バリュー株とは、本来の価値よりも割安だと判断される株式のことです。PBR(1株あたりの純資産に対する株価)やPER(1株あたりの当期純利益に対する株価)、配当利回りなどから判断します。具体的にはどう見分けるのか、また、投資をする際の注意点などについても見ていきましょう。
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バリュー株とは何か?
バリュー株とは、PERやPBR、配当利回りなどから見て「本来の価値よりも割安」と判断される株式のことです。本来の価値を示すように変動すれば株価上昇を期待できるので、「買い時」あるいは「狙い目」と考えることもできるでしょう。
しかし、企業が属する業界により、割安かどうかの判断基準が異なることもあるので注意が必要です。単純にPERなどの数値で判断するのではなく、各企業の経営状態や同業他社の株価との比較などもチェックし、総合的に判断するようにしましょう。
バリュー株の反対はグロース株
バリュー株の反対の言葉はグロース株です。グロース株とは、市場の平均的な成長よりも高い成長を見せている株式のことで、今後、株価が高くなると期待できます。
企業によって少々違いはありますが、グロース株では利益を配当金として株主に還元するよりも事業への再投資に回していることが多いです。そのため、事業成長が期待でき、株価上昇という形で株主に報いることができます。
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バリュー株を見分ける3つの方法
バリュー株を見分けることができれば、投資する銘柄を探す際に大いに役立つでしょう。一般的には、次の3つの方法でバリュー株かどうかを見分けます。
- PBRが1倍以下か
- PERが10倍以上か
- 配当利回りは4%以上か
ただし、これらの3つのいずれかを満たしていても、株式が属している業界によっては、あるいはその他の状況によっては、バリュー株とはいえないこともあります。これらの3つの条件を参考にしつつ、総合的に株式の価値を判断するようにしましょう。
1.PBRが1倍以下か
PBRとは1株あたりの純資産に対する株価の割合を示す指標で、PBRが1倍であれば1株あたりの純資産と株価が同じと判断します。PBRが1倍以下であれば株価は1株あたりの純資産以下と考えられるので、割安、つまりバリュー株と判断できるでしょう。
ただし、小売業や自動車産業、金融機関などでは業界全体のPBRが低いため、PBRが1倍以下だからといって特別に割安とは判断できないこともあります。PBRが1倍以下であるかを確認するだけでなく、業界内の他企業のPBRとも比較してバリュー株か否かを判断しましょう。
2.PERが10倍以下か
PERとは1株あたりの当期純利益に対する株価の割合を示す指標です。PERが10倍以下の株式はバリュー株と判断し、純利益の大きさに比べて株価が割安と考えます。
ただし、PERもPBRと同様、どの業界に属しているか、どのような経営を行っているかに強く影響を受けるので注意が必要です。PERが10倍以下であるかを確認するだけでなく、同業他社や経営内容が類似する他企業と比較してバリュー株かどうかを判断するようにしましょう。
3.配当利回りは4%以上か
配当利回りとは、株価に対して1年間にどの程度の配当金を受け取れるかを計算したものです。例えば配当利回りが5%であれば、株価・配当金ともに変化しないとすれば100÷5=20年間で元が取れると考えらえます。
配当利回りが4%以上の株式はバリュー株と判断することが一般的です。配当利回りが高いと短期間で元が取れるため、割安だと考えることができます。しかし、配当利回りも業界や経営方針などによって異なるので、他の企業と比べてから慎重に判断するようにしましょう。
バリュー株に投資するメリットと注意点
バリュー株を見分けて投資することには、次の2つのメリットがあります。
- 株価が急落する可能性が低め
- 中長期的に利益を期待できる
しかし、メリットばかりというわけではありません。バリュー株に投資をする際には次の2点に注意をする必要があります。
- 短期的には利益を得にくい
- 倒産リスクが高いものもある
それぞれについて詳しく解説します。
メリット1.株価が急落する可能性が低め
バリュー株は株価が割安と判断できる株式なので、今後、株価が上昇することはあっても、急激に下落することは少ないと考えられます。また、万が一、株価が下落することがあっても、下落の幅は割高な株式よりは小さくなるだろうと予想できます。
メリット2.中長期的に利益を期待できる
上場したばかりのときや革新的なサービス・商品を発表したときなどは、本来あるべき企業の価値よりも高く評価され、株価が一時的に高騰することがあります。また、不祥事などにより企業がダメージを受けたときも、本来の価値よりも低く評価されて、株価が一時的に急落することがあるでしょう。
