株の始め方はここ数年で大きく簡便化が進みました。ネット証券が数多く登場したからです。スマホと口座を持っていると、すぐにでも始められます。それだけに株式投資の基本的な知識を知っておくことが重要です。ここでは注意点も含めて、株の始め方を解説します。
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株式投資とは株価上昇を期待して企業の株を買う行為のこと
株式投資とは利益が出ることを期待して会社の株を買い、運用することです。株式投資で購入できるのは上場企業の株のみとなっています。日本の上場会社の数は約3,800社(2021年12月10日時点)あります。
どの株を買うかは会社の収益率、安定性、成長性など、トータルで判断するのが一般的です。株価が上がったタイミングで株を売ると、売却益を得られます。しかし株価が下がった状態で売却した場合には、損益が発生することを理解しておく必要があるでしょう。
ここでは株を買うとはどういうことなのか、基本を解説します。
株式を購入することは株主になること
株式を購入することは買った会社の株主、つまり会社の所有者の一人になるということです。株主になれば利益の一部分が株の配当金として分配される、株主優待を受け取れるなどのメリットがあります。
この他にも株主総会の議決権や、会社が解散した場合の残余資産が分配される権利が与えられます。つまり株式投資は通常の売買とは違い、株主という社会的な地位を手にすることであり、社会の発展に貢献する行為であると考えられるのです。
株式投資によって3つの利益が得られる
株式投資をすることによって得られる利益は、株を売却した時に得られる売却益だけではありません。配当金や株主優待の制度を設けている会社も多数あるからです。この3つの利益のうち、どれを目的として株を購入するのかによっても、株式を選ぶ基準は変わってくるでしょう。
長期的に株を保有して安定した資産運用を考えるならば、配当金や株主優待に着目して株を選ぶ方法もあります。ここでは株で得られる3つの利益について解説します。
1.売却益
売却益とは買った株の値段が上がったタイミングで売却して得た差額分の利益のことです。キャピタルゲインという呼び方も一般的に広まっています。
例えば1株800円の株を100株買ったとします。購入金額は80,000円です。その後、株価が1,000円に上昇したタイミングですべての株を売却した場合、売却価格は100,000円となり、差額分の20,000円が売却益となります。
株価は低くなることもあるので、損をするリスクが存在することは常に念頭に置いておくべきでしょう。
2.配当金
配当金とは、株を買った会社が経済活動によって得た利益の一部分を株主に分配するお金のことです。インカムゲインとも呼びます。配当金の金額は会社がどれくらいの利益を出したか、どれくらいの還元率を設定しているかによって変わります。
つまり、会社の業績が悪化した場合には配当金が出ないケースも考えられるのです。配当金は所有している株数に比例して支払われるため、株を多く保有している場合には、配当金の金額も多くなります。
3.株主優待
株主優待とは、会社が株主に対して自社の商品やサービス、商品券、優待券を提供することです。株主優待制度を取り入れていない会社もあります。すべての株主が株主優待を受けられるわけではなく、権利確定日に必要株式数を保有していなければなりません。
株式優待を導入している会社側のメリットは、株主が長期的に株を保有することが期待できるため、安定株の比率が高まることです。
株を始める前に知っておきたい3つの注意点
株式を始める場合に知っておくべきこととは、損をする可能性があることです。資産運用を目的として株を始めたのに、資産が減少しては始めた意味がありません。
しかし株式投資を始める前に注意すべきことを知っていれば、損をするリスクを回避できる可能性が高くなります。ここではこれから株を始める初心者が知っておくべき3つの注意点を解説します。
1.株式投資にはリスクがある
株式投資にはリスクがつきものです。株で大もうけをする人がいる一方、損をしている人もいます。株の世界では「絶対」は存在しないのです。株式投資の基本は「安く買って、高く売る」です。しかし株価が将来、どのように変化していくかはわかりません。
一般的に株価が変化する要因は次の4つであると考えられます。
- 経済的な要因
- 社会的な要因
- 株式市場の要因
- 会社個別の要因
経済的な要因とは金利や為替、景気の動向などです。社会的な要因とは世界情勢、災害や伝染病、政策、資源問題を指しています。株式市場の要因は投資家の売買の動向や市場の規制などです。
会社個別の要因は会社の業績です。赤字となると、株価にも悪い影響を与えます。逆に、大ヒット商品を出すと一気に株価が上がることも考えられます。
しかしこれら4つの要因を完全に予測することはできません。よって株式投資にはリスクがあることを大前提として踏まえておく必要があります。
2.株式投資には手数料がかかる
株式投資をする場合に忘れてならないのは、購入時と売却時に手数料がかかることです。取引をするたびにかかるため、売り買いを頻繁に行うと、手数料がたくさんかかります。手数料の安い証券会社を選ぶことと、売り買いの回数を減らすことが大切でしょう。
