確定拠出型年金では、投資信託などの商品を自分で運用していく必要があります。主な運用手法として配分変更やスイッチングがありますが、具体的にはどのような方法なのか、またどのようなタイミングで実施できるのか見ていきましょう。
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【確定拠出年金】投資信託の運用手法
年金には、確定給付型と確定拠出型の2つの種類があります。確定給付型とは、受け取れる年金額が決まっているもののことです。
例えば、確定給付型年金の一つ、公的年金は、加入期間や収入などにより給付額が事前に決まっており、日本年金機構のサイトである「ねんきんネット」などで確認することができます。
一方、確定拠出型は掛金を支払った方が運用し、将来、年金として受給するため、受け取れる年金額は決まっていません。運用がうまくいけば支払った掛金以上の金額を受給できますが、場合によっては掛金総額を下回ることもあるでしょう。
つまり、確定拠出年金で受給できる年金額は運用次第といえます。成果を高めるために、こまめに運用状況を確認し、必要に応じて手を加えなくてはいけません。
確定拠出年金の運用方法としては、次の3つが挙げられます。
- 配分変更
- スイッチング
- 掛金額の変更
それぞれの方法について詳しく見ていきましょう。
配分変更
配分変更とは、掛金で購入する商品の種類や割合を変更することです。例えば、2万円の掛金で、投資信託Aを1万5,000円、投資信託Bを5,000円購入していた場合について考えてみましょう。
投資信託Aはそのまま、投資信託Bをやめて投資信託Cに5,000円と商品の種類を替えたり、投資信託Aに1万2,000円、投資信託Bに8,000円と割合を変更したりします。また、種類と割合を同時に替えることも可能です。
スイッチング
スイッチングとは、今まで積み立ててきた資産の構成を変更することです。例えば、投資信託Aを50万円分、投資信託Bを20万円分保有しているとしましょう。Aを売却してCに預け替えたり、Bの一部を売却してAを買い足したりできます。
なお、スイッチングを実施する際、商品に売却手数料が設定されている場合には手数料が発生する点に注意しましょう。手数料は売却金額から差し引かれるので、手数料の分、一時的に資産が少なくなることがあります。
配分変更とスイッチングを両方行うケースもある
配分変更は、今後の運用商品を替える手法です。一方、スイッチングは保有している商品を預け替える手法で、今後の運用先が替わるわけではありません。
配分変更とスイッチングは両方同時に行えるので、保有している商品を預け替え、なおかつ今後の運用先を変更することもできます。今までの運用成果や
今後予想される動きによって、適切に配分変更やスイッチングを実施していきましょう。
掛金額の変更
掛金額そのものを変更することもできます。例えば、月に1万円の掛金を2万円に増やしたり、反対に5,000円に減らしたりすることも可能です。
ただし、確定拠出年金では運用者の職業などによって掛金の上限額が決まっているため、上限を超えないように注意しましょう。
また、個人型確定拠出年金であれば、掛金は5,000円以上1,000円単位で設定しなくてはいけません。掛金は下限額を下回らないように調整しましょう。
配分変更やスイッチングに適したタイミング
配分変更やスイッチングを実施するタイミングは特に決まっていないため、好きな時期に実施できます。いつ実施するか迷ったときは、次の3つのタイミングを検討してみましょう。
- 資産配分と運用実績のずれが大きくなったとき
- 元々決めていた時期が訪れたとき
- 投資に対する考え方が変わったとき
それぞれのタイミングの見極め方について解説します。
資産配分と運用実績のずれが大きくなったとき
投資信託Aに1万5,000円、投資信託Bに5,000円を拠出していたとしましょう。AとBの資産配分は3:1のため、AとBが同じような成果を上げている場合は運用実績も3:1になるはずです。
しかし、実際の運用実績はAが50万円でBが25万円だとしましょう。AよりもBのほうがより大きな成果を上げていると判断することができます。スイッチングを実施してAを売却してBに預け替えたり、配分変更をしてBの掛金を増やしたりできるでしょう。
元々決めていた時期が訪れたとき
配分変更やスイッチングの時期を、前もって決めておくこともできます。例えば、年に1回は配分変更やスイッチングをしようと決めているなら、その時期が訪れたタイミングで運用実績を確認し、適切に実施できるでしょう。
なお、配分変更やスイッチングの時期を前もって決めていない場合でも、あまりにも長期間運用実績を確認せずに放置しておくことはおすすめできません。
確定拠出年金は受け取れる年金額が運用実績に連動するため、定期的に運用状況をチェックする習慣をつけておきましょう。
投資に対する考え方が変わったとき
確定拠出年金では、さまざまな商品の中から運用先を決めることができます。リスク回避を重視するのであれば、元本が保証される定期預金などを運用先に選ぶことができるでしょう。リスクはあってもより積極的に運用したい場合には、投資信託を選択できます。
確定拠出年金を始めたときは「元本割れは避けたい」と定期預金だけに掛金を拠出していた方も、徐々に「元本割れのリスクはあっても大きな利回りを期待したい」と投資に対する考えが変わるかもしれません。
そのときの考え方にあった運用先を選び、配分変更やスイッチングすることもできます。
配分変更やスイッチングの注意点
配分変更やスイッチングを実施するときは、次の3つのポイントに注意しましょう。
- 長期的視野で配分変更を行う
- スイッチング時に手数料がかかることがある
- スイッチングの回数が制限されていることがある
それぞれのポイントについて詳しく解説します。
長期的視野で配分変更を行う
配分変更やスイッチングは、資産配分や運用実績の変化を見て実施します。しかし、そのときの状況が必ずしも長期的に続くとは限りません。
現時点では成果は上がってはいなくても、将来的に成長しそうな運用先であれば、配分変更などをせずに放置するのも一つの方法です。長期的な視野に立ち、配分変更を行うようにしましょう。
スイッチング時に手数料がかかることがある
スイッチング自体には手数料はかかりませんが、運用商品に売却手数料が設定されているときには手数料が発生します。手数料は売却金額から差し引かれるため、資産が減る点に注意しましょう。
スイッチングの回数が制限されていることがある
確定拠出年金の運用機関によっては、スイッチングの回数に上限が定められていることがあります。適切なタイミングでスイッチングできるよう、事前に確認しておきましょう。
不明点や気になることは専門家に相談しよう
確定拠出年金は自分で運用できるので、将来受け取れる年金額を増やせるというメリットがあります。しかし、運用にはルールがあり、正確に理解しておくことが必要です。
確定拠出年金の運用など、投資やお金について不明点や気になることがあるときは、投資の専門家に相談してみるのはいかがでしょうか。投資信託相談プラザでは店頭またはオンラインで個別相談を実施しています。ぜひお気軽にお問い合わせください。
このコラムの執筆者
MONEY HUB PLUS 編集部
株式会社Fan
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