世界各国の確定拠出年金(DC)について~アメリカ・イギリス・日本の違い~

世界各国の確定拠出年金(DC)について~アメリカ・イギリス・日本の違い~

資産運用

「老後2000万円問題」を受けて、年金不安の問題が取り沙汰されている昨今。豊かな老後生活をおくるために、どのようにお金を貯め、ふやしたら良いのか。税制優遇制度の一つでもある、確定拠出年金制度(DC)にも注目が集まっています。

確定拠出年金制度は世界で多くの国が行っている制度です。各国それぞれで様々な違いがあります。では、アメリカやイギリスなどの確定拠出年金制度はどのようになっているのでしょうか。

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2022年10月の法改正により、企業型DCとiDeCoを併用しやすくなりました。併用の条件がどのように変わったのか、また、改正後も併用できないケースや併用するメリット、注意点を説明します。ぜひ参考にして、節税しつつ資産運用をしていきましょう。企業型DC(企業型確定拠出年金)とiDeCoはどちらも私的年金制度のひとつです。そもそも私的年金制度とは、国民年金や厚生年金などの公的年金制度とは異なり、利用するかどうかを制度加入者自身で決められる制度のことです。公的年金制度は年齢や勤務先によって加入するかどうかが決まるため、制度加入者自身では決められません。企業型DCやiDeCoなどの私的年金制度に加入することで、将来受け取れる年金額が増えます。また、私的年金制度には保険会社が提供している個人年金保険などもありますが、個人年金保険とは異なり、企業型DCとiDeCoは節税にも活用できるというメリットもあります。企業型DCとiDeCoの違いについて見ていきましょう。企業型DCとは、企業が掛金(毎月の積立金のこと。公的年金では保険料に相当)を負担する私的年金制度です。企業の福利厚生制度のひとつとして位置づけられます。主な特徴は以下のとおりです。企業型DCの掛金額の上限は、ただし、掛金額は役職などに応じて企業側が決定するため、従業員側は選択できません。また、企業型DCは掛金が企業負担となりますが、運用するのは個人です。そのため、個人の運用次第で、将来受け取れる年金額が変わります。iDeCoは、個人負担で始める私的年金制度です。また、運用もすべて個人で行います。ただし、掛金額も個人が調整できますが、利用している年金制度などによって上限額が異なる点に注意が必要です。企業型DCとiDeCoは元々併用可能な制度でしたが、併用するには条件が多く、実際には併用しにくいケースも少なくありませんでした。しかし、2022年10月の法改正により、企業型DCとiDeCoを併用できるケースが増えました。改正によって変わった点を説明します。今までは企業型DCに加入している場合は、企業の規約でiDeCoに加入できると定められている場合のみiDeCoに加入できました。しかし、2022年10月からは、規約に定めがなくても、従業員本人が希望すればiDeCoに原則加入できるようになっています。ただし、マッチング拠出を利用している場合は、iDeCoと企業型DCを併用できません。マッチング拠出を止めると、iDeCoと併用できるようになるため、iDeCoを利用したい方はマッチング拠出を見直すことが必要です。なお、マッチング拠出とは、企業型DCにおいて個人が掛金を上乗せする仕組みのことです。企業の掛金を超えて上乗せすることはできませんが、掛金が増えることで将来受け取れる年金を増やしやすくなります。また、個人が上乗せした掛金においても、全額所得控除などの節税メリットは得られるため、節税しつつ将来に備えられます。マッチング拠出もiDeCoも、いずれも個人が掛金を支払い、個人が運用し、節税効果があるという点は同じです。どちらを選ぶか迷ったときは、それぞれのメリット・デメリットを比較してみてください。マッチング拠出の主なメリット・デメリットは以下のとおりです。【マッチング拠出のメリット】【マッチング拠出のデメリット】また、iDeCoのメリット・デメリットは以下のとおりです。【iDeCoのメリット】【iDeCoのデメリット】マッチング拠出もiDeCoも、いずれも私的年金制度の掛金を増やせる制度です。