証券の相続の流れを確認|必要書類や期限、評価額の決め方も解説
株式など証券の相続にあたっては、相続人の証券口座開設が必要です。相続税の申告があるため、評価額の算出もしなければなりません。今回は、証券の相続の流れや必要書類のほか、評価額の出し方や相続税を節税するコツなどを解説します。
不動産で相続税対策ができる理由とは?仕組みや節税の注意点を解説
不動産投資では家賃収入が得られるだけでなく、相続税対策も可能です。現金で相続するよりも相続税評価額が下がり、賃貸物件の場合はより節税効果が高まります。本記事では不動産で相続税対策ができる仕組みを説明し、評価方法や対策に適した不動産を紹介します。不動産投資では家賃収入というリターンを得られるほかに、相続税対策ができるという特徴があります。現金で相続するよりも、課税される相続税評価額が下がるためです。ここでは、不動産で相続税対策ができる理由とともに、その前提として相続税の概要や節税できる仕組みを解説します。相続税とは、相続権を持つ者がお金や土地などの財産を相続した場合に、受け取った財産に課せられる税金です。相続税は、相続した財産から以下の計算式で求めた基礎控除額を差し引いた金額に課税されます。例えば、1人で相続した場合の基礎控除額は以下のとおりです。2人が相続した場合は以下のとおりです。この基礎控除額を超える金額を相続した場合、その超えた部分に所定の税率をかけた金額が相続税です。相続税を算出するとき、現金は額面がそのまま計算の対象です。一方、不動産は「相続税評価額」が基準となります。不動産は路線価や固定資産税評価額によって評価するため、現金をそのまま相続するより評価額が下がります。その結果、相続税が下がるという仕組みです。不動産は以下を基準に評価され、およそ時価の7〜8割となります。現金を不動産に変えておくことで相続税評価額が下がるため、相続税対策として活用できます。なお、マンションの相続税評価額については時価との大きな乖離が生じているケースがあるとして、2023年(令和5年)度税制改正大綱で見直しが検討され、同年9月に「居住用の区分所有財産の評価について」という通達が国税庁より出されました。内容としては、2024年1月1日以降に相続等によって取得した居住用の分譲マンションの相続税評価については、従来の評価額に補正率を乗じることとなり、評価方法が見直されました。参考:国税庁「マンションに係る財産評価基本通達に関する有識者会議について」参考:国税庁 居住用の区分所有財産の評価について(法令解釈通達)参考:国税庁「居住用の区分所有財産」の評価が変わりました相続税の不動産評価は、土地と建物に分けて行われます。不動産は現金よりも低く評価されますが、賃貸物件はさらに下がります。小規模宅地等の特例や、ローンの利用でも節税が可能です。相続税の計算で不動産がどのように評価されるか、仕組みを具体的にみていきましょう。不動産にはいくつもの価格が設定されており、売買する際の価格は実勢価格(市場価格)です。一方、相続するときの評価額は、土地と建物で異なります。土地の評価方法には路線価方式と倍率方式の2種類があります。(路線価方式)(倍率方式)土地は、毎年7月に国税庁から公表される1月1日時点での土地の価格(路線価)が評価額となり、路線価が定められていない地域は、地域ごとに定められた倍率表を用いて土地の評価を行います。金額は地域や条件により異なりますが、およそ実勢価格の8割程度です。ここで、5,000万円の現金を相続する場合と、5,000万円で購入した200平方メートルの土地を相続する場合で相続税評価額がどのくらい変わるのか計算してみます。まず、現金で5,000万円を相続した場合は、額面金額そのまま相続税評価額となります。次に、5,000万円で購入した200平方メートルの土地の路線価が20万円だったとします。この場合の計算式は以下のとおりです。(奥行価格の補正がなかったものとします。)5,000万円を現金で相続する場合と比較すると、相続税評価額には1,000万円もの差があります。建物は固定資産税評価額が評価基準となり、新築時の固定資産税評価額はおよそ実勢価格の7割程度です。新築時に一度評価され、その後は3年ごとに評価額が減少していきます。実際の購入価格よりも固定資産税評価額の方が低く算定されるため、節税効果があるといえるでしょう。