NISA口座の金融機関変更の方法は?変更するメリット・デメリット

NISA口座の金融機関変更の方法は?変更するメリット・デメリット

資産運用 投資信託

NISA口座では取引する金融機関を年単位で変更することができますが、変更するタイミングに注意が必要です。本コラムではNISA口座の金融機関変更の方法や、変更するメリット・デメリットについて紹介していきます。

来年1月から金融機関を変更したい場合は?

金融機関変更に関する質問にお答えします

NISA口座は1人につき1口座までしか開設できない

新NISAで証券会社を変更する前の確認事項

NISAを利用するには、銀行や証券会社等の金融機関にNISA口座を開設する必要があります。NISA口座は、すべての金融機関を通じて1人1口座しか開設できません。

すでに金融機関でNISA口座を保有している場合、他の金融機関で2口座目を開設することはできません。そのため、すでにNISA口座を開設済みで、他の金融機関でNISA口座を使って投資をしたい場合は、金融機関の変更手続きが必要です。

NISA口座における金融機関変更の手順

新NISA口座の取引を行う証券会社を変更する手順

NISA口座では取引を行う金融機関を年単位で変更することができます。

NISA口座の金融機関変更を行う場合、現在取引中の金融機関で必要になる手続きと、新たにNISA口座を開設する金融機関において必要になる手続きがあります。詳しい流れをみていきましょう。

現在NISA口座を開設している金融機関で行う手続き

現在NISA口座を開設している金融機関に対して行う手続きは、「非課税口座廃止」の場合と「勘定廃止」の場合で異なります。

ここで大切なポイントは「非課税口座廃止」と「勘定廃止」の違いです。

「非課税口座廃止」であれば、文字通りNISA口座を廃止することを指します。NISA口座の残高を解約または課税口座に移動する手続きも必要となります。NISA口座のみ作成していて、残高がない方におすすめです。

「勘定廃止」の場合は、非課税管理勘定のみを廃止し、これまで保有していた商品は変更前の金融機関で引き続き非課税扱いで保有することが可能です。NISA口座に残高がある方におすすめです。

2023年までのNISA制度を使って買付した分については、非課税期間終了まで非課税扱いで運用が可能です。2024年以降の新NISA制度を使って買付した分については、無期限で運用が可能です。この場合、移動する前の金融機関に残した残高の管理を忘れないようにしましょう。

手続きの流れを確認します。

勘定廃止の場合

  1. 金融機関変更したい旨を申し出る
  2. 金融商品取引業者等変更届出書の記入・提出
  3. 勘定廃止通知書を受け取る

まずは現在取引中の金融機関に連絡し、金融機関を変更したい旨を伝えます。

Webでの申請ができるか、電話が必要かは各金融機関によって異なりますので、取引金融機関へお問い合わせください。営業担当がついている場合は、担当に相談するという方法もあります。申し込みをすると、金融商品取引業者等変更届出書が送られてくるため、記入して提出します。受理されると、勘定廃止通知書が送られてきます。

非課税口座廃止の場合

  1. 金融機関変更したい旨を申し出る
  2. 非課税口座廃止届出書を記入・提出
  3. 非課税口座廃止通知書を受け取る

大まかな流れは勘定廃止の場合と同様です。

新しく取引を始める金融機関で行う手続き

現在取引中の金融機関で行う手続きと平行して、新しく取引を始める金融機関においても手続きをする必要があります。

  1. 総合口座の開設
  2. NISAの申し込み手続き
  3. 非課税口座開設届出書の記入
  4. 勘定廃止通知書/非課税口座廃止通知書を郵送
  5. NISA口座開設

まず、総合口座を開設します。次にNISA口座の申し込みをしましょう。

※金融機関によっては、証券総合口座開設申込とNISA口座開設申込を一度に行えるようなフォーマットになっている場合もございます

必要書類を提出します。本人確認書類の写しとNISA口座開設届出書、「勘定廃止通知書」あるいは「非課税口座廃止通知書」を送付します。

税務署で審査が行われた後、NISA口座が開設されます。審査には数週間かかることもあります。余裕をもって手続きをすすめましょう。

取引する金融機関を変更するメリット

取引する金融機関を変えることで次のようなメリットが想定できます。

  • 取引可能な商品の選択肢が増えることがある
  • 手数料が下がる場合がある
  • アプリの操作など使い勝手がよくなる場合がある
  • ポイントが貯まることがある
  • キャンペーンを実施していることがある

