ETFは上場投資信託のことで、値動きがわかりやすくコストが低いなどいくつものメリットがあります。また、ETFは幅広い種類があるのが特徴です。
本記事ではETFと一般的な投資信託の違いや仕組みを説明し、メリットや注意点、おすすめのETFについても紹介します。
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INDEX
ETFとは?
ETFとは「Exchange Traded Funds」の略で、上場投資信託のことです。日経平均株価などの株価指数との連動を目指して運用されます。株式と同じく証券取引所で取引するという点で、一般的な投資信託と異なります。
ここでは、ETFとはどのようなものか説明し、投資信託や株式投資との違いなどを紹介しましょう。
証券取引所に上場している投資信託
ETFとは、証券取引所に上場している投資信託のことです。日経平均株価や東証株価指数など、特定の株価指数と連動することを目標に運用されています。
株式と同じく証券会社を通じ証券取引所で売買の注文ができ、注文方法は指値注文と成行注文のどちらも可能です。
また、市場が開いている時間であればリアルタイムに売買できるため、希望の金額で売買できるのがメリットです。
一般的な投資信託との違い
ETFは一般的な投資信託とは上場しているか否かの違いがあるほか、銘柄数や手数料が異なります。投資信託は約6,000銘柄と多いのに対し、ETFは約250銘柄と少なめです。
また、投資信託は証券会社のほか銀行や郵便局でも購入できますが、ETFは証券会社でしか購入できません。
そのほか保有中の信託手数料は、銘柄にもよりますが、投資信託よりもETFのほうが低めです。
株式投資との違い
株式投資とETFとは、個別の銘柄を購入するか、複数を同時に購入するかの違いがあります。株式は個別に銘柄を選んで投資するため、株価はその企業の業績などの要因で上下します。
一方、ETFは数多くの銘柄を揃えた商品であり、ひとつ購入すれば複数の銘柄を購入した場合と同じ分散投資ができます。そのうちの一企業の業績が悪化して株価が下がっても、損失を抑えることが可能です。
特定の企業に投資してハイリスクながらハイリターンを狙いたい場合は株式投資を、多数の銘柄にリスクを分散させたい場合はETFが適しているでしょう。
投資信託とETF(上場投資信託)の違いとは?どちらがおすすめかも紹介
ETFの仕組み
ETFには一般の投資家が売買する流通市場と、機関投資家といった大口投資家のみが取引する発行市場があります。
流通市場だけでは大規模の取引を行う機関投資家の需要に対応できない場合、発行市場でETFを新たに発行する「設定」や、解約のための「交換」をすることができます。発行市場で発行されたETFが流通市場で流通するというのがETFの仕組みです。
ETFのメリット
ETFにはさまざまなメリットがあり、資産形成の手法として活用されています。代表的なメリットは、簡単に分散投資ができること、株価指数と連動しているため値動きがわかりやすいこと、リアルタイムで取引できることなどです。
投資信託と比較して手数料が安いのも、メリットといえるでしょう。
ここでは、ETFのメリットを紹介します。
分散投資でリスクを抑える
投資にはリスクがつきものですが、投資先をひとつに絞るよりも複数に分散させることでリスクを軽減することができます。ETFは簡単に分散投資ができる商品であり、リスクを抑えられる点がメリットです。
また、ETFは株価指数の動きに連動するよう運用されるため、ETFを購入すればその指数を構成する銘柄をすべて購入できることになります。
複数の企業に投資するには多額の資金が必要になりますが、ETFであれば数万円程度と少額から購入が可能です。
値動きがわかりやすい
ETFは株価指数の動きに連動するため、値動きがわかりやすいのがメリットです。
株価指数とは市場全体や特定の銘柄群の株価の動きを示すものです。日本の代表的な株価指数にはTOPIX(東証株価指数)や日経平均株価などがあり、TOPIXは東証1部上場の全銘柄、日経平均株価は代表的な銘柄225種を対象に、定められたルールで算出されています。
ETFはこれら指数の動きに連動するよう運用されているため、指数を見ればETFの値動きがわかる仕組みです。
リアルタイムで取引できる
ETFは市場が開いている時間帯であれば、リアルタイムで取引できるのが特徴です。投資信託では購入の申込みから確定まで時間がかかり、希望通りの価格で購入できない場合もあります。
しかし、ETFはリアルタイムに価格を確認し、希望の金額を指定できる指値注文ですぐに購入できるのがメリットです。
さらに、ETFは信用取引もできます。売り注文ができるため、買い注文で損失が出ているときに売り注文で損失を抑えることも可能です。
コストが低い
ETFでは売買手数料と信託報酬といったコストがかかります。このうち、ETFの売買手数料は取引金額の0.1〜0.5%程度と、投資信託と比較して安い傾向です。
また、保有中に支払う信託報酬も投資信託に比べて低く設定されています。投資信託の信託報酬は、投資信託の販売を行う販売会社(証券会社、銀行など)と運用会社、信託銀行の3社に支払いますが、上場しているETFは販売会社への手数料が必要ないため、信託報酬が低く抑えられるのです。
幅広い種類がある
ETFは投資信託と比較すると品数は少ないものの、投資できる商品の種類は幅広いのがメリットです。ETFには主に、以下のような種類があります。
- 国内株式
- 外国株式
- 国内債券
- 外国債券
- J-REIT(リート)・海外REIT(リート)
- コモディティ(商品)
- レバレッジ ・インバース型
外国株式はNYダウやS&P500、商品(コモディティ)は金や銀などに連動します。J-REIT(リート)は不動産投資信託であり、東証REIT指数に連動するものです。海外REIT(リート)はS&P先進国REIT指数に連動します。
