外貨建て金融商品とは?主な種類やメリット、注意すべきリスクを解説

外貨建て金融商品とは?主な種類やメリット、注意すべきリスクを解説

資産運用

外貨建て金融商品とは、日本円を外貨に両替して運用する商品を指します。外貨建てMMFや外貨建て債券などの種類があり、それぞれ異なる特徴をもちます。外貨建て金融商品の種類や商品ごとの特徴、起こりうるリスクなどを理解しておきましょう。

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外貨建て金融商品の特徴とは?

外貨建て金融商品の特徴とは?

外貨建て金融商品の特徴は、「日本円を外貨に両替して運用すること」「利益の有無が為替変動に影響されること」です。外貨の種類には米ドルやユーロなどが挙げられ、金利や利回りの表示も外貨ベースで行われます。円安時には為替差益が生じ、円高時には為替差損が生じます。

なお、外貨建て金融商品は特定の商品を表す名称ではなく、外貨建てMMFや外貨建て債券などのさまざまな商品の総称です。外貨建て金融商品の基本的な特徴を理解したら、関連する為替レートと為替手数料の仕組みを次項で確認しましょう。

為替レートと為替手数料の仕組み

為替レートとは、通貨を外貨に交換する際の取引価格のことです。目的に応じて以下の3つに分かれます。

  1. TTM(対顧客電信仲値)
  2. TTS(対顧客電信売相場)
  3. TTB(対顧客電信買相場)

TTMとは、金融機関が外国為替取引を行う際のベースとなるレートです。TTSは金融機関が顧客に外貨を売る際に用いる基準で、TTMに手数料相当分を上乗せしたものです。

反対に、TTBは金融機関が顧客から外貨を購入する際に用いられ、TTMから手数料相当分を差し引いて算出します。為替変動がない場合、TTSとTTBの差額が為替手数料となります。

外貨建て金融商品を運用するメリット

外貨建て金融商品を運用するメリット

外貨建て金融商品を運用するメリットは、円安(=外貨に対して日本円の価値が下がる状態)になった際に為替差益を得られることです。為替差益とは、為替レートの変動によって得られる利益のことです。例えば、10万円を米ドルで運用したと仮定しましょう。

1ドル110円で10万円を米ドルに両替すると、「10万円÷110円=909ドル」です。運用中に米ドルの価値が1ドル130円に上がった場合、米ドルから日本円に両替すると「909ドル×130円=11万8,170円」のように為替差益が発生します。

また、日本に比べて金利が高い傾向にあることも、外貨建て金融商品で投資するメリットです。複利運用をすれば、より効率的に資産を増やせるでしょう。

その他のメリットとして、投資の選択肢が広がることも挙げられます。外貨建て金融商品では世界中の投資先が候補となるため、好条件の投資先を見つけやすくなるでしょう。

外貨建て金融商品の種類は主に7つ

外貨建て金融商品の種類

外貨建て金融商品には、主に7つの種類があります。

  1. 外貨建て預金
  2. 外貨建て投資信託(ETF)
  3. 外貨建てMMF
  4. 外貨建て株式
  5. 外国為替証拠金取引(FX)
  6. 外貨建て保険
  7. 外貨建て債券

運用する商品を考える際は、種類ごとの特徴を理解したうえで決定することが大切です。ここでは、外貨建て金融商品の種類と特徴について詳しく解説します。

1.外貨建て預金

外貨建て預金とは、日本円を米ドルやユーロなどの外貨に換えて預金する商品です。外貨建てで利息がつくのが特徴で、円預金よりも金利が高く設定されていることが多いです。

株式投資や債券投資とは異なり、外貨ベースでは元本が目減りしません。一方で、預金保険制度やクーリングオフを適用できない点や、円換算した際に元本割れする可能性がある点には注意が必要です。

2.外貨建て投資信託(ETF)

外貨建て投資信託とは、米ドルやユーロ、ポンドなどの外貨で運用する投資信託のことです。基準価額や分配金が外貨建てで表示されます。外貨建て投資信託の多くは、海外で設定・運用される外国籍投資信託です。

また、海外の取引所に上場している投資信託(=上場投資信託)は海外ETFと呼ばれます。海外ETFのメリットは、株式投資のようにリアルタイムで取引できる点や、低コストで運用できる点です

3.外貨建てMMF

外貨建てMMFは外貨建て投資信託の一種で、主に外貨建ての公社債で運用を行います。格付の高い短期の国債などを投資対象としているため、比較的リスクを抑えられるのが特徴です。

売買手数料は発生しません。また、外貨建ての定期預金では満期前の解約時にペナルティが発生しますが、外貨建てMMFはペナルティなしで換金可能です。

4.外貨建て株式

外貨建て株式とは、外国籍の株式に投資する商品のことです。成長性の高い海外の企業に投資できるのがメリットですが、国内株式と比べて情報量が少ない点や、カントリーリスクがある点には注意しなければいけません。

外貨建て株式の運用を始める際は、外国証券取引口座を開設する必要があります。なお、外貨建て株式を売買する方法は以下の2つに分かれます。

  1. 海外委託取引
  2. 国内店頭取引

海外委託取引は、証券会社に外国株式の委託注文を出し、海外の株式市場で直接取引する方法です。

国内店頭取引は取引所を通さずに取引する方法で、証券会社が投資家の売買相手となります(=相対取引)。

5.外国為替証拠金取引(FX)