それぞれのメリットについて、詳しくみていきましょう。

取引可能な商品の選択肢が増えることがある

2024年からのNISAはこれまでできなかった、つみたて投資枠と成長投資枠の併用が可能になりました。

新制度では年間投資枠・非課税保有限度額の範囲内であれば、つみたて投資枠で投資信託の積立買付をしながら、成長投資枠の対象商品も同時に一括/積立買付することも可能です。

成長投資枠の投資対象商品は上場株式・投資信託等(※)です。

NISAで利用できる金融商品は金融機関によって違いがあり、商品ラインナップの豊富な金融機関に変えることで、取引可能な商品の選択肢が増えます。たとえば、取引する金融機関を変更することで、成長投資枠の対象銘柄にある上場株式やETFなどの買付が可能になるケースもあります。

※①整理・監理銘柄②信託期間20年未満、毎月分配型の投資信託およびデリバティブ取引を用いた一定の投資信託等を除外

手数料が下がる場合がある

投資信託の買付等に係る手数料等は、同じ商品でも金融機関により異なるため、金融機関を変更することで、金融商品を買付する際に支払う取引手数料が下がる場合があります。手数料が低く抑えられていれば、投資の効率が良くなります。金融機関の変更を検討する際には、取引手数料を比較するようにしましょう。

アプリの操作など使い勝手がよくなる場合がある

インターネットサービスやアプリは、証券会社ごとに独自のサービスを提供しています。使いやすさは証券会社によって違うため、使いやすいサービスの証券会社を選びましょう。

運用レポートなどのチェックのしやすさも重要です。ほかにもマーケット情報や経済ニュース、相場の見通しといった情報提供が豊富にあるかどうかもポイントです。

ポイントが貯まることがある

金融機関によっては、取引に応じてクレジットカードなどのポイントを貯められることもあります。また、ポイントを使って投資することもできます。上手に活用することで、使い道のないポイントの有効活用になります。

ポイント投資とは?メリット・デメリットと3つのポイント

キャンペーンを実施していることがある

新規でNISA口座を開設した場合には、口座開設の各種キャンペーンを利用できることがあります。

ただし、キャンペーンの内容にだけ注目してしまうと、取引手数料が高かったり、金融商品のラインナップが少なかったりします。金融機関を比較する際には、キャンペーン以外の内容も確認するようにしましょう。

取引する金融機関を変更するデメリット

【新NISA】取引証券会社を変更するデメリット

取引する金融機関を変更する際に、次のようなデメリットが想定されます。注意しましょう。

  • 変更前の口座で保有していた残高を移管できない
  • 複数の口座を保持することで管理の手間が増える
  • 証券会社変更は年に一回まで

それぞれのデメリットの内容について、紹介します。

変更前の口座で保有していた残高を移管できない

以前の金融機関の口座で保有していた残高は、新しく取引する金融機関へ移すことができません。そのため移動する前の口座で保有している残高は売却するか、もしくは売却しないでそのまま保有することになります。

先述のとおり、2023年までのNISAで買付した商品があり、その残高を残している場合は移動する前の金融機関に残高が残っていることを忘れないようにしないといけません。非課税保有期間満了後は、課税口座に移り、その後の配当金や売買益等については課税の対象となります。(※)

※特定口座や一般口座などの課税口座に移管する場合は、非課税保有期間終了時の時価が取得価額になります。

※特定口座をお持ちの方は、特段の手続をすることなく、NISA口座内の非課税管理勘定の上場株式等は非課税保有期間終了時に特定口座に移管されます。特定口座をお持ちの方で、一般口座への移管を希望される場合にはNISA口座を開設している証券会社などに所定の依頼書を御提出ください。なお、特定口座に移管する場合は、同一年分の年間投資枠に係る同一銘柄の上場株式等は、その全てを特定口座に移管しなければなりません。特定口座をお持ちでない場合は、特段の手続をすることなく、一般口座に移管されます。