できるだけ掛金を増やしたいと考えている方は、それぞれの上限額に注目して選び分けられます。マッチング拠出では企業型DCの掛金額(企業負担分)が上限となるため、企業負担分の掛金が少ないときは、あまり増やせません。たとえば企業型DCの企業負担分の掛金が1万円、企業年金なしの場合であれば、マッチング拠出の掛金上限額は1万円です。このケースであればiDeCoの掛金上限額は2万円のため、iDeCoのほうが掛金を増やせます。企業型DCとiDeCoを併用するメリットには、次のものがあります。それぞれのメリットについて見ていきましょう。企業型DCとiDeCoを組み合わせることで、掛金を増やせます。掛金が増えることで、将来受け取れる年金額が増えることもあります。ただし、企業型DCもiDeCoも個人で運用する必要があるため、運用成果によって年金額が左右される点に留意しておきましょう。iDeCoは運用商品の選択肢も多いため、運用の幅が広がるのもメリットです。また、運用中に商品を変えることも可能です。成果が思わしくないときは、運用商品を見直しましょう。iDeCoを利用することで、所得控除額も増えます。課税所得額が減るため、所得税額や住民税額が減る可能性があるでしょう。また、年金の受取額が増えれば、退職所得控除額や公的年金等控除額も増えます。そのため、将来的にも節税額が増えることがあります。企業型DCとiDeCoを併用するときには、次の点に注意しましょう。それぞれ具体的に説明します。企業型DCもiDeCoも、いずれも元本割れのリスクがあります。どちらも利用者本人が運用する制度のため、成果などをこまめに確認し、場合によっては運用商品を変更するなどの見直しが必要です。「自分で運用せずに将来受け取る年金額を増やしたい」と考えている方は、保険会社などが提供している個人年金保険も検討できます。節税には活かせませんが、掛金額に応じて受取額が決まっていることも多く、運用の手間がかかりません。企業型DCもiDeCoも、いずれも節税が適用されるためには、年末調整が必要です。ただし、企業型DCの場合は企業を通して掛金を払うため、年末調整時に案内を受けられ、手続きし忘れるケースはほとんどないでしょう。しかし、iDeCoは企業を通さずに利用する制度のため、自発的に手続きをしないと所得控除などが適用されず節税できません。忘れずに手続きをするようにしてください。また、自営業者などでiDeCoを利用している方は、確定申告の手続きが必要です。確定申告を忘れた場合も節税が適用されなくなるため、注意しましょう。企業型DCもiDeCoも、いずれも原則として60歳まで年金を受け取れない制度です。老後資金のために利用するには適した制度といえますが、子どもの教育資金や住宅ローンの頭金などのほかの使途には使い勝手がよくありません。60歳までにまとまった資金が必要になることもあるため、すべての資産を企業型DCやiDeCoで運用するのではなく、預貯金などもしておくようにしましょう。企業型DCもiDeCoも、いずれも将来に備えるだけでなく、節税にも活かせる制度です。制度の特徴や違いを理解して、上手に活用していきましょう。しかし、いずれも上限額が定められているため、企業型DCとiDeCoだけでは将来的に必要な金額を準備できない可能性があります。個人年金保険などのほかの方法の併用も検討し、ご自身のライフプランにあった資産運用を実現することが大切です。資産運用方法や老後資金の計画などでお悩みの方は、投資信託相談プラザの個別相談を利用してみてはいかがでしょうか。お金に関わるさまざまな悩みについて、専門家に無料で個別相談できます。お気軽にご利用ください。

企業型DC(企業型確定拠出年金)とiDeCoは併用可能!条件やメリットを説明

企業型と個人型

まず日本の確定拠出年金には、企業型と個人型の二種類があります。

企業型確定拠出年金(企業型DC)は、会社が毎月一定額の掛金を拠出し、従業員(加入者)自身が運用を行う企業年金制度です。企業型DCは、退職金制度の一環として多くの企業で導入されており、厚生労働省「確定拠出年金の施行状況 2019年3月31日現在」によると、導入企業数は33,000社を超え、加入者数も約700万人となっています。

