申告とは所得税の申告方法のひとつです。より詳細な帳簿を付け、正しい所得を申告することで、税法上の優遇措置を受けることのできる制度です。
税法上、所得は10種類に分類されていますが、青色申告の対象となるのは不動産所得・事業所得・山林所得の3種類です。
住民税を普通徴収に
住民税の納付方法には、大きく分けて「特別徴収」と「普通徴収」の2種類があります。特別徴収は、給与天引きで住民税を納付することを指します。普通徴収とは、納税者が市区町村から送付される納税通知書に対して、自分で納付することを指します。
普通徴収にするためには、確定申告の際に「普通徴収」を選択することで可能となります。
不動産投資で得た収入は、会社員としての給与所得とは別に計算されます。普通徴収を選択することで、会社に不動産投資でどれだけの収入を得ているかを知らせることなく納付することができます。
不動産投資による節税とは?

所得税・住民税の節税効果
不動産は耐用年数に基づき、減価償却費を計上できます。この減価償却費が家賃収入を上回ると、赤字が発生します。これを他の所得と損益通算することで、所得税と住民税を減らすことができます。
また、不動産投資にかかった経費を必要経費として計上することもできます。
✅豆知識 減価償却費とは?
事業などの業務のために用いられる建物、建物附属設備、機械装置、器具備品、車両運搬具などの資産は、一般的には時の経過等によってその価値が減っていきます。このような資産を減価償却資産といいます。他方、土地や骨とう品などのように時の経過により価値が減少しない資産は、減価償却資産ではありません。
不動産投資のシミュレーション|年収900万円の会社員の場合
- 収入:年収900万円(給与所得)
- 不動産:5,000万円のマンション(建物価格:3,500万円)を購入
- ローン:4,000万円の不動産投資ローンを組む
- 家賃収入:月額15万円
- 経費:固定資産税・都市計画税・修繕費・ローン利息など
建物価格3,500万円のマンションを20年で償却する場合、年間175万円の減価償却費を計上できます。減価償却費は、家賃収入から差し引かれ、所得税・住民税の負担が軽減されます。
家賃収入が年間180万円で、他の経費が50万円かかっていた場合の不動産所得の計算は以下のとおりです。
収支:180万円(家賃収入)-50万円(他経費)=130万円
損益:180万円(家賃収入)-50万円(他経費)-175万円(減価償却費)=-45万円
この場合、収入は130万円増えていますが、減価償却費を差し引いたため、不動産所得は-45万円となります。
不動産所得は、給与所得などの他の所得と合算して総合課税されます。そのため、不動産所得がマイナスとなれば、他の所得からの控除が可能となり、節税効果が期待できます。
所得税の税率は、課税される所得金額(1,000円未満の端数金額を切り捨てたあとの金額)に合わせて、7段階に分けられています。所得税の金額は、課税所得に該当する税率を掛け、控除額を差し引き求めます。
余談となりますが、不動産所得の有無でどれくらい所得税が圧縮できるのでしょう?
■このケースで不動産所得を除いて所得税の金額を算出した場合
2024年11月現在、900万円から1799.9万円の所得金額に対してかかる税率は33%で控除額は153.6万円となります。(※平成25年から令和19年までの各年分の確定申告においては、所得税と復興特別所得税(原則としてその年分の基準所得税額の2.1パーセント)を併せて申告・納付することとなります。)不動産所得を除いて所得税の金額を算出した場合、900万円の給与所得はそのまま総合所得となるので、900万円(総合所得)×33%‐153.6万円=143.4万円となります。
■このケースで不動産所得が‐45万円あった場合
これに対して、不動産所得が-45万円あったとしたら、総合所得は900万円(給与所得)-45万円(不動産所得)=855万円(総合所得)と算出されます。2024年11月現在、695万円〜899.9万円の所得金額に対してかかる税率は23%で控除額は63.6万円となるので、855万円(総合所得)×23%‐63.6万円=133万円となります。
結果的に、不動産所得が‐45万円あった場合、収入は130万円増え、所得税は約10万円圧縮することができました。
住民税は、所得税と同様に、所得に応じて課税されます。住民税は、所得税額に一定の割合を乗じて計算されますが、この割合は、居住している都道府県や市区町村によって異なります。(※)所得税額が減少すると、それに伴い住民税額も減少する可能性が高いでしょう。
※ 標準税率によらず、超過課税、独自減税を実施している地方団体もあります。
参考 国税庁 所得税の税率
おすすめの不動産投資の方法とは?

ここからは、ケース別におすすめの不動産投資について説明していきます。
少額から不動産投資をしたい人には不動産小口化商品
不動産小口化商品とは、不動産を小口化して販売し、不動産の賃貸収入や売却益を投資額に応じて出資者に分配する商品のことです。一口数万円の商品もあり、比較的手頃に購入が可能です。不動産投資の中でも、株式投資や投資信託への投資に近いイメージです。少額から不動産投資を始められるうえ、専門家に管理・運用を一任できるので投資を始めるハードルは比較的低いのではないでしょうか。
投資対象の不動産は「不動産特定共同事業法」に基づいて運営され、事業の内容に応じて、国土交通大臣ないしは都道府県知事の認可を受けた事業者が運営します。また、クーリングオフも可能です。
年収500万円から1,000万円の方には区分マンションがおすすめ
都市部であれば、人口も多く物件を借りたいニーズも高いため、空室リスクを抑えた不動産投資が可能でしょう。
区分マンション投資は、マンションの1戸部分の所有を指します。比較的物件価格が割安で、オーナーの管理業務の負担も小さいでしょう。また、流動性も高いので、売却を意識して購入する人にも向いています。
新築区分マンションであれば、需要が多く入居率が上がりやすいでしょう。また、すぐに修繕の心配をしなくていいこともメリットです。
中古区分マンションの場合は、比較的安く購入できるケースが多いでしょう。既に入居者がいる場合は、実際の家賃収入からキャッシュフローの予測が容易です。
既に土地を持っている場合一棟買いも視野に
元々土地を持っている場合、持っている土地にマンションを建築すれば土地代が浮きます。保有している土地が好立地である場合は検討してみてもいいでしょう。
不動産投資は生命保険の代わりになる?

家賃収入が得られる不動産投資は、生命保険としての意味合いを兼ねることもできるでしょう。収益性が高い不動産を相続することで、残された家族の生活を支えることができます。
また、不動産投資をする際にローンを組んでいたとすれば、「団体信用生命保険」に加入することがほとんどです。「団体信用生命保険」はローン契約者が死亡したり、高度障害状態になってローンの返済ができなくなった場合、保険金をローンの返済に充てるものです。
不動産投資にご興味のある方は不動産なんでも相談室へ

「不動産投資に興味があるが、何から手をつけていいか分からない。」「今の自分の状況で、不動産投資はできるのか?」という方はまず、不動産なんでも相談室に相談をしてみましょう。資産運用のノウハウと不動産のノウハウを組み合わせ、お客様の安心できる未来のために最適な解決策をご提案いたします。
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このコラムの執筆者

MONEY HUB PLUS 編集部
株式会社Fan
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