現代は将来に対する経済的な危機感から、これまで投資に見向きもしなかったような人でも、投資の必要性を感じるような時代です。とはいうものの投資は種類も多く、なかなか踏み切れない人もいるでしょう。そのような投資に詳しくない人が、これから投資を始めるときに、ぜひ知っておきたいサービスが、ファンドラップとロボアドバイザーです。
この記事では投資手段としてのファンドラップとロボアドバイザーを、それぞれのメリット・デメリットを比較しながら詳しく解説していきます。
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ファンドラップとは?
ファンドラップとは、あらかじめ設定した投資家の方針に基づき、投資家に代わって資産配分を提案し、運用・管理する投資サービスです。投資家は資金を預けていれば、あとは投資のプロが投資先の選定から売買の発注、ポートフォリオの管理までを一手に引き受けてくれます。
いわば投資を「おまかせ」するファンドラップにはメリットがあるものの、デメリットもあるため、投資を決めるには両方を公平に理解しておくことが大切です。
ファンドラップのメリット
ファンドラップのメリットは主に次の2つです。
- 投資を資産運用のプロに任せられる
- 投資家自身で資産配分を決められる
これだけ見てもメリットと思えるかもしれませんが、さらに付随するメリットもあります。どのようなメリットが得られるのか、1つずつ詳しくみていきましょう。
■資産運用のプロに一任することで時間が取られなくなる
一般に投資には、銘柄の選択から売買、運用状況の確認とバランス調整などさまざまな手間がかかります。そのため、働き盛りのビジネスマンなど毎日忙しい投資家にとって、投資にかかる手間は大きな負担になりかねません。
しかしファンドラップにおいて、投資家が関わるのは投資に対する方針や運用経験、リスクなどを伝え、もし必要なら運用方針を変更するくらいです。あとは投資家が承認したポートフォリオに沿って運用し、定期的な運用状況や今後の見通しについての報告を受ける程度で、自身で投資するよりずっと手間や時間がかかりません。
将来に向けた資産形成のための投資では、通常投資コストを抑え、複利効果を含めて収益が安定しやすい中長期で行う必要がありますが、そのためには投資に多くの時間を割く必要があります。あまり時間の取れない投資家にとってファンドラップは、投資のプロが中長期にわたって投資をしっかりサポートしてくれる、まさに理想的な投資サービスといえます。
■投資家一人ひとりに合わせて資産配分を決められる
効率的に投資するには、リスクや期待できるリターンごとに銘柄を定め、適切に資金を配分するポートフォリオの構築が重要です。しかしポートフォリオの構築には金融商品全般に対する幅広い知識が求められ、多くの手間や時間がかかります。初めて投資する人の多くは投資に期待する目標はあるものの、ポートフォリオの構築は難しいでしょう。
その点ファンドラップでは、投資家1人ひとりは自分の希望に合わせた資産配分を決めるだけで、最適なポートフォリオが提案されます。これならポートフォリオ構築の手間も必要ありません。リスクの許容度を伝えておけば、投資のプロが運用してくれるためより高い投資効果が期待できます。
ファンドラップのデメリット
ファンドラップのデメリットは、主に最低投資金額、手数料の2つといえます。
- 少額投資が難しい場合がある
- 手数料が割高な場合がある
ファンドラップは最低投資金額が定められていることがあり、商品によっては数万円から投資可能なものもあれば、数百万円のまとまった資金が必要な場合もあるため、選ぶときは注意が必要です。
また、ファンドラップにかかる主な手数料には次の2つがあります。ランニングコストとして割高に感じられるかもしれませんが、大切な資産を運用のプロに一任するための必須コストと認識するとよいでしょう。
- 口座管理手数料:運用をアドバイスしてくれる証券会社に支払う手数料 年間で運用総額の1〜2%程度
- 信託報酬:実際に資産を運用している運用会社に支払う手数料 年間で運用金額の0.1〜1%程度
プランによってはローリスク・ローリターンのものもありますが、運用状況によっては手数料の方が高くなるケースもあり注意が必要です。
なお、投資商品のため、運用状況によっては元本割れの可能性があります。
ロボアドバイザー(ロボアド)とは?