一方、個人型確定拠出年金(iDeCo)は、毎月一定額の掛金を加入者自身が拠出し、運用も自身で行う私的年金制度です。iDeCoは、2017年に公務員や専業主婦の方も加入が認められるようになり、現在では約125万人の加入者がいます。(2019年5月末時点)

世界各国の確定拠出年金

次に、各国の確定拠出年金制度について見ていきましょう。

各国の確定拠出年金の加入方法と拠出率

出所:公益財団法人日本証券経済研究所「確定拠出年金(DC)をめぐる世界の動き」のデータよりFan作成

加入方法は、『任意』『自動』『強制』の三種類があります。

アメリカ・イギリスは、全員が一旦自動的に制度に加入させる方式を取り入れています。もちろん希望者は脱退することも可能です。

一方、オーストラリア・チリでは、対象者全員に加入を義務付ける強制加入方式を取っています。

日本は任意加入ですが、世界では確定拠出年金の加入率を向上させるために『自動』や『強制』といった方法がとられています。自動的に加入させることによって、拠出開始時期を早めるという狙いもあります。受給時の資産残高を大きくするには、拠出率を高めること以上に、拠出する期間を長くすることが大切だからです。

日本は元本確保型が過半数

では、次に各国の運用商品の違いについて見ていきましょう。

日本のDC運用商品割合(2018年3月時点)

出所:公益財団法人年金シニアプラン総合研究機構「海外確定拠出年金の資産運用に関する調査研究」のデータよりFan作成

日本では企業型・個人型どちらも過半数の加入者が、定期預金や保険といった『元本確保型』の金融商品で運用しています。

日本では、2018年5月に企業型DCやiDeCoに関する制度の一部が変更になりました。

アメリカ・イギリスにはデフォルト商品がある

各国では、「資産運用について自分で選択することができない人が多い」という背景から、加入者が運用商品を指定しなかった場合の投資先とするデフォルト商品というものが用意されています。

このデフォルト商品の資産運用は、「若い時はリスクを取って、リターンの高い商品で運用し、退職が近づくにつれて安全性の高い商品で運用する」というライフサイクル投資理論に沿っておこなわれているようです。

アメリカやイギリスでは、こうしたデフォルト商品の設定があります。

さらに、イギリスではデフォルト商品に興味深い工夫がされています。

基本は、ライフサイクル型に近い設計ではあるものの、積立開始当初の数年間は安全性が高い資産で運用するというものです。これは、積立ての基礎を作る大切な時期に途中で止めてしまうのを防ぐためです。

たとえば、加入当初からリスクの高い株式などで運用した場合は、市況が暴落した際などに不安になり積立てを止めてしまう可能性が考えられますよね。受給時の資産額を大きくするためには、積み立てを途中で止めずに長期的に運用することが大切であるという考え方を背景にこのような設計となっています。

おわりに

日本の確定拠出年金と各国を比較してみると、さまざまな違いがありましたね。

しかし、老後資金を形成するにあたり大切なことは共通しています。

それは、“若いうちから積立投資をはじめ、続けること”さらに、“年齢ごとに適した運用を行うこと”です。

積み立てをはじめて一年足らずで止めてしまう人が多くいるそうですが、長期的な視点を持って継続していくことが大切です。また、年齢ごとにどのような運用をしたらよいかわからない場合は、専門知識を持ったアドバイザーを頼るのも手段のひとつだと思います。

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このコラムの執筆者

道谷 昌弘

株式会社Fan IFA

AFP(日本FP協会認定) 大学卒業後、大手証券会社に入社。国内営業部門にて法人・個人の資産運用アドバイスを行う。8年間勤めたのち退社し、より中立的なアドバイスができるIFA(独立系投資アドバイザー)に転身。現在は富山を拠点に、全国各地のお客様に幅広くコンサルティングを行いながら、お客様にとって本当に良い商品提案を日々追求している。

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