REITとは不動産投資信託のこと。種類やメリット、購入方法を解説

REITとは不動産投資信託のこと。種類やメリット、購入方法を解説

投資信託

REIT(リート)とは、少額から始められる不動産投資信託のことです。分散投資ができるほか、比較的利回りが高いなどいくつものメリットがあります。

本記事ではREITの仕組みや現物投資との違いを説明したうえで、メリットやデメリットについても紹介します。

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REIT(リート)とは

REIT

REIT(リート)とは「Real Estate Investment Trust」の略で、アメリカで生まれた不動産投資信託のことです。投資家から集めた資金で不動産投資を行い、収益を分配します。10万円前後と少額から始められるのが特徴で、比較的高利回りで安定した収益が得られるのがメリットです。

ここでは、REITの仕組みやJ-REITとの違い、不動産投資との違いについて紹介します。

REITの仕組み

REITを運営するのは、法律に基づき資産への投資・運用を目的として設立された不動産投資法人です。

REITの仕組み図

REITは証券取引所に上場しており、不動産投資法人は投資証券を発行して市場から資金を調達します。集めた資金で運用を行い、不動産の賃貸料や売却で得た収益の一部が投資家に配当されるというのがREITの仕組みです。

ちなみに、投資法人は法律上、従業員の雇用が禁止されており、業務は外部に委託することとされています。そのため、実際に不動産運用業務を行うのは資産運用会社で、不動産資産の保管は資産保管会社、不動産の管理は外部管理会社に委託されています。

J-REITとはどう違う?

REITは1960年にアメリカで生まれ、世界各国に普及しました。REITを導入する国や地域は増加を続け、世界のREIT市場は2021年7月現在、時価総額で約189.02兆円に達している状況です。(※)

日本のREITはJAPANの「J」をつけ、「J-REIT」とも呼ばれています。単にREITという場合でも、通常はJ-REITのことを指していると思ってよいでしょう。

J-REITが証券取引所に上場したのは2001年9月で、「日本ビルファンド投資法人」と「ジャパンリアルエステイト投資法人」が東京証券取引所に上場したのが始まりです。

※参考:三井住友トラスト・アセットマネジメント 世界のREIT市場

不動産の現物投資との違い

一般的に不動産投資という場合、不動産の現物を購入する取引を思い浮かべる方も多いでしょう。不動産投資は自ら物件を探し、多額の資金を出資して不動産を購入するもので、証券を売買するREITと異なります。

不動産の現物投資では投資家が不動産のオーナーになりますが、REITで購入するのは投資証券であり、不動産の運用や管理には一切関わりません。

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REITの種類

建物のアイコン

REITは投資する不動産の用途や対象となる地域により、いくつかの種類に分類されます。特定の用途を持つ不動産のみに投資する「単一用途特化型」、複数の用途に分散して投資する「複数用途型」があり、複数用途型の組み合わせはさまざまです。

ここでは、2つの種類について解説し、REITの指数に連動する上場投資信託(REIT型ETF)についても紹介します。

単一用途特化型

単一用途特化型は、特定の用途を持つ単一の不動産に投資する方法です。次のような不動産に特化して投資します。

  • オフィスビル
  • 商業施設
  • 住居
  • ホテル
  • 物流施設
  • ヘルスケア

オフィスビル特化型は都心のビルなどが中心です。オフィスビルと商業施設は景気の影響を受けやすく、景気が良ければ需要が高まり、家賃が値上がりして配当金も高くなります。

住居特化型はマンションが中心で、景気の影響をあまり受けず比較的リスクが少ない銘柄です。価格の変動が少ないため大きなリターンは期待できず、長期保有に向いています。

ホテル特化型は観光客の動向に影響されやすく、観光客が増える時期は配当も高くなる傾向です。2020年から始まったコロナ禍により打撃を受けており、分配金も少なくなっています。

物流施設に特化したREITは、倉庫などの物流設備が中心です。物流施設はテナントの移動が少なく安定している傾向ですが、退去した場合には次のテナントが決まるまでの時間が長くなりやすく、その間は収益が下がるリスクを抱えています。

ヘルスケア特化型は新しいタイプとして注目されているREITです。老人ホームや病院などを投資対象としており、今後の高齢化社会の進行に伴い、これら物件の需要が高まることが予想されています。国土交通省もヘルスケアREITの組成に乗り出しており、国をあげての取り組みは、投資の可能性をさらに広げるものといえるでしょう。