ロボアドバイザーには、一般的に「投資一任型」と「助言型」があります。今回は「投資一任型」のロボアドバイザーについて解説していきます。
ロボアドバイザー(略して「ロボアド」ともいう)とはスマホやPCでいくつかの質問に回答をすると、一人ひとりに合ったリスク許容度に合わせたポートフォリオを提案してくれるサービスです。投資家がインターネット上で質問に回答すると、資産運用の目的やリスク許容度に合わせたポートフォリオを提案してくれます。
もともとアメリカで誕生しましたが、日本では2016年ごろから広がり始めた比較的新しいサービスです。
ロボアドバイザーのメリット
ロボアドバイザーは自動でおまかせの資産運用を行うサービスです。そのため、投資経験や専門的な投資の知識がなくても始められるというメリットがあります。
また一度運用を始めたら、投資家の手間は状況を確認する程度で、手間や時間がかからないのもメリットです。ポートフォリオを維持するためのリバランスも自動で行われるため、いわば「ほったらかし」で運用し続けることもできる投資手法といえます。
■リバランスのタイミングを逃さない
投資では往々にして、運用を開始した際に最適なポートフォリオを構築したとしても、時間の経過と共に配分比率が変化してしまう場合があります。こういった場合に、例えば過剰にリスクを取ってしまう、リターンの効率が下がるといったことが起きることがあります。
ロボアドバイザーなら、資産のバランスが崩れないよう自動的にリバランスしてくれます。あくまでルールやデータに基づいて判断してくれるのは、とくに投資について考える時間の少ない忙しい人にとっては大きなメリットといえるでしょう。
人によって運用を始めた時期や最適なポートフォリオも異なるため、全体のバランスを見ながら銘柄を選定することが重要です。ここでもロボアドバイザーは、ルールとデータに基づいて素早く判断します。
■少額からでも投資を始められる
投資には数十万円以上、なかには数百万円の資金が必要と思っている人は多いかもしれません。しかしなかには、最低投資金額が低いものもあり、そのひとつがロボアドバイザーです。ロボアドバイザーは1万円程度の少額から投資を始められるサービスもあります。
なかには最低投資金額100円から始められるロボアドバイザーもあるため、ファンドラップに必要な最低金額、数百万円と比べれば、かなり始めやすい投資方法といえるでしょう。
ロボアドバイザーのデメリット
ロボアドバイザーのデメリットは次の2つといえます。
- 元本割れのリスクがある
- 短期での大きな利益獲得には不向き
- 専属の担当者がいない
まず元本割れのリスクですが、これはロボアドバイザーが投資商品であることを考えれば十分あり得ます。また短期での大きな利益獲得が不向きな点に関しては、ロボアドバイザーのほとんどが10年以上の長期投資を前提とした商品設計であることが理由です。
専属の担当者がいないのは大きなデメリットといえます。相手が人間であれば、ライフステージの変化や暴落時のアドバイスなど、尋ねたいことを具体的に、要望も細かに伝えて最適な解決策を求められますが、ロボアドバイザーにはこのようなサービスを期待できません。
これは、これから投資を始めたい初心者にとって「投資についてより詳しく具体的に学べない」というデメリットでもあります。ただロボアドバイザーへ投資しても、別途IFA(独立系資産アドバイザー)の利用は可能です。
ファンドラップとロボアドのどちらがおすすめ?
ファンドラップとロボアドバイザーは、どちらも投資の管理や運用を任せる投資サービスのため、どちらも投資だけに時間が費やせない人や投資経験の少ない人といった共通する要素はあります。ただそれぞれのメリット・デメリットからは、おすすめできるタイプに違いもありそうです。
ここではファンドラップとロボアドバイザーが、どのような人におすすめできるかを詳しく考えてみましょう。
ファンドラップがおすすめな人
ファンドラップにはロボアドバイザーと違い、人間に相談できるのが大きなメリットです。投資している間、結婚や出産、相続など環境が変われば、なかにはまとまったお金が必要になる場合もあります。そのときどのような方法があるか、投資を継続した方がよいかどうかといったアドバイスをタイミングに合わせてもらえるのは、やはり相談相手が人間であるからこそといえるでしょう。
またこのとき、提案されたポートフォリオについて詳しく尋ねたり、知見を得たりしやすいため、これから投資を学び、自身の判断で資産を増やしたいという人にはおすすめの方法ともいえます。逆に投資の知識や経験があり、投資先の銘柄選びやポートフォリオの見直しができる人には、手数料が高い分デメリットが大きい方法です。
さらにファンドラップを始めるには、まずまとまった資金が必要なため、たとえば手元に退職金はあるものの、投資しようにも知識や経験がなく、どのように投資すればいいのかわからないといった人にも、おすすめの方法といえます。
ロボアドバイザーがおすすめな人
ロボアドバイザーは、投資を数年から10年単位でとらえできるだけ大きなリターンを得ようとします。そう考えれば、ロボアドバイザーは長期的な資産運用を目指している人に向いている手法です。
そのため、比較的短期間で利益を得たい人には不向きですが、長期投資を視野に入れて、自身の手間や時間をかけずに投資をしたい人にはおすすめできます。
またロボアドバイザーは高度な理論に基づいたルールとデータに従って判断し資産を運用・管理するため、人間にある主観や感情が入り込むことがありません。この点でいえば、自身の投資判断に不安がある人にも向いている方法といえるでしょう。
おすすめのファンドラップ・ロボアドバイザーは?
