債券投資と株式投資の持つメリットはそれぞれ異なります。双方の違いをしっかり把握してから投資をすることが大切です。
また、どちらを選ぶべきかは目指している投資スタイルによって異なります。どちらか一方のみを購入する方法もありますが、資金に余裕があれば両方に分散投資をすることでリスクの軽減が期待できます。その理由は、債券と株式は以下のイメージ図のように、一般的には経済状況によって反対の動きをするからです。
※これは一般的なイメージ図であり、全ての商品が当てはまるものではありません。
本記事では、債券投資と株式投資のそれぞれのメリットとリスク、違いについて解説します。
【債券投資と株式投資のポイントをチェック!】
参照:日本証券業協会 投資の時間を参考に株式会社Fan作成
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債券とは
債券とは、国や地方公共団体、企業が資金を調達するために発行する有価証券です。国が発行するものは国債、地方公共団体が発行するものは地方債、企業が発行するものは社債と呼ばれます。
債券のお金を返す期限日を満期といいます。満期までの期間は決められた条件で利子を定期的に受け取れます。満期を迎えると元本またはあらかじめ約束した金額が払い戻される仕組みとなっています。
※一部の商品はこの限りではありません
債券に投資するメリット
債券に投資するメリットは、以下のとおりです。
- 満期時に元本またはあらかじめ約束した金額が戻ってくる
- 定期的に利子を受け取れ、予定を立てやすい
- 銘柄によっては、途中で売却も可能
債券は市場金利や発行体の信用力の変化によって条件が変わります。償還日に元本またはあらかじめ約束した金額が払い戻されることが決まっているため、発行体の信用度が高ければ比較的リスクを抑えた投資といえるでしょう。
また、一部の債券を除き、基本的に債券を保有している期間は定められた利率に基づいて定期的に利子を受け取ることが可能です。
債券は満期が決まっていますが、満期を待たずに売却もできます。
債券に投資する際のリスク
債券に投資する際のリスクは、以下のとおりです。
- 価格変動リスク…途中で売却する際、売却価格が当初購入価格を下回る可能性がある
- 信用リスク…発行体が破綻する可能性がある
- 為替変動リスク…外国債券の場合、換金時に為替レートの変動により為替差損が生じる可能性がある
- カントリーリスク…外国債券の場合、発行体の所在する国や経済環境によって価格変動が生じる可能性がある
- 流動性リスク…途中で売却したくても、買い手がつかず希望するタイミングで売却ができない可能性がある
特に円以外の通貨で発行・償還される外貨建て債券は満額で償還されても、為替の変動によって投資元本を割り込んでしまう恐れもあるため注意が必要です。
債券に投資する際のリスクについて対応するには、世の中の金利の動きや債券の格付けを確認しましょう。
株式とは
株式とは、株式会社が資金調達のために発行する証券です。株式の発行は、企業が新しいサービスや商品の開発、工場などを用意する際に必要な資金を集めるための手段のひとつです。
株式に投資するメリット
株式に投資するメリットは、以下のとおりです。
- 値上がり益を狙える
- 銘柄によっては配当金や株主優待が受け取れる
- 会社の意思決定に関与できる(株主総会等)
株とは各会社(企業)が発行している、株式会社が事業資金を調達するために発行するものです。株価とは1株あたりの値段のことです。株価は常に変動しています。
購入したときよりも高い金額で売却できれば、値上がり益を得ることが可能です。たとえば、100万円で購入した株式が200万円になったときに売却した場合、値上がり益は100万円となります。
一部の株式を除き、配当金を受け取れることもあります。配当金とは、企業が得た利益の一部を保有株数に応じて株主に還元するものです。ただし、配当金の金額や回数、支払い時期については企業によって異なります。
また、株主優待がもらえるものもあります。株主優待とは、株式を発行している企業が株主に対して自社製品の詰め合わせや自社サービスの割引券、QUOカードなどをプレゼントするなどさまざまです。
株主の権利として、議決権があります。一般的に1単元株に対し1つの議決権があります。議決権を持つ人は株主総会で行われる重要な決議で票を投じることができます。
※単元未満の株については議決権はありません。
株式に投資する際のリスク
株式に投資する際のリスクは、以下のとおりです。
- 価格変動リスク…株価が値下がりすることで、換金する際の受取金額が当初購入金額を下回る可能性がある
- 信用リスク…投資した会社の業況悪化で配当金や株主優待がなくなる、投資した会社が破綻し株式の価値が失われる
- 為替変動リスク…外国株式の場合、換金時に為替レートの変動により為替差損が生じる可能性がある
