金利のある世界とは|日本が利上げするとどうなる?暮らしへの影響は?

金利のある世界とは|日本が利上げするとどうなる?暮らしへの影響は?

資産運用

長らくゼロ金利政策が続いていた日本ですが、ここにきて金利上昇の兆しが見え始めています。この記事では、金利とは一体何なのか、そして私たちの生活にどんな影響を与えるのか説明していきます。ぜひ参考にしてください。

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金利は「経済の体温計」

お金のイメージ

金利とは、お金を借りる際にかかるコストのことです。「お金のレンタル料」といってもいいでしょう。

また、金利は経済の体温計とも呼ばれ、景気が良くなると上昇し、悪くなると低下する傾向があります。これは、景気が良い時は企業がお金を借りて投資を活発化させるため、お金の需要が高まり金利が上昇するからです。

逆に、景気が悪い時は企業の投資意欲が減退し、お金の需要が減るため、金利は低下します。

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なぜ日本の金利はなくなっていったのか

なぜ?

低金利の環境が続き、「金利のない世界」が続いていた日本。

4%〜6%の預金金利がついていた時代があったことを知らない世代も増えています。そもそも、なぜ金利が低下していったのでしょう。その原因を探ります。

1990年代から、金利は低下し始めました。一連の流れを大まかにみてみましょう。

  1. バブルの崩壊(1990年代初頭)
  2. 金融機関の破綻(1990年代後半)
  3. デフレの進行(1990年代後半から)
  4. ゼロ金利政策の導入(1999年)
  5. 量的緩和政策の導入(2001年)
  6. アベノミクス(2012年末から2020年9月まで)
  7. マイナス金利政策の導入(2016年)
  8. 長期にわたるゼロ金利政策の継続
  9. 政策修正の動き 

バブル崩壊や金融機関の破綻によって経済が大きく落ち込み、お金の需要が減ったため、金利を下げることで経済を刺激する必要がありました。

さらにデフレが進行しました。物価が下がり続けるデフレは、消費や投資を抑制するため、金利を下げることで経済を活性化させようとしました。

つまり、日本の金利が下がった主な理由は、バブル崩壊後の長期にわたる経済の低迷とデフレからの脱却を目指すための金融政策によるものです。

豆知識 アベノミクスとは

アベノミクスとは、2012年末に発足した第2次安倍晋三内閣の掲げた「3本の矢」を柱とする経済政策のことです。

3本の矢とは?

  1. 大胆な金融政策:デフレ脱却を目標、2%の物価安定目標を達成するまで無期限で量的緩和を行う
  2. 機動的な財政政策:2011年3月に発生した東日本大震災からの復興加速、持続的な経済成長と財政健全化の双方を追求
  3. 民間投資を喚起する:計8回にわたる成長戦略

参考 国立国会図書館 調査と情報―ISSUE BRIEF―No. 1123(2020.11.10)目で見るアベノミクスの成果と課題

景気の回復期には次の景気減退期に備えて金融緩和の余地を確保するため、金融政策は引き締めに転じるのが一般的です。しかし、アベノミクスが行われた時期には、景気回復傾向でありながら異例の規模で金融緩和が継続されました。

その後、2019年末からコロナショックが起きたことで更なる金融緩和の必要が生じ、2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻によって、また情勢は不安定になりました。日本でも世界的な資源価格や食料価格上昇の影響は避けられず、歴史的な水準でインフレが継続しています。

物価と金利の関係

一般的に景気が良くなることと連動して物価は上昇します。物価が上昇すると、お金の価値は相対的に下がります。

  • 景気が良くなる→物価が上昇、インフレ圧力が高まる→金利は上昇
  • 景気が減退→デフレによって物価が低下→金利は低下

物価が上昇しているのに、なぜ金融緩和が続いたの?

物価が上がっているのに金融緩和が続いた理由は、物価上昇の要因が、通常の景気過熱によるものではなく、海外要因によるコストプッシュ型インフレだったためです。一時的な物価上昇よりも、経済の安定を重視し、金融緩和を維持したという状況になります。

スタグフレーション(不景気の中でも物価が上昇すること)の懸念がある場合は、物価上昇よりも景気の減速を重視して金融緩和策が打ち出されることがあります。

しかし、2023年12月18日、経団連の十倉会長は、「市場と齟齬のある金利政策は経済に悪影響を及ぼす。金利は経済の体温とも言われており、できるだけ早く金融政策を正常化すべきだ。」と警告しました。

出典 一般社団法人日本経済団体連合会 定例記者会見における十倉会長発言要旨

その後、2024年3月19日の金融政策決定会合で、マイナス金利政策の解除が決定しました。 17年ぶりに政策金利が引き上げられ、 長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)の撤廃も決定しました。

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金利が私たちの生活に与える影響とは

家計のイメージ

金利が上がることで、家計へのメリットは?