投資に興味はあるが時間がなく、じっくりと取り組めない人には、ファンドラップまたはロボアドバイザーのような「おまかせ投資」がおすすめできます。しかしそれぞれ細かなサービスには違いがあるため、事前に情報を吟味し、納得できるものを選びたいものです。
ここでは、おすすめのファンドラップまたはロボアドバイザーを紹介します。
SBIラップ×(クロス)
SBIラップ×(クロス)は、投資のプロが投資家の資産運用に関する考え方や運用の目的などを詳しくヒアリングし、分析結果からリスク許容度に応じた運用プランを提案するファンドラップです。
運用プランはリスクを抑えた安定運用から、ハイリスクなものの高いリターンを狙うチャレンジ運用まで5種類あり、それぞれ専用の投資信託を通じて米国の株式や債券、新興国債券など8つのグローバル資産に分散投資します。
自分の投資判断に自信がない、リバランスが難しいといった人にもプロが個別にサポートし、定期的なフォローアップで見直しも可能です。最低契約金額は200万円、手数料が税込年率1.21%となっています。
楽ラップ
1万円から投資を始められる楽ラップは、国内の投資信託を通じて分散投資するロボアドバイザーです。独特の「下落ショック軽減機能」は、相場の値動きが不安定になると自動的に投資比率を変えて株式を減らし、債券を増やして全体の値動きのブレを軽減してくれます。
手数料も、固定報酬型と成果報酬型のうち運用方針に見合ったタイプを選べるのもポイントです。楽ラップを取り扱う楽天証券は総合ネット証券のため、ロボアドバイザー以外の金融商品への分散投資もできます。
ウェルスナビ
預かり資産・運用者数ともに国内No.1(※)のロボアドバイザーであるウェルスナビでは、5つの質問に答えるだけで資産運用プランを提案し、世界約50か国12,000銘柄への分散投資を自動で行います。資産運用を続けるためのサポートも充実しており、今年から始まった新NISAもおまかせで利用できます。
しかも最低投資額は1万円と低いため、これからロボアドバイザーを試してみたいという人にも適した運用方法といえます。
(※)一般社団法人日本投資顧問業協会「契約資産状況(最新版)(2023年9月末現在)『ラップ業務』『投資一任業』」を基にネット専業業者を比較 ウエルスアドバイザー社調べ(2023年12月時点)
自分にあった方法で資産運用しよう
将来が不安な現代において、資産運用が必要と思いながらも「時間がない」「投資経験がない」となかなか一歩を踏み出せない人にこそ、ファンドラップやロボアドバイザーという「おまかせ投資」が向いています。
ただ両者には最低投資金額や運用や管理の判断機能が異なるため、より運用方針に適した方を選ぶことが大切です。とはいえ、大切な資産を預けると考えれば、信頼できて納得できる相手に任せたいのが本音でしょう。
「新しい資産運用の窓口」投資信託相談プラザは、投資に不安のある方と一緒に、投資信託の専門家が最適の商品を一緒に考えます。投資だけでなく保険や住宅ローンなどお金の悩みをトータルでサポートしてくれる、頼りになる相談相手です。納得いくまで相談し、一緒に自分に合ったベストな資産運用を目指しましょう。
(SBIラップ×投資信託相談プラザに関するご注意事項)
SBIラップの利用開始にあたり、SBI証券総合口座開設が必要です。法人口座のお客さまは、現在お申し込みいただけません。SBIラップは、投資一任契約に基づくものであるため、原則としてお客さまが自ら投資信託の個別の売買注文を行うことはできません。ご契約にあたっては、サービス概要等をよくお読みください。
(楽ラップのリスクと費用について)
楽天証券ラップサービスは、国内投資信託および外国投資信託等を主な投資対象として運用を行うため、投資元本は保証されるものではなく、これを割り込むことがあります。 また、お客様には運用にかかる費用等をご負担いただきます。費用等には、直接ご負担いただく費用(投資顧問料(投資一任フィー)及び管理手数料(ラップフィー))と、間接的にご負担いただく費用(投資対象に係る費用)があります。
楽天証券ラップサービスの手数料体系には固定報酬型と成功報酬併用型があり、固定報酬型では投資顧問料(投資一任フィー)と運用管理手数料(ラップフィー)の合計が最大で運用資産の0.715%(税込・年率)、成功報酬併用型では投資顧問料(投資一任フィー)と運用管理手数料(ラップフィー)の合計が最大で運用資産の0.605%(税込・年率)+運用益の積み上げ額の5.50%(税込)となります。このほかに間接的にご負担いただく費用は、投資信託では運用管理費用として、信託報酬 (最大で信託財産の0.330%(概算)(税込・年率)。但し、楽天証券ラップサービスで投資する投資信託が投資対象とする他の投資信託の信託報酬等を加えた実質的な運用管理費用は最大で信託財産の0.682%(概算)(税込・年率)です。)、信託財産留保額(最大で信託財産の0.30%(概算))、その他費用をご負担いただきます。
これらの費用の合計額および上限額については、資産配分比率、運用状況、運用実績等に応じて異なるため、具体的な金額・計算方法を記載することができません。詳しくは、契約締結前交付書面および目論見書等でご確認ください。なお、楽天証券ラップサービスにはクーリング・オフ制度は適用されません。 金融商品仲介業者を通じてお申込みいただいたお客様は、ご担当者までお問合せください。
ウェルスナビ株式会社が提供する金融商品の取引は、金利、通貨の価格、金融商品市場における相場、その他の指標の変動等により損失が生じ、また投資元本が割り込むおそれがあります。ご利用の際は、事前に契約締結前交付書面等を十分にお読みください。
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関東財務局長(金商)第2884号
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このコラムの執筆者
MONEY HUB PLUS 編集部
株式会社Fan
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