しかし、中長期的に見れば、ほとんどの株式において株価は妥当とされる数値に落ち着く傾向があります。割高だと思われる株式の価格は下がり、割安な株価は高くなることが多いです。そのため、バリュー株を保有していると、中長期的には株価が上昇し、売却することで利益を確定できる可能性があります。
注意点1.短期的には利益を得にくい
中長期的には利益を期待しやすいバリュー株ですが、短期的に見ると株価が上昇するとは限りません。そのため、短期的な売買で利益を確定したいと考えている方や、近い将来において使い道が決まっている資金を運用したい方には、バリュー株を使った投資は向かないと考えられます。
バリュー株で利益を得たい場合には、中長期的に運用するようにしましょう。
注意点2.倒産リスクが高いものもある
バリュー株は株価が割安だと考えられる株式です。しかし、中には企業経営が思わしくなく、倒産が近づいているために株価が割安になっている株式も含まれている可能性があるので、注意が必要といえるでしょう。
バリュー株を判断する指標のひとつであるPBRは、1株あたりの純資産に対する株価を示す指標ですが、この数値が低いということは会社が解散(=倒産)しても出資した金額よりも少ない金額しか受け取れないということも意味します。つまり、実際の価値よりも割安なときもPBRは低くなりますが、解散が近づいているときもPBRが低くなることがあるのです。
解散リスクが高いためにPBRが低くなっている可能性を排除するためにも、PBRに加えて各企業の自己資本比率もチェックするようにしましょう。自己資本比率が50%以上であれば、借金は比較的少ないと判断でき、解散リスクも高くはないと考えられます。
グロース株に投資するメリットと注意点
株価が割安なバリュー株を見分けて投資に活用することもできますが、成長性が高いグロース株を見分けて、投資に活用することも可能です。グロース株に投資をすることには、次の2つのメリットがあります。
- 短期的に利益を期待できる
- 多額の売却益を期待できる
しかし、グロース株には注意すべき点もあります。投資を始める前に次の2点に留意しておきましょう。
- 割高なことが多い
- 配当利回りが低いことが多い
それぞれについて詳しく解説します。
メリット1.短期的に利益を期待できる
グロース株は成長性が高いと判断される株式のため、短期間で株価が上昇し、売却することで多額の利益を確定できることがあります。また、長期的に成長する株式であれば、長期的に保有することでさらに株価が上昇し、利益もその分、高額になるかもしれません。
短期的にも長期的にも利益を期待したい場合には、グロース株に注目するとよいでしょう。
メリット2.多額の売却益を期待できる
グロース株は、一旦、株価が上昇し始めると長期的に上昇が続き、場合によっては何倍にも株価が高くなることがあります。多額の売却益を期待するのであれば、グロース株を早めに見つけ、長期的に保有することも検討できるでしょう。
ただし、一度はグロース株と判断した株式であっても、必ずしも成長が続くわけではありません。経営状態をこまめに確認し、今後も成長が見込めるのか定期的に判断し直す必要があります。
注意点1.割高なことが多い
グロース株は成長性を見越した株価がついていることが多く、PERやPBRなどの指標で判断すると比較的割高と判断されることもあります。予想通りに成長して株価が高くなっていけば良いのですが、思ったほど株価が上昇しない場合には、単に割高な株式ということになり、損失を招くかもしれません。
PERやPBRをチェックするだけでなく、企業の経営状態などを包括的に見て、判断するようにしましょう。
注意点2.配当利回りが低いことが多い
グロース株では企業利益を事業資金として投入して、高い成長を生み出していることが多いです。そのため、配当利回りが低めで、単に保有しているだけでは利益を得にくい傾向にあります。
また、株主優待も設定していないことが多いので、優待狙いの投資にも不向きです。あくまでも株価の上昇による利益を期待する場合に、グロース株に着目するほうがよいでしょう。
スタンスを決めてから投資を始めよう
株価が割安かどうかに注目するならばバリュー株、企業の成長性に注目するならばグロース株を用いて投資の判断ができます。また、中長期的な利益を期待する場合はバリュー株、短期的にも利益を期待したい場合にはグロース株に注目するとよいでしょう。
投資には正解はありません。自分がどのような基準で判断するかによって、さまざまな投資方法があります。まずはご自身がどのようなスタンスで投資をしたいのかを決め、そのスタンスに合う株式を探すようにしましょう。
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このコラムの執筆者
MONEY HUB PLUS 編集部
株式会社Fan
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