居住している不動産ではなく、賃貸している不動産を相続した場合、さらに評価額が下がります。賃貸物件は、自身で自由に使用・処分がしにくいためです。活用が制限されることで資産価値が減っているとみなされ、賃貸部分の控除が認められています。その結果、相続税評価額が下がって節税効果が高まるのです。評価額の計算では、居住用の土地・建物の評価から以下の要素を減額します。賃貸割合は入居率に比例し、満室は100%になります。賃貸物件の計算式は、以下のとおりです。例えば、市場価格5,000万円の一棟アパートを賃貸物件として所有しており、そのアパートが満室の場合、次のように計算します。土地評価額:2,500万円 建物の固定資産税評価額:1,500万円(※借地権割合=70%と想定)の場合合計すると、3,025万円の相続税評価額となります。一般的に、自用地・居住用のアパートの場合、市場価格の8割程度の評価額となり、賃貸の場合は市場価格の6割程度の評価額となるケースが多いようです。つまり、5,000万円の現金を相続する場合と比較すると、賃貸用アパートの方が相続税評価額は下がるため、賃貸用アパートを購入することは節税に繋がるといえるでしょう。一定の要件を満たした土地は小規模宅地等の特例が適用され、さらに節税できます。特例の対象になる土地は、以下の3種類です。それぞれに要件があり、以下のように限度面積や減額される割合が異なります。例えば、賃貸事業を行っている土地は貸付事業用宅地になるため、相続時には200平方メートル(約60坪)までの面積を50%減額できます。要件を満たせば土地の評価額を最大80%減らせるため、節税効果の高い制度です。参考:国税庁「No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」不動産をローンで購入した場合、評価額を下げることができます。借入金がマイナス計上されるためです。例えば、相続時評価額が5,000万円の不動産を相続した場合、ローンの残債が800万円あれば評価額は以下の計算のとおりです。ただし、ローンの利用で節税できるのは、相続時にローンの残債がある場合です。また、ローンを組めば金利がかかるという点も把握しておきましょう。相続税対策で不動産を購入する際は、押さえるべきポイントがあります。まず、時価と評価額の差が小さければ、節税効果はあまり期待できません。また、不動産投資としての収益性も考える必要があるでしょう。ここでは、相続税対策に適した不動産について解説します。相続税対策に適しているのは、時価と相続税評価額の価格差が大きい不動産です。時価と相続税評価額の差は不動産のある場所によって異なり、都心部のように地価が高騰している場所は時価と相続税評価額のギャップが大きくなります。これに対し、都心から離れるほど時価と相続税評価額の価格差は小さくなり、場所によってはほとんどないケースもあります。また、立地条件も価格差に影響する部分です。以下のような条件があれば、価格差が大きくなるといえるでしょう。都心部や立地条件は、次に紹介する収益性にも影響してきます。不動産投資で相続税対策をする場合、利回りが高く収益性があることが大切です。利回りとは、物件の総額に対して年間で得られる賃料の割合を指します。相続はいつ発生するのかがわからないため、購入から相続発生までの期間も考慮し、物件の収益性を確保しなければなりません。例えば、1億円の賃貸住宅を購入して年間に得られる賃料が600万円の場合、利回りは6%です。これは表面利回りで、実際に不動産を維持・管理していくためにはさまざまな費用がかかります。固定資産税などの税金の支払いも必要です。それらを家賃収入から差し引いて計算するのが、実質利回りです。不動産投資をする場合、この実質利回りが重要になります。利回りの低い不動産は支出を家賃収入で賄えず、保有中に現金を持ち出すことになりかねません。資金不足から相続発生まで不動産を保有できない可能性もあります。そのような事態にならないよう、購入前に収支のシミュレーションを行うことが大切です。相続税対策の不動産は、流動性が高いことも重要な要素です。流動性の高い不動産は購入希望者が見つかりやすいため、相続税を支払ったあとの売却をスムーズにできます。流動性が高い不動産の条件は、時価と相続税評価額の価格差が大きい不動産の条件がほぼ該当します。さらに、購入しやすい価格であることも大切です。