レバレッジ型はTOPIXや日経平均などの変動率に一定の倍率を乗じて算出される指標に連動し、インバース型は一定の負の倍数を乗じて算出される指標に連動します。どちらも市場が予測どおりに動けば大きなリターンを得られる可能性がありますが、その分リスクも高い商品です。
配当利回りの高いETFもある
ETFには高い利回りの高配当ETFもあります。株式の中でも配当利回りが高い銘柄を選んで構成されているETFです。利回りとは購入した銘柄から1年間に受け取れる配当を数値で示したもので、高配当ETFは年に1〜2回程度、高い配当金の受け取りが期待できます。
国内株の平均配当金利回りは2〜3%程度であるところ、高配当ETFは4〜5%と高めです。
高配当の企業は経営が安定しており、株主への利益還元姿勢が高いなどの特徴があり、長期的に配当金の収入を得て資産形成したい方に向いています。
ETFの注意点
ETFにはメリットがたくさんありますが、注意したい点もあります。まず、種類は豊富なものの銘柄数は少なめです。また、ETFの多くは自動積立ができません。
ETFは株価指数に連動するため、指数が変動すればETFの価格も変動します。変動による損失があることも認識しておかなければなりません。
ETFの購入で注意したい点を見ていきましょう。
銘柄が限られる
ETFは一般的な投資信託と比較すると、銘柄数が限られます。しかし、投資信託でも店舗によっては扱う銘柄数が異なり、必ずしも多くの中から選べるとは限りません。また、銘柄が多すぎて選ぶのに困ることもあるでしょう。
ETFは株式や債券のほか、不動産や金など幅広い商品に投資できます。銘柄数は少なくても商品の種類は幅広いため、デメリットと感じることは少ないといえるでしょう。
自動積立ができない場合がある
投資信託の場合は初回に金額を設定し、毎月自動でETFを買い付ける自動積立の利用ができます。
ETFの自動積立サービスを扱う証券会社もありますが、提供していない会社も少なくありません。自動積立がない場合、ETFの積立投資をするにはその都度自分で取引をする必要があります。
自動積立サービスはネット証券の一部で利用できるため、手間なく積立投資をしたい方はそちらを利用するとよいでしょう。
自動で配当の再投資ができない
ETFは配当金の再投資ができない点にも注意が必要です。投資信託の場合は受け取った分配金を自動で再投資にあてることができますが、ETFにはそのような仕組みがありません。配当金や利息は運用経費を差し引き、決算時にすべて分配されます。
分配金で再投資したい場合は、手動で保有しているETFを探し、買い付けをしなければなりません。
価格変動などのリスクがある
ETFは特定の株価指数に連動することを目指す商品であり、指数が経済情勢等の影響を受けて価値が下落すれば、ETFの価格も連動して下がります。元本割れなど損失を受ける可能性があることを把握しておきましょう。
また、海外ETFの場合は、外国為替相場の変動を原因として損失が発生する可能性があります。
おすすめのETF
ETFはさまざまな種類があり、初めて購入する場合はどれを選んだらよいかわからないこともあるでしょう。初心者の方におすすめの国内ETFは、日経平均株価やTOPIXに連動する商品です。値動きが安定しているため、リスクを抑えた運用が期待できます。
海外ETFであれば、マイクロソフトやアップルなど、有名企業の銘柄を扱うETFが安心でしょう。
ここでは、初心者におすすめのETFを紹介します。
国内のETF
国内のETFでおすすめの商品は、以下の3点です。
- ダイワ上場投信-日経225
- NEXT FUNDS 日経平均225連動型上場投信
- NEXT FUNDS TOPIX 連動型上場投信
「ダイワ上場投信-日経225」は、東証1部上場銘柄のうち代表的な225銘柄への連動を目指す銘柄です。日経225は日本の景気や経済の動向を把握しやすい指数であり、ユニクロを運営するファーストリテイリングやKDDIなどから構成されています。
「NEXT FUNDS 日経平均225連動型上場投信」も日経225に連動を目指すETFで、売買高が多く、希望するタイミングで取引を成立させやすいのがメリットです。
「NEXT FUNDS TOPIX 連動型上場投信」は、TOPIXとの連動を目指して運用する銘柄です。トヨタ自動車やソニーグループ、ソフトバンクグループなどが組入銘柄となっています。
海外のETF
海外のETFでは、以下の3点がおすすめです。
- SPDRポートフォリオS&P 500高配当株式ETF(SPYD)
- iシェアーズ 米国優先株式 ETF
- バンガード・トータル・ストック・マーケットETF(VTI)
「SPDRポートフォリオS&P 500高配当株式ETF(SPYD)」は、世界3大運用会社のひとつであるステートストリート社が運用する米国ETFです。原則として配当利回りが上位の80銘柄で構成されており、高配当が期待できます。
「iシェアーズ 米国優先株式 ETF」は502の銘柄で構成され、配当が高いため長期投資に向いているETFです。
「バンガード・トータル・ストック・マーケットETF(VTI)」はCRSP米国総合指数に連動するETFで、投資対象は米国市場全体です。3,500銘柄以上を保有しており、アップルやマイクロソフト、Amazonなどを組入銘柄にしています。
ETFは比較的低コストで運用できる
ETFは上場投資信託のことであり、株式と同じく証券取引所で売買できる商品です。少額で分散投資ができ、リアルタイムで取引できるなど多くのメリットがあります。投資が初めての方でも購入しやすい銘柄があるため、ぜひ試してみてはいかがでしょうか。
このコラムの執筆者
MONEY HUB PLUS 編集部
株式会社Fan
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