預金が1,000万円ある場合、そのまま金融機関に預けておくよりも資産運用することで大きく増やせる可能性があります。資産運用には外貨預金や投資信託などさまざまな方法があり、自分に合った方法を選べます。
今回は1,000万円の資産運用でおすすめの投資や、非課税で運用できる制度などをご紹介します。
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1,000万円の運用で投資がおすすめな理由
1,000万円を効率良く資産運用するためには、投資がおすすめです。低金利の時代に預金をしたままでは資産が増えず、インフレで現金の価値が減ることのリスクもあります。投資で資産を増やすことは、老後資金が足りない場合の対策にも繋がります。
ここでは、1,000万円の資産運用で投資がおすすめな理由を解説します。
資産を増やせる可能性がある
2023年10月現在、銀行の預金金利の多くは0.001%と低く、預けていても大きく増えることはありません。1,000万円を1年間預金していた場合の利息は100円です。
超低金利といわれる時代に、お金を銀行に預けていても資産を増やすことは難しいでしょう。預金だけで資産運用するのではなく、金融商品を取り入れて投資をすることで、銀行預金のみで運用するよりも高い利回りを得られる可能性があります。
インフレ対策として
金融商品を取り入れて投資をすることで、インフレ対策に繋がります。インフレとは商品やサービスの価格が上昇し、お金の価値が下がることです。例えば、1個100円で購入できていたリンゴがインフレで200円に値上がりした場合、インフレ後の100円はリンゴ半分の価値しかなくなります。
ただ手元にお金を置いていても、価値が減ってしまう可能性があるのです。投資をすることで、このようなインフレに備えられる可能性があります。
老後資金の不足分の対策として
将来の年金制度には不安な要素が多く、投資をすることで老後資金の不足分を補うことにも繋がります。年金制度は現役世代が高齢社会を支える仕組みですが、少子高齢化により現役世代の負担が増大しています。
年金の給付開始年齢は今後70歳以降に引き上げられることも予想されており、個々人が老後の資産形成を考えなければなりません。長期的な投資で1,000万円を資産運用することは、年金収入が減った場合の対策として有効でしょう。
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1,000万円を運用したときのシミュレーション
1,000万円を複利で運用したとき、実際にどのくらい増えるのかについてみてみましょう。
利回りと年数に分けて表にしました。(複利周期は1年とします)
例えば、平均利回り1%で資産運用ができた場合、20年後には約220万円増えることになります。
一方、金利0.001%の銀行に預けたままの場合、20年間でつく利息はわずか2,000円ほどです。この違いは大きいといえるでしょう。投資にリスクはあるものの、大きく増える可能性があります。
1,000万円の運用におすすめの投資
1,000万円の資産運用をするとき、選べる金融商品の種類は豊富です。それぞれにメリット・デメリットがあり、リスクの度合いも異なります。
基本的に、高い利益が期待できる金融商品ほどリスクは高めです。各商品の特徴を把握し、自分に合った投資を選びましょう。
ここでは、1,000万円の資産運用でおすすめの投資を6つご紹介します。
外貨預金
外貨預金とは、日本円を外国の通貨に換金して預金する投資です。円普通預金よりも高い金利で預金できる場合があり、さらに将来円貨へ転換した際の為替相場が、外貨預金開始時より円安となっていた場合は、為替差益を得られることになります。
外貨預金は世界情勢や景気の影響を受けやすく、大きな利益を得ることもあれば、損失が出る可能性もあります。情勢によっては大きく元本割れするリスクがあることは認識しておきましょう。
1,000万円を外貨預金に投資する場合、一つの国だけでなくいくつかの国の通貨を組み合わせれば、リスクを分散できます。
国債・社債
国債・社債とは、国や企業などが幅広く資金を集めるために発行する債券のことです。国が発行するものが国債で、企業が発行するものが社債になります。どちらも定期的に利息が支払われ、満期になると額面金額が戻ってくるという仕組みです。
個人向け国債の場合、金利が満期まで変動しない3年・5年の固定金利型と、半年ごとに金利を見直す10年の変動金利型があります。国債は国が発行しているため安全性が高く、日本政府が債務不履行にならない限り元本割れのリスクはありません。1万円から購入できるため投資しやすく、下限金利として0.05%が保証されているため、銀行預金をするよりも高い金利で運用できます。
社債は企業が事業の拡大などで資金が必要になったとき、資金調達の方法として発行されます。さまざまな種類があり、一般的な「普通社債」のほとんどは固定金利です。設定された満期の期日までの間、利息が支払われる仕組みです。
社債は、発行企業などが倒産した場合などに元本や利息の支払いが行われない可能性があります。発行企業の事業内容や財務状況について、有価証券報告書など開示されている情報でチェックしなければなりません。
投資信託