金利が上がることで考えられる家計へのメリットは以下のとおりです。

  • 預金金利が上がる
  • 個人向け国債の金利が上がる
  • 生命保険の支払保険料が下がる、満期のある保険で将来受け取れる金額が増えることがある
  • 為替レートが円高になる

詳しくみていきましょう。

預金金利や個人向け国債の金利が上がる

基本的に市場金利が上昇すると定期預金の金利も上がる仕組みです。また、個人向け国債には、利率が半年ごとに見直される「変動10年」というタイプがあります。金利の上昇に伴って、変動10年の利率も上昇します。

生命保険の支払保険料が下がる・満期のある保険で将来受け取れる金額が増えることがある

予定利率とは、生命保険会社などが個人や企業に対して約束する運用利回りのことです。保険会社は契約者から受け取った保険料をどんな利回りで運用できるかを予想して保険料を決定します。

予定利率は金融庁が10年物国債を基準に設定している「標準利率」をもとに保険会社が自社の経営状況を反映して決定します。金利が上昇すると、同じ金額を運用しても大きなリターンが得られる可能性が高まります。

保険期間や保険金額の条件が同じ商品でも、予定利率が上がることでこれまでよりも低い保険料で加入できるかもしれません。

為替レートが円高になる

金利が上がると、海外投資家にとって日本円の資産の魅力が相対的に高まります。海外から資金が流入し、円が買われることで円高の傾向が考えられます。

資源や食料を外国からの輸入に頼っている日本は、円高になることで輸入コストを抑えられ、物価の安定に繋がるというメリットがあります。

たとえば、原油価格がドル建てで変わらなくても、円高になれば円換算での輸入価格が下がり、ガソリン価格の上昇を抑制できます。また、海外からの食料品も同様に安価に購入できるため、食卓への影響も軽減されます。

金利がつかないことに慣れてしまった日本人

ノルムとは

ノルムとは、「物価はこういうものであるべき」という慣習のようなものです。日本経済が停滞し、賃金の上昇が諸外国と比較して鈍化していることや、度々金融ショックの影響を受けたことから、「物価は上がらないのが当たり前、上がるべきではなく上げるべきでもない」という考え方が日本人の中で形成されていきました。

消費者は、物価上昇に対して敏感に反応し、値上げに反発するため、企業は価格転嫁を容易に行うことができません。その結果、企業は収益が拡大しても、将来の景気悪化に備えて内部留保を増やし、賃上げには慎重になります。

特に、高齢者は限られた収入の中で生活しているため、値上げの影響を受けやすく、消費支出を抑制する傾向が強くなります。

しかし、海外の資源価格の高騰と円安の影響により、企業努力で値上げを抑制することは難しくなっています。物価が上がれば賃金を上げなくては消費者は耐えられません。賃金と物価の上昇を抑えてきた「企業のノルム」は以前より弱まってきたのではないでしょうか。

金利上昇時におすすめの資産運用とは

どんな局面でも大切なのは「分散投資」

金利上昇の影響は資産クラスによって異なります。たとえば、債券の例をみてみましょう。

債券価格の変動要因について

※これは一般的なイメージ図であり、全ての場合で当てはまるものではありません。

イメージ図 株式会社Fanが作成

債券は金利の上昇により価格が下落するリスクがあります。一方、金利が上昇することで、借入をする際のコストがこれまでよりもかかるようになるため、企業は設備投資の縮小を行うようになります。こうしたことから企業の業績が低迷するのでは?と不安が高まり、全体的に株価は下落する傾向にあります。

ポートフォリオの中に債券と株式の両方を組み込んでおくことで、どちらかの資産の下落リスクを緩やかにすることができます。これまで株式を中心にポートフォリオを構成していたとしたら、その配分を見直し債券を組み入れるといいでしょう。中でも短期債券は、満期までの期間が短いため、金利変動による価格への影響が小さい傾向があります。

金利が上昇することで、社債を発行している企業の金利負担が増加します。もし社債の購入を検討しているのであれば、金利の上昇局面においても動じない安定性を持った企業のものを選ぶといいでしょう。

また、国内債券と外国債券、国内株式と外国株式といったように、異なる通貨建ての資産を保有することもおすすめです。

理由は、金利差は為替レートに影響を与えるからです。一般的に、金利の高い国の通貨は買われ、金利の低い国の通貨は売られる傾向があります。

金利上昇時は金融セクターに注目

銀行は、預金として集めた資金を貸し出すことで利益を得ます。金利が上昇すれば、貸出金利も上昇します。預金金利との差である「利ざや」が拡大することで、金融機関の収益性が向上します。

また、金融機関は債券を運用して収益を得ています。保有している債券の利回りが向上することで、運用益が増加する可能性があります。

バリュー株の可能性

バリュー株とは、PERやPBR、配当利回りなどから見て「本来の価値よりも割安」と判断される株式のことです。もともと価格が低水準、もしくは安定した動きをしているので、大幅な価格の下落が少ない傾向があります。何らかの理由があって本来の価値よりも割安になっているので、市場環境が不安定な局面ではあまりおすすめできません。

しかし、景気の回復局面であれば話は別です。市場全体が上昇傾向であれば、バリュー株も本来の価値を示すように変動し株価上昇を期待できるので、「買い時」あるいは「狙い目」と考えることもできるでしょう。

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金利のある世界を生き抜くために

東京の風景

日本の金利は、長期にわたり低い水準で推移してきましたが、足元では上昇の兆候が見られます。

金利の変動は、物価水準、預金金利、為替レート等、家計経済に多岐にわたる影響を及ぼすとともに、住宅ローン金利や企業の借入コストにも影響を与えるため、経済全体への波及効果は大きいといえます。

金利の変動が個人の生活設計や資産形成に及ぼす影響を意識しながら、常に情報を集めて、しっかり準備しておくことが大切です。

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このコラムの執筆者

MONEY HUB PLUS 編集部

株式会社Fan

未来につながる投資情報メディア「Money Hub Plus(マネハブ)」の編集部です。
みなさまの資産形成に役立つ情報を日々発信しております。

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