- カントリーリスク…外国株式の場合、発行体の所在する国の政治・経済環境により価格変動が発生する可能性がある
株価は常に変動しており、さまざまな要因により値下がりすることがあります。購入時は値上がりが期待されていた銘柄でも、なんらかの原因で株価が下落し、購入時の株価を下回ってしまうこともあるでしょう。株式には元本保証がないため、購入時よりも株価が下回った状態で売却すると、損失を被ります。
企業が倒産に追い込まれた場合には、保有する株式の価値がなくなってしまい、投資した資金を取り戻すことは困難です。
株式の取引は、売り手と買い手の両者がいなければ成立しないため、思い通りに取引できない可能性もあります。株式を購入したい方が多い場合はストップ高、株式を売却したい方が多い場合はストップ安になり、市場がストップするケースがあります。また、企業の決算で業績が不調だったなどの理由により、売り注文が急増しても、買い注文が少ないと、ほとんどの売買は成立しないでしょう。
外国株式は売却時の為替の状況により、損失を被る可能性があります。購入時と比較し、円相場が円安になると変動分の利益が生じますが、円高になるとその分損失が生じます。
【債券と株式】5つの大きな違い
債券と株式には、5つの違いがあります。
- 発行体にとっての調達資金性格の違い
- 利益を得る方法の違い
- 満期の有無の違い
- 換金のしやすさの違い
- リスク・リターンの大きな違い
それぞれの違いについて詳しく解説します。
1.発行体にとっての調達資金性格の違い
債券も株式も資金調達を目的として発行される金融商品ですが、その後の資産としての取り扱いは大きく異なります。
発行元にとっては債券で集めた資産は借り入れた資産であり、つまり負債といえます。そのため、債券は定められた満期日までに出資者へ返済しなければなりません。
一方、株式で集めた資金は企業の資本として扱われます。株式は株主へ返済する義務はなく、株主が投資した資金を取り戻すには、保有している株式を売却することになります。
2.利益を得る方法の違い
債券と株式は利益を得る方法も異なります。債券投資は、保有期間中に事前に定められた利子を受け取ることができます。投資元本は償還日に返済されるため、受け取った利子分が最終的な利益となります。
また、銘柄によっては満期を迎える前に債券を売却することもでき、もし債券が発行されたときと比較して売却をしようとするときの金利が下がっていれば、より高く債券を売却し利益を得られる可能性もあります。
一方、株式投資で得られる利益は売却による譲渡益と配当金です。株式を安いタイミングで購入し、高くなったタイミングで売却することで、その差額を利益として受け取れます。また、銘柄によっては保有期間中に配当金が受け取れることもありますが、債券の利息とは違い、約束されたものではないため、業績が悪ければ配当金は支払われない傾向にあります。
3.満期の有無の違い
満期があるかどうかも、債券と株式の違いといえます。
債券は満期が決められており、償還日に投資した元本またはあらかじめ約束した金額が戻ってきます。満期日よりも前に売却することもできますが、売りたいタイミングで買い手がつかなかったり、価格が下落していて投資した元本を割り込む可能性もあるので注意が必要です。
一方、株式には満期が定められていません。そのため、いつでも自由に売却することが可能です。ただし、満期がないぶん元本の返済義務がないため、株式を手放す際には株価の動向を確認して売却しないと、売却するタイミングによっては損をしてしまう恐れがあります。
4.換金のしやすさの違い
株式は保有期間の制限がなく、証券取引所で自由に売却が可能であり、債券と比較すると換金しやすいです。しかし、ストップ安やストップ高の場面では、思ったように売買できないこともあるでしょう。
債券の場合、通常は証券会社等が買い取ってくれます。ただ、個人向け国債は購入から1年未満は中途換金できないなどの条件があり、注意が必要です。(特例として例外的に中途換金が可能な場合もあります。)また、先述のとおり売りたいタイミングで買い手がつかない、投資した元本を割り込むなどの可能性もあります。
5.リスク・リターンの大きさの違い
債券投資は基本的に償還日に元本またはあらかじめ約束した金額が受け取れることが発行体の信用力によって約束されているため、その点リスクが軽減されているといえます。しかし、得られる利益は保有期間中の利息分のみで、大きな利益を得ることは難しいでしょう。また、発行体が経営不振や財政難に陥った場合には、元本や利息が支払われないリスクもあります。
一方、株式投資は値上がり益を狙って短期的に売買をすることで収益性が上がる可能性もあります。しかし、投資先の企業が破綻してしまうと、資金がゼロになってしまうリスクもあります。そのため、銘柄を選定する際には、直近の決算など財務状況をきちんと確認することが大切です。
【債券と株式】どちらを選ぶべき?