参考:日本証券業協会|みんなにいいさ!NISAがいいさ!2023年までの一般NISAについて

管理の手間が増える

以前利用していた金融機関に口座を残しておく場合、1つの金融機関を利用する場合に比べると、管理の手間が増えてしまいます。インターネットサービスのIDやパスワードなども、複数管理しなければなりません。

分散投資を行っていても、どのような資産にいくら投資しているのかもわかりにくくなってしまいます。

金融機関変更は年に一回まで

先述のとおり、NISA口座の金融機関変更は、年に一回しかできません。変更するタイミングにも注意が必要で、変更したい年の前年10月1日~変更したい年の9月30日までに手続きを完了させましょう。

たとえば、2024年中に金融機関を変更したい場合は、金融機関にもよりますが、2024年9月末までに変更手続きを完了させる必要があります。

また、変更を希望するの1月1日以降に一度でもNISA口座の買付をしていた場合は、その年の金融機関変更ができなくなってしまうことも注意しましょう。

2025年の1月から新しく取引をする金融機関でNISA口座を使いたい場合、これも金融機関にもよりますが、一般的には2024年10月から2024年12月中旬ごろまでに手続きを完了させる必要があります。

新NISAのよくある質問・相談まとめ

投資の目的に合った金融機関と取引しよう

メリットや方法を確認して証券会社を変更しよう

2024年1月から始まった新NISA制度は、年間投資枠・非課税保有限度額が大幅に広がり、非課税保有期間も無制限になりました。長期で資産形成がしやすくなり、使いやすい制度に変更されています。

NISAの活用や、現在保有している金融商品の運用について悩んでおられる方はぜひ、投資信託相談プラザのIFAにお気軽にご相談ください。IFAは銀行や証券会社に所属していない独立系投資アドバイザーで、中立的な立場からご提案が可能です。

SBI証券・楽天証券といった大手ネット証券と提携し、豊富な選択肢の中からお客様のライフプランや性格・資産状況に合わせたアドバイスを提供いたします。

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NISAのご注意事項

・配当金等は口座開設をした金融機関等経由で交付されないものは非課税となりません。NISA口座で国内上場株式等の配当金を非課税で受け取るためには、配当金の受領方法を「株式数比例配分方式」に事前にご登録いただく必要があります。

・同一年において1人1口座(1金融機関)しか開設できません。NISAの口座開設は、金融機関を変更した場合を除き、1人につき1口座に限られ、複数の金融機関にはお申し込みいただけません。金融機関の変更により、複数の金融機関でNISAの口座を開設されたことになる場合でも、各年において1つの口座でしかお取引いただけません。また、NISAの口座内に保有されている商品を他の年分の勘定又は金融機関に移管することもできません。なお、金融機関を変更される年分の勘定にて、既に金融商品をお買付されていた場合、その年分について金融機関を変更することはできません。

・NISAで購入できる商品は金融商品取引業者が指定する商品に限られます。

・2024年からの新NISAでは年間投資枠と非課税保有限度額が設定されます。

・損失は税務上ないものとされます。

・出国により非居住者に該当する場合、NISA口座で上場株式等の管理を行うことはできません。

・2024年からの新NISAにおけるつみたて投資枠では積立による定期・継続的な買付しかできません。

※ その他、2024年からの新NISAに関するご注意事項、並びに2023年までの一般NISA ・つみたてNISA等に関するご注意事項の詳細は金融商品取引業者のWEBサイトにてご確認ください。

このコラムの執筆者

MONEY HUB PLUS 編集部

株式会社Fan

未来につながる投資情報メディア「Money Hub Plus(マネハブ)」の編集部です。
みなさまの資産形成に役立つ情報を日々発信しております。

本コンテンツは情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘する目的で、作成したものではありません。銘柄の選択、売買価格等の投資の最終決定は、お客様ご自身でご判断いただきますようお願いいたします。本コンテンツの情報は、弊社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その情報源の確実性を保証したものではありません。本コンテンツの記載内容に関するご質問・ご照会等には一切お答え致しかねますので予めご了承お願い致します。また、本コンテンツの記載内容は、予告なしに変更することがあります。

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