高額な物件は購入希望者が限定され、買い手が見つかるまでに時間がかかることもあるでしょう。相続税対策で不動産を購入する際は、いくつか注意点があります。まず、購入した不動産を賃貸する際、空室のリスクなどを考慮しなければなりません。また、不動産は遺産分割しにくいため、分割の割合を考える必要もあります。ここでは、不動産の相続税対策で注意したい点を3つ解説します。相続税対策で不動産を購入する場合、不動産投資で家賃収入を得ることを目的とするケースも多いかと思います。投資にはリスクがつきもので、不動産投資における賃貸経営も例外ではありません。不動産投資の場合、空室の発生や修繕費が高額になるなど、独自のリスクが存在します。賃貸物件が常に満室というわけにはいかず、人気のある物件でも退室から入居までは一定の期間が空くことも少なくありません。建物が古くなってくれば入居希望者が減る場合もあり、数ヶ月空室が続く可能性もあります。建物が老朽化してくれば、修繕費の支出も必要です。入居者を集めるには、リフォームなどが必要になることもあるでしょう。これらのリスクも考慮し、収支計画を立てて取り組む必要があります。不動産は現金と異なり遺産分割しにくいため、相続人が複数人いる場合は相続争いが起こる懸念があります。円満な相続にするためには、分割割合を考えておく必要があります。一定の期間経過後に売却して現金を分割する、あるいはそのまま不動産を共有するなど、相続人の要望なども考慮して分割方法を決めておくとよいでしょう。相続した不動産を3年以内に売却する場合、一定の要件に当てはまるときは、譲渡所得の金額から最高3,000万円まで控除することができます。また、相続した不動産を一定期間内に譲渡した場合は、相続税額のうち一定金額を譲渡資産の取得費に加算することができます。こういった控除措置を活用したい場合は、生前によく相続人と被相続人で話し合っておく必要があるでしょう。相続税には税務調査が入る場合があります。税務調査は所得税や贈与税などさまざまな税金の申告を対象に行われますが、その中でも特に相続税は高い割合で調査が入ります。相続税の税額は比較的高額で、申告漏れも大きくなりやすいためです。次のような事情がある場合、一連の行為が相続税対策とみなされるため注意しましょう。税務調査が心配な場合は、相続税申告の際に税理士などの専門家に相談するのもおすすめです。不動産の購入以外でも、相続税対策ができる方法があります。生前贈与では毎年控除額の範囲であれば非課税で贈与でき、相続財産を減らせます。生命保険は、基礎控除額のほかに非課税枠の利用が可能です。それぞれの特徴を確認し、ぜひ自分に合った方法を見つけてください。生前贈与により、相続財産を減らすことが可能です。生前贈与には「暦年贈与」と暦年贈与の特例としての「一括贈与」等があります。暦年贈与は年110万円の基礎控除があります。1年間の贈与額が110万円以内であれば、贈与税がかかりません。基礎控除額の範囲内で毎年贈与を続ければ、贈与税の負担なく相続財産を減らせます。ただし、毎年一定額の贈与を長く続けた場合は「定期金給付契約」とみなされて贈与税が課税される可能性もあるため、注意が必要です。「定期金給付契約」とみなされないためには、以下のような対策を行うとよいでしょう。また、被相続人の死亡日以前の7年間に贈与した財産は、相続が発生したときに相続財産へ持ち戻され、相続税の課税対象になります。一括贈与は、暦年贈与の特例です。両親や祖父母から以下の目的で一度にまとまった財産を贈与する際、一定の要件を満たすと一括贈与として非課税となります。一括贈与についても、暦年贈与と同じく税制改正で見直しが行われています。「教育資金」「結婚・子育て資金」は適用期限の延長が盛り込まれました。また、令和6年度税制改正により、住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置については、適用期限が3年間(令和6年〜8年)延長されました。※非課税限度額が1000万円になる質の高い住宅の新築住宅の要件の一つが、従来の断熱等性能等級4又は一次エネルギー消費量等級4以上から断熱等性能等級5以上かつ一次エネルギー消費量等級6以上に変更されました。尚、令和5年末までに建築確認を受けた住宅又は令和6年6月30日までに建築された住宅は、令和5年までの要件のままになっております。