※これは一般的なイメージであり、全ての方に当てはまるわけではありません。
債券投資と株式投資の違いを踏まえたうえで、どちらの投資が向いているか考えましょう。
債券はリスクに対して慎重で、期間を定めて運用したい方におすすめです。一方、株式はリスクを取っても大きなリターンを得たい方や短期間でのリターンを望む方が向いています。また、株式投資は値動きを気にしなくてはならないため、分析が好きな方におすすめです。
ただし、債券と株式のどちらか一方のみに投資するのではなく、うまく分散しながら債券と株式の両方に投資して、リスクをコントロールすることが大切です。たとえば、リスクを取りながらでも積極的な運用をしたい方は、株式投資をメインにしたポートフォリオが良いでしょう。反対にリスクを抑えて投資をしたいという方は、債券をメインとしたポートフォリオを組むのがおすすめです。
債券投資・株式投資におすすめする証券会社
金融機関によって取り扱っている銘柄数や手数料が異なるため、金融機関選びは重要です。債券投資や株式投資を始めるには、楽天証券またはSBI証券がおすすめです。
楽天証券
楽天証券がおすすめな理由は、取り扱っている銘柄の多さです。楽天証券は株式はもちろん、取り扱っている債券の数も多い傾向にあります。
また、手数料の安さも楽天証券が人気な理由の1つです。楽天証券は国内株式と海外株式ともに売買手数料がかかりません。ただし、単元未満での株式の取引には、スプレッドが生じるためご注意ください。
2024年3月25日より、楽天証券「債券マルシェ®」では円建て債券がラインナップに加わりました。楽天証券では、米ドル建て債券を中心に幅広いラインナップを提供していましたが、これまで以上に幅広い投資ニーズに応えることが可能になります。
参照:楽天証券
SBI証券
SBI証券は楽天証券と同じく、主要なネット証券の中でも人気の高い証券会社です。SBI証券が人気の理由は取り扱い銘柄の数です。楽天証券と同じく、取り扱い銘柄数が多いです。SBI証券の外貨建て既発債券はBBB以上の投資適格格付を中心に最大13通貨の債券を随時取り扱いしており、通貨の分散投資が可能です。
また、株式投資においてはSBI証券は1株から投資できる銘柄数が多いのが特徴です。SBIのS株は1株から投資でき、手数料もかかりません。米国株式だけではなく、主要ネット証券最多の9か国の株式を取り扱っており、各国商品の取扱を順次拡大しています。(※)
国内株式、投資信託などさまざまな取引でポイントが貯まります。提携ポイントサービスは以下のとおりです。貯まったポイントは、1ポイント=1円分として、ポイントを投資信託と国内上場株式(S株(単元未満株)を含む)の買付に使えます。街やネットでのショッピングで貯めたポイントも利用可能です。
- 青と黄色のVポイント
- Pontaポイント
- dポイント(ためるのみ)
- JALのマイル(ためるのみ)
- PayPayポイント(ためるのみ)
※「主要ネット証券」とは口座開設数上位5社のSBI証券、auカブコム証券、松井証券、マネックス証券、楽天証券(カナ順)を指します。(2022年3月3日現在、各社公表資料等より、SBI証券調べ)
※2024年11月買付分よりポイント付与率の変更が予定されております。詳細はこちら
参照:SBI証券
※SBI証券の口座開設料・管理料は無料です
債券・株式を購入する流れ
債券や株式を購入する流れは、以下のとおりです。
- 証券会社で口座を開設する
- 開設した口座に入金する
- 債券・株式を探し買い付け注文を行う
それぞれの手順について、一般的なオンライン証券の場合を例をもとに解説します。
1.証券会社で口座を開設する
債券や株式を購入するには、口座開設が必要です。口座を開設するには、証券会社の公式サイトから申し込みをします。
口座開設時には、マイナンバーカードや運転免許証などの本人確認書類による本人確認が必要です。申込完了から最短で翌営業日に口座開設完了となります。
2.開設した口座に入金する
口座開設が完了したら、証券口座に入金しましょう。取引にあたっては事前の入金が必要です。
3.債券・株式を探し買い付け注文を行う
専用アプリやPCサイト、スマートフォン用サイトから債券や株式の取引が行えます。まずはアプリやPCサイト、スマートフォン用サイトにログインしましょう。債券や株式を購入する場合は、銘柄を検索し、購入したい銘柄を選びましょう。購入したい銘柄を見つけたら、各銘柄の詳細ページから買い注文を行います。
債券の場合は注文内容の入力画面で注文数量を入力し、利用する口座を選択しましょう。株式の場合は注文内容の入力画面で注文種別、数、価格、注文期間などを入力し、利用する口座を選択します。
また、株式の場合には、指値・成行という注文方法があります。成行は価格を指定せず、その時点で最も有利な価格で売買を注文する方法です。指値は購入する価格を指定する方法です。買指値を出し、株の値段が買指値よりも安い場合、その安い値段で購入できます。逆に売指値を出し、株の値段が売指値よりも高い場合は、その高い値段で売れます。注文期間は、本日・今週中・期間指定から選択可能です。
口座開設や商品選びに迷ったら・・・
さまざまな金融商品があり、どれが自分に適しているのか判断に迷う方も多いでしょう。投資信託相談プラザでは、お金の専門家であるIFAが口座開設手続きのサポートや、お客様のライフプランに最適な商品を一緒に考えます。ぜひ一度ご相談ください。
このコラムの執筆者
MONEY HUB PLUS 編集部
株式会社Fan
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