外国為替証拠金取引(FX)は先物取引の一種です。先物取引とは、売買の条件をあらかじめ決めておき、約束した期日に売買する仕組みです。

FXでは、取引額の一部に相当する証拠金を預けて外国為替の取引を行います。少額の証拠金だけで大きな金額の取引ができるため、ハイリスク・ハイリターンの投資方法として知られています

6.外貨建て保険

外貨建て保険とは、外貨で保険料を払い込み、保険金や解約返戻金を外貨で受け取る保険商品です。保険会社によっては、日本円で払い込みや受け取りができるタイプもあります。

外貨建て保険は海外の金利で運用されるため、円建て保険に比べて解約返戻率が高めです。ただし、外貨で受け取った保険金や解約返戻金を日本円に換える際は、円換算の金額が為替相場変動の影響を受けるリスクがあります。

外貨建て終身保険や外貨建て個人年金保険、外貨建て養老保険などの種類があるため、運用する際はそれぞれの特徴を比較して検討しましょう。

7.外貨建て債券

外貨建て債券は外国債券の一種で、元本の払い込みと利子・償還金の受け取りを外貨で行う仕組みです。海外の国や企業が自国の通貨や米ドル建てで発行するケースが多く、その他にユーロ建て、豪ドル建てなどの先進国通貨建てのものや、メキシコペソ建て、南アフリカランド建てなどの新興国通貨建てのものもあります。

外貨建て債券では、国内外の社債や格付の高い国債・政府保証債などに投資できます。新興国の金利は、先進国と比較して相対的に高い傾向があります。

外貨建て金融商品のリスクとは?

外貨建て金融商品のリスクとは?

外貨建て金融商品では、為替の動きや政治・経済情勢の変化などによって、さまざまなリスクが発生する可能性があります。運用にあたって注意すべきリスクは、主に以下の5つです。

  1. 為替変動リスク
  2. 価格変動リスク
  3. 信用リスク
  4. カントリーリスク
  5. 流動性リスク

外貨建て金融商品の運用を検討しているなら、起こりうるリスクを正しく理解しておきましょう。

為替変動リスク

為替変動リスクとは、外貨建て金融商品の購入時または運用成果を日本円で受け取る際に、為替レートの影響によって為替差益や為替差損が生じることです。為替が変動する要因は主に以下の3つです。

  1. ファンダメンタルズ(経済成長率、物価や金利の動向など)
  2. 政策要因(金融政策、財政政策など)
  3. 軍事衝突、自然災害など

これらの要因によって為替が変動し、円安が進んだ場合は為替差益として利益が得られます。反対に円高が進んだ際は為替差損が生じるため、金額が目減りします。為替変動リスクに備えるためには、購入する商品や購入時期の分散、長期保有などが有効です

価格変動リスク

価格変動リスクとは、価格の変動が投資資産の価値に影響を及ぼす可能性があることです。価格の下落だけではなく、価格の上昇も含めた値動きの振れ幅を指します。

価格変動の大きい金融商品は大きなリターンが期待され、反対に、価格変動の少ない金融商品はリターンも小さくなる傾向があります

信用リスク

信用リスクとは、投資対象の国や企業の財政難、経営悪化などによって、債務不履行が起こる可能性のことです。債務不履行とは、あらかじめ定められた条件どおりに利息や元本が支払われないことを指します。

債務不履行が予想される、または実際に起こった場合は、発行体の有価証券の価格が下落します。最悪のケースでは発行体が倒産し、投資元本が償還されないこともあるでしょう。

大きな損につながる可能性があるため、投資対象の国や企業の格付、財務などを常にチェックしておくことが重要です

カントリーリスク

カントリーリスクとは、投資対象国や地域の政治・経済情勢が変化した際に、通貨や資産の価値が下落する可能性を指します。特に新興国においては、国債がデフォルトすることも珍しくありません。

国が発行する債券に投資する際は、その国の政治や経済の動向に目を配ることが大切です。高金利の債券ほど債務不履行に陥る危険性が高いため、リスクを考慮したうえで国債を選びましょう

流動性リスク

流動性リスクとは、売買が極端に少なくなることによって、売りたいタイミングで思うように売却できない可能性があることです。人気や知名度の低い銘柄は市場での取引量が少ないため、流動性リスクが起こりやすくなります

また、企業の不祥事が発覚して上場廃止となると、取引所での株式の売買ができません。そのため、上場廃止の可能性が高まった際は投資家の売り注文が殺到しますが、買い手が見つからないことから値がつきにくくなります。

外貨建て金融商品を運用してみよう

外貨建て金融商品を運用してみよう

外貨建て金融商品とは、日本円を外貨に換えて運用する商品のことです。外貨建て投資信託や外貨建て債券などさまざまな種類があるため、種類ごとの特徴を比較し、自分に合う商品で運用を始めるのがおすすめです。

また、為替の動きや政治・経済情勢の変化などによるリスクにも目を配りましょう。基本的な仕組みやメリット、起こりうるリスクを理解したうえで、外貨建て金融商品を運用してみてください。

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このコラムの執筆者

MONEY HUB PLUS 編集部

株式会社Fan

未来につながる投資情報メディア「Money Hub Plus(マネハブ)」の編集部です。
みなさまの資産形成に役立つ情報を日々発信しております。

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