参考:財務省 「令和5年度税制改正の大綱」参考:国土交通省 住宅ローン減税の制度内容が変更されます! ~令和6年度税制改正における住宅関係税制のご案内~生命保険は、被保険者が死亡した際、遺族に死亡保険金が支払われる保険です。この死亡保険金には、基礎控除額とは別に500万円×法定相続人の数の非課税枠があります。相続税の基礎控除額を超える分のお金を保険会社に支払い、死亡保険金として相続人が受け取れるようにしておくことで、非課税枠の適用により相続税の節税ができます。生命保険は、生前贈与の手段としても活用が可能です。生命保険の契約者と受取人を子どもにし、被保険者を親として、贈与する財産を全額保険料の支払いにあてます。贈与する金額を毎年110万円以下に抑えれば、贈与税の対象になりません。契約者である子どもが受け取る保険金は相続税の対象ではなく、一時所得もしくは雑所得として所得税・住民税の対象になります。生命保険は被保険者が亡くなったあと、スムーズに保険金を受け取れるのもメリットです。相続財産の多くが不動産の場合、葬儀関連の費用や相続税の納税額をすぐに用意できない場合があります。被保険者の預金口座も、遺産分割協議が終わるまでは引き出せません。生命保険であれば、申請してから比較的短期でまとまった保険金を受け取れるため、亡くなったあとに必要な資金を確保できます。現金を不動産に変えることで相続税評価額を下げ、節税できるケースもあります。不動産投資で賃貸経営をすればさらに相続税評価額が下がり、高い節税効果が得られる可能性があります。老後の資金形成などで不動産投資を検討している方は、相続税対策も合わせて考えてみるとよいでしょう。相続税対策を視野に入れる場合、不動産の選び方にも注意が必要です。相続後のことも考えた不動産選びがしたい方は、不動産なんでも相談室を利用してみてはいかがでしょうか。不動産の購入や売却、投資、相続などさまざまな不動産の悩みに対応しています。資産運用と不動産のノウハウを組み合わせ、専門家が一人ひとりに適した解決策を提案します。相談は何度でも無料で対応していますので、ぜひご活用ください。

証券の相続の基礎知識
株式や投資信託などの証券は、相続の対象です。相続するにあたって、相続人はそれらの名義変更をおこなう必要があります。まずは基本知識として証券の相続の流れ、証券の相続にあたって必要な書類や期限について解説します。
証券の相続の流れ
証券の相続における手続きの基本の流れは、以下のとおりです。
- 遺言書の捜索、相続財産および相続人の調査
- 遺産分割協議の開始
- 相続人の証券口座開設
- 相続手続き、相続税の申告
一つずつ順番に確認していきましょう。
1.遺言書の捜索、相続財産および相続人の調査
相続では遺言が優先されるため、遺言書の捜索をおこない、故人の相続に関する意向を確認します。また、相続財産をもれなく洗い出すとともに、戸籍を調べるなどして相続人を探す必要があります。
2.遺産分割協議の開始
遺言書が見つからなかったり、株式や投資信託など証券の分配に関する明記がなかったりした場合は、相続人同士で遺産分割協議をおこなわなければなりません。協議が成立したら、その内容を「遺産分割協議書」に記載し、相続人全員が実印を押します。
遺産分割協議では、故人が亡くなられた時点での財産の残高を明確にするために、証券会社が残高を証明する残高証明書を取得しておくことをおすすめします。残高への信頼性が高まるため、相続トラブルを未然に防ぐ効果を期待できるでしょう。
なお、遺産分割協議が決裂した場合は、家庭裁判所で遺産分割調停の申し立てをおこないます。
3.相続人の証券口座開設
相続人は、故人の株式や投資信託を預けている証券会社に、自分名義の口座を持つ必要があります。そのため、当該の証券会社に口座がない場合は、新たに開設しなければなりません。
証券の相続では一般的に、故人名義の証券口座を解約し、証券を換金して相続人に払い戻しをすることはできません。そのため、故人の口座に預けられている証券を、一度相続人の口座に移す必要があるのです。相続人名義の口座に移した証券は、相続人の判断によって売却か継続保有されます。
4.相続手続き、相続税の申告
それぞれの財産を誰が相続するかが決まったら、財産ごとに相続手続きをします。株式の名義変更をおこなうためには、証券会社への連絡が必要です。