複数用途特化型

複数用途特化型は、用途を持つ不動産を複数組み合わせたREITです。2つの用途を組み合わせる「複合型」と、3つ以上の用途を組み合わせる「総合型」に分けられます。

複数用途特化型では特徴の異なる不動産をいくつか組み合わせることで、ひとつの不動産が持つリスクを分散することが可能です。

大きな売却益を狙うのであれば単一用途特化型にメリットがありますが、初めて投資する場合は手堅く複数用途特化型に投資する方が安心でしょう。

なお、不動産の種類のほか、不動産のエリアに特化したREITも少なくありません。多くのREITは全国の都市圏にある不動産を対象としていますが、関西や九州方面などの都市部に特化しているREITもあります。エリア特化型REITは、地域を応援するという意味合いも含まれるでしょう。

REIT型ETF

不動産の種類や地域に特化したREITのほか、「REIT型ETF」という商品もあります。ETFとは「上場投資信託」のことで、東証株価指数(TOPIX)などの指数に連動する投資信託のことです。

REIT型ETFはREITに連動するETFであり、REIT型ETFを購入すると上場しているREITの全銘柄に投資することになり、分散投資できます。比較的リスクが少なく、指数に連動しているため値動きも緩やかです。

REITのメリット5つ

マンション

REITはメリットの多い商品です。主に次のようなメリットがあります。

  1. 少ない資金で投資できる
  2. 利回りが高く、比較的安定して配当金を受け取れる
  3. 分散投資してリスクを回避できる
  4. 市場で売買しやすい
  5. 不動産を管理する必要がない

REITは少ない資金で出資でき、専門家に運用・管理を任せられるのが利点です。さらに、比較的高い配当金を受け取れるという特徴もあります。REITのメリットを5つ紹介しましょう。

1.少額で投資できる

REITは不動産を証券化して多くの投資家から資金を集め、不動産に投資をする商品です。そのため、10万円前後という比較的少額から投資できます。不動産を実際に購入する投資は少なくとも数百万単位の資金を必要とするのに対し、REITは手軽に不動産への投資ができるのが大きなメリットです。

また、REITの運用は投資のプロが行うため、安心して任せることができます。不動産の選定や購入、維持管理、賃貸募集などをすべて代行してくれるため、運用の手間がかからないのもREITの特徴です。

2.利回りが比較的高く安定している

REITは利回りが比較的高く、安定しています。その理由は、配当金の主な原資が賃貸料だからです。賃貸している限り、賃貸料の収入がなくなることはありません。定期的な収入が得られるため、利回りも高くなります。空室が出るリスクはありますが、複数の不動産に投資する分散投資により、リスクを回避することが可能です。

利回りが高いもうひとつの理由として、分配金が高いことがあげられます。REITの窓口となる不動産投資法人は、一定の条件で法人税が免除される仕組みになっています。その条件とは、賃料収入から賃貸に関わる各種費用を引いた利益の90%超を投資家に分配することです。

投資家は不動産で得た収益の多くを分配金として得ることができるのです。

3.分散投資ができる

REITは分散投資ができるのもメリットです。投資をひとつの商品だけに絞って資金の全額を投じた場合、値上がりしたときのリターンは大きくなるでしょう。しかし、損失を出したときは全額を失うことにもなりかねません。

複数の商品に分散して投資すれば、ひとつの商品が損失を出してもほかで補うことが可能です。

いくつもの不動産に投資するREITを購入することで、リスクを抑えた投資ができます。現物投資で分散投資する場合は多額の資金が必要ですが、少額でも分散投資できるというのがREITの優れた点です。

4.換金しやすい

REITは証券化されているため流動性が高く、売買しやすいのが特徴です。いつでも購入でき、換金も難しくありません。

一方、不動産の現物投資は取得も売却も大きな手間がかかります。取得に際しては登録免許税と不動産取得税がかかり、取得後は固定資産税を支払わなければなりません。取得時は登記手続きも必要です。

これに対し、REITの場合は不動産の売買自体は運用会社が行うため、投資家には一切負担がないのもメリットです。

5.管理の負担が少ない

REITは管理の負担も少なくて済みます。不動産の維持管理や賃貸募集などは運用会社が行うため、投資家が行うのは商品を選んで購入することだけです。運用に関しては決算関連の書類が公表され、状況を確認できます。