一般的に株式投資の手数料はネット証券のほうが安い傾向があります。株を選ぶのと同様に、証券会社もしっかり調べて選ぶといいでしょう。
3.初心者は先物や信用取引に手を出さない
株式投資の鉄則としてまずあげられるのは「初心者は先物や信用取引には手を出さない」ということです。先物や信用取引では大きな利益を期待できる反面、大きな損益を被るリスクがあります。
一般的な株式投資は購入した金額以上のマイナスになることはありません。しかし先物や信用取引では購入金額をはるかに越えるマイナスが生じることがあり、最悪の場合には破産につながります。
つまり先物や信用取引は豊富な知識を持った投資のプロ以外は手を出すべき領域ではないのです。初心者は手を出さないようにしてください。
株を始める前に準備すべき3つのこと
株を始める上では運用の方針や方向性を決める必要があります。最初にある程度の基準や枠組みを設定しないと、どんな株をどれくらい買うべきかが決まらないからです。
株を買う準備をする上ではまずすべきなのは、予算の上限を設定する、少額投資から始める、短期投資か長期投資かを決めるという3つのことです。それぞれ詳しく解説しましょう。
1.予算の上限を設定する
株を始める場合にすべきなのは予算の上限の設定です。歯止めがないと、ずるずる投資して生活費を圧迫してしまったということになりかねません。上限とは「仮にこのお金がなくなっても生活には支障がない」という目安の金額です。
多少の余裕を持っておくことをおすすめします。貯金の25%を株式投資にまわすなど、明確な基準を設定するのがポイントです。
2.少額投資から始める
株は少額投資から始めるのがいいでしょう。実際に自分で運用してみないと、株価が変化した時の心理状態はわかりません。まず株式投資がどんなものなのかを経験することが大切です。
知識として理解していた株式投資のメカニズムが合っているのかどうかを確認することも必要です。少額投資から始めて株式投資に慣れてから、本格的な運用をスタートするのがいいでしょう。
3.短期投資か長期投資かを決定する
株を始める前に、短期投資か長期投資かを決めます。株式の購入の仕方は短期投資か長期投資かで変わるからです。短期投資は安く買って高く売ることを繰り返します。長期投資は会社の将来的な成長を期待して、ある程度の長期間、株を保有します。
短期投資のメリットは損益がすぐ確定すること、デメリットは大きな利益が期待できないことです。一方、長期投資のメリットは大きな利益が期待できること、デメリットはすぐには利益を得られないことです。
どちらのスタイルが合っているのかを考えて、短期投資か長期投資かを決めましょう。
株の始め方における6つのステップ
株式投資を行って利益を手にするまでにはいくつかのステップが必要です。まずは準備段階があります。投資資金の用意、口座の開設です。さらに株の始め方としてもいくつかのステップがあります。入金、株の検討、購入です。
さらには売却か継続かの検討があり、売却した時点で株価が上がった場合には、利益を手にします。ここではその流れを6つのステップに分けて、詳しく解説していきます。
1.株式投資の資金を用意する
株を始めるにあたってまず必要なのは資金の用意です。すでに株式投資のための貯金がある方は、上限の設定をしてください。
株式投資は一般的に5万円くらいから始めることができます。株価によっては5万円では買えない株もありますが、初心者はまず購入しやすい株から始めるのがいいでしょう。株を始める方はまず5万円を目安として用意します。
2.証券会社の口座を開設する
株式を購入するには、証券会社で口座を開設する必要があります。店舗の窓口で開設する方法もありますが、ネットでの開設は手軽なのでおすすめです。
証券会社の公式サイトの申込フォームに必要事項を入力します。本人確認書類をアップロードしてネットでの手続きは完了です。後日、郵送された口座開設書類に記入して返送し、口座開設の手続きは完了します。手続き期間は1週間から2週間程度が目安です。
3.証券口座に資金を入金する
証券口座が開設できたら、事前に用意しておいた資金を入金します。開設した時点で買いたい株がなかったとしても、入金しておくのがおすすめです。
買いたい株はいつ見つかるかわかりません。チャンスが来たときに逃さないことが大切です。入金してあれば、すぐに購入の手続きができます。入金方法によっては手数料がかかるので、確認して安い方法で入金します。
4.買いたい株を検討する
買いたい株の検討は株式投資の重要なポイントです。株の選択は簡単ではありません。上場会社は約3,800社(2021年12月10日時点)あり、有望銘柄や推奨銘柄の情報がネットでもたくさんあるからです。
企業の将来性や成長率に着目する、企業価値と株価を比較するなど、買いたい株の検討の仕方はいくつかあります。詳しくは後述します。
初心者の段階では指標やチャートの分析は難しいでしょう。しかし買いたい株を検討する過程で株式投資の知識が身に付きます。まずは実践することが上達の早道なのです。
5.株式を購入する
検討したのちに実際に株式を購入します。購入の仕方には「これが正しい」というものはありません。人それぞれで求めるものも違い、正解も異なるからです。