投資信託とは、複数の投資家から集めた資金をまとめ、専門家が運用する投資方法です。少額から投資でき、プロの投資家に運用を任せられるため投資が初めてでも始めやすいのがメリットです。
ひとつの商品でさまざまな対象に投資するため、リスクを分散しやすいというメリットもあります。
ただし、投資信託は売買や管理のための手数料が発生するのがデメリットです。また、株式のようにリアルタイムの取引はできないことも把握しておきましょう。
ロボアドバイザー
ロボアドバイザーには「アドバイス型」と「投資一任型」の2種類があり、アドバイス型は、最適な資産配分などのアドバイスだけを行うタイプです。基本的にアドバイスは無料で受けられます。
投資一任型は、ロボアドバイザーの提案内容を承認すれば、運用も含めてすべて任せられる一任サービスです。相場の変化で資産配分の変更が必要な場合は、リバランス(商品の組み合わせを見直すこと)もしてくれます。手数料がかかり、やや高めに設定されています。
アドバイス型は商品の購入や運用状況の確認、リバランスを自分で行う必要がありますが、投資一任型であれば、 すべて任せられます。アドバイス型は投資の経験者に向いており、「投資が初めてで、自分では適した判断が難しい」という方には投資一任型がおすすめです。
株式投資
企業が発行する株式を購入し、売買差益を得る投資方法です。株式投資では所有している株数に応じて配当金が受け取れ、株価が値上がりしたときには売却して差益を受け取れます。配当金とは企業が利益を出したとき、その一部を株主へ還元するお金のことで、必ず受け取れるというものではありません。
株式投資は、好きなタイミングで売買できるのがメリットです。また、株主優待を受け取れる場合もあります。ただし、企業の経営状態が悪くなったときは株価下落による元本割れや、上場廃止等のリスクがあり、企業の見極めが必要です。ハイリスク・ハイリターンな投資方法であり、専門的な知識も求められるでしょう。
不動産投資
不動産物件を購入し、主に賃貸による家賃収入を得る投資方法です。月々の家賃収入があるだけでなく、物件自体が資産となるという特徴があります。空室のリスクはありますが、入居者がいる限り安定した家賃収入が入り、ローンの返済が完了すれば将来的に長く家賃収入を見込めるのもメリットです。
不動産投資は経費を損益通算して所得税・住民税を節税でき、現金を所有しているよりも相続税の負担を軽減できるというメリットもあります。
ワンルームマンションであれば初期費用の負担も軽く、1,000万円の資金でもローンを利用することでチャレンジしやすいといえるでしょう。
ただし、不動産投資は空室や家賃下落といったリスクがあり、管理にコストや手間もかかります。大規模修繕に資金がかかる場合もあるでしょう。適切な物件選びとともに、十分な準備・計画が必要です。
1,000万円の運用で活用したい非課税制度
1,000万円の資産運用では、NISAやiDeCoの利用がおすすめです。NISAは運用利益が非課税になり、iDeCoも活用しながら節税の恩恵を受けられます。
どちらも税制の優遇措置を受けながら、効率良く資産運用できるのがメリットです。
ここでは、NISAとiDeCoの内容について、詳しくみていきましょう。
NISA
NISAとは、少額投資非課税制度のことです。「NISA口座(非課税口座)」内で購入した金融商品から得られる利益が非課税になります。
株式や投資信託などの投資で得た利益には、通常で約20%の税金がかかります。しかし、NISAを利用すればこれらの税金がかからず、利益がすべて受け取れるという仕組みです。
2023年までのNISAでは、非課税枠で購入できるのは1年間に120万円までで、非課税期間は最長5年間とされています。年間120万円×5年間=600万円を非課税で運用できるということです。
また一般NISAのほか、長期積み立て向けの少額投資非課税制度として「つみたてNISA」がありました。主に投資信託の積み立てに利用するもので、年間40万円、最大20年間の長期投資ができる制度です。どちらもお得に資産運用できる制度ですが、併用はできませんでした。
2024年1月からは新しいNISA制度が始まりました。
新制度では以下の名称に変わり、2つの制度は併用できるようになります。
- 一般NISA→成長投資枠
- つみたてNISA→つみたて投資枠
年間投資上限額も拡大され、よりお得に投資できるようになります。
■年間投資上限額
- 成長投資枠→年間240万円
- つみたて投資枠→年間120万円
なお、2023年末までに投資した商品は新しい制度の外枠になり、旧制度による非課税措置が適用されます。
iDeCo
iDeCoとは個人型確定拠出年金のことで、私的年金制度のひとつです。20歳以上65歳未満のすべての人が任意で加入でき、老後の資産形成ができます。
毎月掛金を拠出し、投資信託や保険商品などの運用方法を自分で選んで掛金を運用するという仕組みです。 掛金と運用利益の合計額は、将来の年金として受け取れます。
iDeCoは、掛金と運用益、給付を受け取るときの3つの局面で税制上の優遇措置を受けられるのが特徴です。
まず、掛金全額が所得控除(小規模企業共済等掛金控除)の対象となり、所得税・住民税を軽減できます。また、NISAと同じく運用益には課税されません。
将来の受け取りは年金か一時金かを選択できますが、年金として受け取る場合は公的年金等控除の対象です。また、一時金で受け取る場合は退職所得控除の対象となり、節税ができます。