不動産の現物投資では、賃貸契約や管理会社への委託、建物の修繕など、自ら運営に携わらなければなりません。

このほか、REITにはインフレに強いというメリットもあります。REITの主な原資となる賃貸料は物価に連動する傾向が強く、物価上昇に伴って賃貸料も上がりやすいからです。インフレで通貨価値が下がった場合でも、REITを保有することで資産減少のリスクを避けることが可能です。

REITのデメリット

ビル

REITにはメリットがある一方、デメリットもある商品です。基本的に資産運用はリターンもある代わりにリスクがつきものですが、REITも同じようにリスクを伴います。

REITで想定されるリスクは、投資法人の破綻や上場廃止などで、不動産の市況にも影響されやすいのが点です。災害により不動産が損壊する可能性もあるでしょう。最近では、コロナ禍の影響を受けています。これらREITのデメリットについて、詳しく見ていきましょう。

投資法人の破綻や上場廃止のリスクがある

REITの分配金は高い利回りが魅力ですが、必ず支払われるという保証はありません。さまざまな要因の影響を受け、変動する可能性があります。要因として考えられるのは、次のとおりです。

  • 投資法人の破綻
  • 上場廃止
  • 金利変動
  • 法制度の変更

REITの窓口となる不動産投資法人は、一般の法人と同じく倒産のリスクがあります。リスクが現実的なものになった場合、REITの価格が下落する可能性があるでしょう。

またREITの銘柄が、証券取引所が定める上場廃止の基準に該当すれば、上場廃止になる可能性もあります。上場廃止となった場合、取引をするのは困難です。

REITは金利変動の影響を受ける可能性もあります。​​不動産の購入は投資家からの出資金だけでなく、金融機関からの借入金を利用している場合があるからです。金利が上昇することで銀行に支払う利息が増えれば、収益が減少してしまいます。分配金が減ることになり、REITの下落にもつながるでしょう。

不動産に関する建築規制や税制といった法制度が変わった場合も、REITに影響が出る可能性もあります。

災害時や価格変動などに影響されやすい

REITは、災害や価格変動の影響を受けやすいのが特徴です。まず、地震や火災などで投資対象の不動産が被災することが考えられます。REITでは耐震性の基準を満たした建物への投資でリスクを軽減していますが、不測の事態が起こらないとは限りません。

また、不動産の市場や経済情勢などの影響で、物件の賃料収入が減る、もしくは保有物件の価格が下がるといった事態も考えられます。その影響を受けて、分配金が下がる場合があるかもしれません。

近年では、コロナ禍によりREITは大きな影響を受けました。2020年にはホテルの利用客が激減し、テレワークの推進によりオフィスの解約も相次ぎました。市場ではホテルやオフィスの銘柄が大幅に下落しています。

2021年には回復の兆しが見えましたが、コロナ禍による状況は、REITが社会情勢に影響を受けやすいことを証明したといえるでしょう。

配当控除の適用がない

REITの分配金は不動産の賃貸料を原資とするものですが、実態は投資信託です。そのため、株式に投資する投資信託と同じく、分配金は配当所得になります。

また、分配金は課税され、20.315%(所得税15.315%、住民税5%)が差し引かれるのも株式や投資信託と同様です。

さらに、REITは売却時に損失が出たとき、ほかの売却益や配当金・分配金と損益通算することができます。損失の残額があるときは、確定申告して3年間の繰り越しができる点も、株式や投資信託と同じです。

しかし、株式や投資信託の配当には配当控除が適用されるのに対し、REITには適用されない点が異なります。

REITを購入する方法

電卓と筆記用具

REITの購入は株式と同じで、まず証券会社に口座を作ることから始めます。売買のルールも基本的には株式と変わりありません。

ただし、株式の売買単位が銘柄によって異なるのに対し、現在上場しているREITの売買単位はすべて1口です。投資する際に必要な最低金額は1口あたりの価格となります。

REITの分配金は、投資法人の決算期に支払われます。20.315%の税金が差し引かれますが、NISA口座を利用して非課税にすることも可能です。

REITは初心者でも始めやすい

マンション

REITは少額から始められる不動産投資信託で、比較的高利回りで安定した分配金を受け取れるのが特徴です。運用の専門家が不動産を購入・運用していくため、初心者でも始めやすいでしょう。

株式と同じく売買しやすく、不動産の現物投資とは異なり不動産を管理する手間もありません。ほかの資産運用と同様にリスクはありますが、分散投資でリスクを抑えることも可能です。REITに興味のある方は、試してみるのもよいでしょう。

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