また、相続財産が、相続税の基礎控除額である「3,000万円 +( 600万円 × 法定相続人の数 )」を超える場合は、相続税を支払わなければなりません。相続税の申告は、相続開始を知った日から10ヵ月以内におこないましょう。
必要な書類
証券のうち株式を相続するケースにおいて、必要な書類は以下のとおりです。
- 遺言書または遺産分割協議書
- 株券(ある場合)
- 株式の名義変更請求書
- 亡くなった方の戸籍、除籍、原戸籍など
- 相続人の戸籍謄本(全員分)
- 相続人の印鑑証明書(全員分)
公正証書以外の遺言書は、家庭裁判所に提出して、検認の請求をしなければなりません。検認とは相続人に遺言の存在と内容を知らせるとともに、遺言書の内容を明確にして偽造を防ぐための手続きです。
印鑑証明書は遺産分割協議書に添付します。戸籍は証券の名義変更以外にも必要であるため、あらかじめ必要部数を取り寄せておきましょう。
期限
相続税の申告の時効は基本的に5年で成立します。時効の起算日は、相続税の開始を知った日の翌日から10ヵ月を経過する日であるため、申告の義務がなくなるのは5年10ヵ月を過ぎたときです。
通常は相続開始から6ヵ月程度経過後、税務署から「相続税の申告に関するお尋ね」が郵送されてきます。それでも申告がなければ税務調査が入り、納税に関する督促状が送られると時効がリセットすることに注意しましょう。
なお、相続税の申告をしなければならないことを認識していなかった場合、時効は7年になります。
証券の相続にあたって遺産分割する方法2つ
証券を相続する際には、以下の2つの方法があります。
- 銘柄のまま分割
- 売却し、換金して現金を分割
それぞれの方法を確認していきましょう。
1.銘柄のまま分割
証券は、売却していなくても、銘柄の状態のまま分割することができます。その場合、事前に誰がどの銘柄をいくつ相続するかを話し合っておきましょう。
それぞれの相続人に銘柄を分割した後に、銘柄や数量を変更することはできません。そのため、各人が納得できるように取り決めをしておくことが重要です。
2.売却し、換金して現金を分割
証券を売却し、現金にしてから分割する方法もあります。はじめに代表相続人の証券口座に移した後、売却および換金をします。比較的わかりやすく、公平な方法といえるでしょう。税金が控除される場合は、税引き後の金額を分割します。
なお、代表相続人の証券口座を「特定口座・源泉徴収あり」に設定しておけば、売却により利益が出た場合であっても確定申告は不要です。
【ケース別】証券の相続の手続き4つ
ここからは、考えられる以下のケース別に証券のうち、株式の相続の手続き方法を解説していきます。
- 電子化前の株券の場合
- 非上場企業株の場合
- 口座のある証券会社がどこかわからない場合
- 相続を放棄する場合
一つずつ、手続き方法を見ていきましょう。
1.電子化前の株券の場合
故人が電子化前の株式の株券を保有していた場合、そのままでは相続することができません。管理している証券会社や信託銀行などに連絡し、相続手続きをおこなう必要があります。
株券は2009年に電子化されたため、紙の株券を保有していた方は証券口座を開設し、移管する手続きをおこないました。しかしなかには、電子化の手続きをしないまま相続が発生するケースもあります。紙の株券は、株式としての効力は失っていますが、権利はそのまま保全されています。
2.非上場企業株の場合
上場企業の株券は、証券会社や信託銀行で管理されている一方で、非上場企業の株券は、株式を発行した各企業が管理をおこなっていることに注意しましょう。
株式の相続におけるルールも、それぞれの企業で独自の内容を定めていることも少なくないため、各企業への連絡、確認が必要です。
3.口座のある証券会社がどこかわからない場合
株式を保有していた事実を把握していても、口座のある証券会社がどこかわからない場合、証券保管振替機構(ほふり)へ問い合わせをしましょう。ほふりに確認することで、口座を持っているのがどの証券会社なのか、把握ができます。
ほふりとは「社債、株式等の振替に関する法律」に基づく振替機関のことで、投資家が保有する株式などが証券会社から預けられ、集中保管をおこなっています。
4.相続を放棄する場合