ただし、掛金は60歳まで引き出せないこと、運用の成績によっては元本割れの可能性があることは理解しておきましょう。
1,000万円を上手に運用するポイント
1,000万円の資産運用は大きく増やせるというメリットがありますが、リスクも伴います。上手に運用するには、ひとつの商品に全額を投資するのではなく分散投資でリスクを軽減するなどポイントがあります。また、生活資金は残して余剰資金で運用することも大切です。
1,000万円を上手に運用するポイントについて、詳しくみていきましょう。
分散投資する
投資にはリスクがつきものであり、リスクをできるだけ避けるには分散投資が必要です。ひとつの商品・銘柄に投資すると、得られるリターンが大きくなる代わりにリスクも大きくなる可能性があります。
例えば、複数の卵を1つのカゴに入れておくと、カゴを落としたときにすべての卵が割れてしまいます。しかし、複数のカゴに分けて入れておけば、ひとつのカゴが落ちてもほかの卵に損傷はありません。
投資でも複数の対象に分けて分散投資すれば、どれかに損失が出てもほかで補うことができ、リスクを減らせます。
また、投資のタイミングを分散することも大切です。投資のタイミングとは、すべての資金を1回の投資に使うのではなく、時間をずらして投資することを指します。
価格が高いときは少なめの金額で投資し、低いときは多めに投資することで、平均購入単価を安くすることが可能です。
自動的に買い付けを行う積立投資は、あらかじめ定められたタイミングで、その時の価格が1,000円であっても2,000円であっても、一定量ずつ購入します。
この投資の方法をドルコスト平均法と呼びます。ドルコスト平均法については、こちらの記事で詳しく解説しています。ぜひご一読ください。
ドルコスト平均法とは?「ハイリスクとハイリターンを目指した運用」
余剰資金で行う
投資は余剰資金で行うことが重要です。資産は生活に必要な資金と将来必要になる準備資金、余剰資金に分けられます。
生活に必要な資金とは半年〜1年程度の生活費を指し、準備資金は近い将来に出費を予定している費用です。例えば、住宅の購入や教育費などの大きな支出があげられます。これらを残した金額が余剰資金となります。
投資は元本割れのリスクがあることを想定し、万が一損失が出ても生活に支障をきたさない余剰資金で投資するようにしましょう。
1,000万円を運用する際の注意点
1,000万円の資産運用では、リスクがあることの認識が必要です。リスクとは危険という意味ではなく、価格の振れ幅を指します。
「リターンが予測できない」という意味であり、不確実の要素が大きければ「リスクが大きい」ということです。反対に不確実の要素が小さければ「リスクが小さい」ことになります。
資産運用のリスクを踏まえながら、1,000万円の運用で注意すべき点を解説します。
元本割れの可能性がある
投資では元本が保証されておらず、元本割れのリスクがあります。元本割れとは金融商品の価格が変動し、元の投資額を下回ることです。
満期時には元本が戻ってくる個人向け国債など、元本確保を目指した金融商品はありますが、元本保証とは異なります。元本保証は運用期間中も元本割れすることはありませんが、元本確保の商品は解約などで途中で換金したときに元本割れする可能性があります。
金融機関の預貯金には元本1,000万円とその利息まで元本保証がありますが、低金利のため大きく増やすことは難しいです。投資でお金を増やしたい場合、選べる金融商品のほとんどが元本保証がなく、元本割れのリスクがあるということは承知しておきましょう。
ハイリターンを狙わない
リスクは予測できないリターンの振れ幅であり、リターンと比例しています。リターンが大きければリスクも大きくなるという関係です。小さいリスクで高い利益を狙える商品はなく、大きな利益を得ようと思えばそれだけリスクが大きくなり、元本割れのリスクも高まります。
おすすめの投資でご紹介したなかでは株式投資が最もハイリスク・ハイリターンで、投資信託、債券と続きます。
初めて投資する場合はハイリターンを狙わず、ローリスクで運用していくのがよいでしょう。ハイリスク・ハイリターンの投資をする場合は、万が一全額を失っても生活に困らない程度の余剰資金で行うことをおすすめします。
1,000万円を運用して資産を増やそう
1,000万円の資産を効率良く増やすには、預金だけで運用するではなく投資も併用することがおすすめです。投資は高い利回りで将来の資産形成に役立ち、インフレや老後の対策になります。
1,000万円の資産運用では、さまざまな金融商品の中から自分に合う投資方法を選べます。メリット・デメリットやリスクを確認しながら、適したものを見つけましょう。
「1,000万円の資産運用を検討しているが、なにから始めたらいいのか迷っている」という方は、投資信託相談プラザの個別相談を利用してみてはいかがでしょうか。投資信託の専門家が、資産運用の疑問や悩みについて無料相談に対応しています。
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このコラムの執筆者
MONEY HUB PLUS 編集部
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