株を初めて購入する場合には身近な株から選ぶことをおすすめします。身近な株とは気になっている商品やサービス、店などから判断するということです。株式投資を感覚として理解することも期待できます。
6.株式の売却・継続を検討する
株式の購入と並ぶ重要なポイントは株式の売却のタイミングです。この判断はなかなか難しいところです。特に初心者は経験がないだけに難易度が上がります。
初心者におすすめしたいのは購入した時点で売却のタイミングを決めておくことです。たとえば、500円で買ったA社の株は550円になったら売るなどのルールを決めます。ルールに沿うことで意志決定の必要がなくなります。
投資する株の選び方
株式投資をスムーズに行うコツは明確な基準やルールを持っておくことです。選ぶ基準が定まっていれば、株の購入時に悩んだり迷ったりすることが減ります。自分自身の独自の基準やルールに沿って、効率的に情報を収集した上で判断を下すことができるでしょう。
ここでは株を始めたばかりの初心者でも参考にしやすい3つの基準を解説します。
「株主優待」や「配当」を考慮して選ぶ
株式投資を「株主優待」と「配当」で選ぶのは堅実な方法と言えます。売却益を目的とした場合には、短期的に売り買いを繰り返しますが、株主優待と配当は長期保有が前提となるからです。
企業の株主向けサイトを見ると、株主優待の条件や内容を確認することができます。配当も配当利回りでチェックできるため、株を選ぶ際のわかりやすい基準と言えるでしょう。
会社の概要を把握して将来性を考える
株選びの基準としてまず押さえておきたいのは会社の将来性です。買いたい会社が見つかったら、会社の規模や利益の額、売上高に対する利益などを会社四季報や新聞、テレビ、ネットなどのニュースや情報を収集して確認します。
さらに会社の将来性も検討します。その会社のサービスや商品は今後、さらに普及するのか、新たな市場を開拓できるのかなど総合的に判断して、成長が期待できる会社の株を購入するのです。
情報を収集して割安株(バリュー株)や成長株(グロース株)から選ぶ
購入する株を検討する場合には、可能な限り多くの情報を収集して、割安株や成長株を選びましょう。割安株とは株価収益率や株価純資産倍率などの指標から割安と判断できる株のことで、成長株とは売上や利益が上昇している企業の株です。
初心者でも有用な情報を手に入れることで、的確な判断を下すことが可能になります。テレビや雑誌など、さまざまなメディアに株情報が載っています。情報の精度や信頼性の検証は必要ですが、複数の情報を検討して知識や経験の不足を補うことができるのです。
株式投資でネット証券がおすすめな3つの理由
これから株を始めようと考えている人におすすめしたいのがネット証券です。まず手続きが簡単です。マイナンバーカードや免許証、パスポートなど本人確認書類があれば、ネットで手軽に口座を開設できます。
この他にも少額から投資できる、スマホから投資できる、手数料が安いなどのメリットがあるのです。この3つのメリットについて解説します。
1.少額から投資を始めることができる
ネット証券では少額の投資から始めることができるため、初心者に特におすすめです。通常の株式取引では100株からの購入が基本になっていますが、ネット証券に1株から購入できるところもあります。
日本株、IPO(新規公開株)など、商品のラインナップも充実しています。株を始めるハードルが低くなるため、投資の経験を積むという面でもおすすめです。
2.スマホから手軽に投資ができる
スマホから手軽に投資ができることも、ネット証券の大きなメリットと言っていいでしょう。日本の株式市場は平日午前9時から午前11時30分、昼休みをはさんで午後0時30分から午後3時が取引時間です。
通学・通勤している人にとっては自宅のパソコンでの操作ができない時間帯です。スマホで投資できると、昼休みなど空き時間を利用することもできます。
3.手数料が安い
手数料が安いこともネット証券のメリットです。ネット証券によって、手数料の仕組みや金額は違いますが、通常の証券会社よりも安く設定されています。
また投資金額やコースによってはほぼ手数料がかからない金融商品も提供されています。それぞれのサービス内容を比較して、自分の投資スタイルにあったネット証券を選ぶといいでしょう。
正しい知識とリスクを理解して株式投資を始めよう
ネット証券の普及によって、初心者も簡単に株を始めることができるようになりました。少額から始めることができ、手数料を抑えることができます。
株を始めるハードルが低くなっているだけに、リスクが存在することも忘れてはなりません。初心者は少額から始めること、先物や信用取引に手を出さないことなど、気をつけるべき点もあります。
注意点をしっかり守った上で、さまざまな情報を入手して、ネット証券から株を始めることを検討してください。
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このコラムの執筆者
MONEY HUB PLUS 編集部
株式会社Fan
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