相続の放棄をする場合には、相続開始を知ってから3ヵ月以内の、家庭裁判所への申し立てが必要です。通常、相続を放棄すると、株式だけでなくそれ以外のすべての財産の相続を放棄することになります。
そのため、株式の相続のみを避け、それ以外の財産の相続を受けたい場合、遺産分割協議で他の相続人から同意を得る必要があります。
相続税の申告における証券の評価額
証券のうち株式の評価額は、原則、亡くなった日の終値が基準です。しかし、ほかにも株式の評価額を決める方法があることを理解しましょう。ここからは、相続税の申告にあたっての株式の評価額の決定方法と、相続税の節税方法を解説していきます。
4つのうちから最も安い価格を選択する
相続税の申告における株式の評価額は、基本的には亡くなった日、つまり相続開始日の終値が基準になります。終値とは、株式取引があった日の最後についた価格のことです。
しかし、以下の4つの価格から、最も安い価格を選択することもできます。
- 相続開始日の終値
- 相続開始日の月の取引日ごとの終値の平均値
- 相続開始日の月の前月の取引日ごとの終値の平均値
- 相続開始日の月の前々月の取引日ごとの終値の平均値
上記の4つのうちから安い価格を選択できるのは、株価は企業の業績や経済情勢に伴って変動するためです。上場株式の相続税評価額は、選択した株価に保有する株式数をかけて算出します。
代償金を支払う場合の株式の評価額の決め方に注意
相続人の一人が株式を銘柄のまま取得し、ほかの相続人には代償金を支払うというケースにおいては、株式の評価額を決める際に注意が必要です。
亡くなった後、株価が大きく変動しているような場合、評価額を決めるタイミングによっては不公平感が生じやすくなるためです。亡くなった日の株価を評価額とするのがもっともわかりやすく、納得感を得られやすいといえるでしょう。
相続税の節税方法
証券の相続税の節税方法としては、以下が挙げられます。
- 生前贈与の活用
- 自社株の評価額を下げる
- 発行会社への株式譲渡の課税の特例、非上場株式の納税猶予・免除の特例などの活用
現金と同様に、株式などの証券も贈与者一人につき年間110万円までは非課税とされているため、生前に少しずつ贈与することで相続税対策ができます。ただし、被相続人が亡くなる3年前の贈与(※)は、年間110万円以下でも相続税の課税対象となることを覚えておきましょう。
※2023年の税制改正でこの被相続人の死亡前3年という持ち戻しの期間が、2024年以降の贈与から7年に延長されます。
また、会社のオーナーである場合、配当や利益などの引き下げによって株価を下げる節税対策もあります。そのほか、非上場株式を発行会社に譲渡する際の課税の特例や、非上場株式の納税猶予および免除の特例などの活用も相続税の節税対策として有効といえるでしょう。
配当金の相続のポイント
配当金とは、企業が株主に対して利益の一部を還元するために支払われるお金のことです。配当金を未受領のまま相続が発生する場合があるため、その場合は配当金についても相続手続きをおこないます。
配当金の受け取りには以下の3つの方法があり、故人が生前、どの方法を選択していたかによって、相続の手続き方法が異なります。
- 証券口座での受け取り
- 銀行口座での受け取り
- 配当金領収書による受け取り
配当金を証券口座で受け取っていた場合、株式の移管手続きと一緒に配当金の相続手続きもおこないましょう。また、銀行口座での受け取りだった場合、亡くなったタイミングで口座が凍結され入出金ができなくなるため、新たに受け取り口座を指定する必要があります。
配当金領収書による受け取りとは、配当金を管理する信託銀行などから送付される配当金領収書をゆうちょ銀行に持参し、受け取る方法のことです。亡くなった後、証券会社から相続による株主変更の連絡が入るまで、信託銀行は従来どおり故人に配当金領収書を送ります。
そのため、相続人はゆうちょ銀行で、相続に関する書類を提出し、配当金を受け取りましょう。
証券の相続の流れや評価額の出し方を確認しよう
株式や投資信託などの証券を相続する際は、故人の財産や相続人を洗い出した後に遺産分割協議をおこないます。また、証券を相続するために、相続人は故人の証券が預けられていた証券会社に、自分名義の口座を開設する必要があることをおさえておきましょう。
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