

60代の資産運用 理想のポートフォリオを考える!
2020.08.31
2~30代の人だけでなく60代以降の人からも、このような声を聞くことが増えてきました。
今の若い人には信じられないかもしれませんが、30年程前までは銀行あるいは郵便局で預金(貯金)をすれば10年程度でお金は倍に増えました。
今現在の金利でお金を倍に増やそうとするといったい何年かかるでしょうか?
当コラム執筆時点での大手銀行の定期預金の金利は0.002%です。
「あれっ? ゼロが多かったかな?」と筆者自身も感じたのですが、やはり何度確認してもゼロが3つも付いています。
それでは先程の問いの答えになりますが、正解は(資産が倍になるまで)「3万6,000年」かかります。
…気が遠くなるような数字ですね。
今後金利が引き上げられる可能性はありますが、現時点で預金に置いても全く増えないのは事実ですので、何かで運用しようと考えるのは普通のことです。
そこで当コラムでは、運用難に陥っている60代の人の一助となるべく、60代の人が採るべきポートフォリオはどのようなものかを考えてみたいと思います。
人生100年 資産運用を継続しよう!
「人生100年時代」と言われて久しくなりました。
60歳ですっぱり仕事を引退してその後は悠々自適な生活に移れる人は少なくなりつつありますが、仮に60歳で引退出来れば残りの人生はなんと40年もあることになります。
寿命が伸びることは嬉しいことではありますが、それに伴って増える出費には頭を抱えてしまいます。
人の寿命が伸びるに併せて、お金の寿命も伸ばす必要が出てきます。
現役時代に資産運用を行っていた人は是非運用を継続して人生100年時代に備えましょう。
資産運用を行ってこなかった人は60歳(代)からでも遅くはありません。
ゆとりあるセカンドライフを獲得するためにも資産運用を開始しましょう。
金融庁が昨年(2019年)公表した『金融審議会報告書』には老後に2,000万円の取り崩しが必要になる旨が記載され大きな話題となりました(いわゆる「老後2,000万問題」)。
報告書の「2,000万円足りない」という見通しは現時点での予測であり、今後少子高齢化がますます進み、年金支給額が抑制される事態になれば不足額は2,000万円では収まらない可能性が高くなるでしょう。
さらに悪いことに、退職金はピーク時から3~4割も減っており、このことからも資産運用の必要性を認識することができます。
資産運用は誰しもが避けることのできないものであると考えるべきでしょう。
資産運用で変わる資産寿命!
人の寿命が伸びるに併せて資産寿命も伸ばす必要があることは先の項で説明した通りです。
それでは資産運用によって資産寿命はどのくらい伸ばせるのかを確認してみましょう。
60代以降の資産運用は資産を大きく増やすというより、運用しながら取り崩していくイメージになります。
資産寿命は取り崩しをしていき何年保てるかという話になります。
ここでは「ゆとりある生活」をイメージして考えてみます。
ゆとりある生活を送るためには一般的な標準世帯(夫婦2人)で約36万円/月かかるとされます。
それに対する収入が約21万円ですから差し引きで毎月15万円を取り崩していかなければなりません。
シミュレーションでは全く運用しないケース(利回りゼロ)から6%の利回りで運用できたとするケースの計4つを提示しています。
運用開始時点(シミュレーションのスタート時)の元金は60歳代の平均貯蓄額(2,382万円)を採用しています。
上記のシミュレーションからわかる通り、資産運用を行うことで資産寿命は大きく変わってきます。
「人生100年」を見据えれば資産運用だけでなく、1年でも「長く働く」ことや「生活コストの見直し」も必要になってくると考えられます。
これらのことも資産運用と併せて考え、ゆとりある老後を目指しましょう。
60代の目指すべきポートフォリオは? 収益性より安全性を重視しよう!
それでは60代が採るべき具体的なポートフォリオを考えていきましょう。
繰り返しになりますが、60代以降の資産運用は増やすというより資産の減りを緩やかにすることが主目的になります。
運用方針としては「収益性より安全性」を重視したポートフォリオを目指してもらえればと思います。
2~30代のように「失敗したら後で取り返せばよい」という考えはできません。
運用資産の絶対額としても若い世代より大きくなるのが普通ですから、なおさら大きな失敗は避けなければなりません。
当コラムでは運用資産として「株式」、「債券」、「リート(不動産)」の3つを取り上げます。
「安全性」という観点からおすすめしたいのが「債券」を中心としたポートフォリオです。
資産配分のイメージを作成したので下記確認してください。
安全性を第一に考えた運用ということで、ポートフォリオのタイプは「慎重運用型」と命名します。
先の資産寿命シミュレーションの3%運用を目指す際の資産配分イメージとなります。
具体的な金額はシミュレーションの数字と合わせています。
上記の資産配分イメージからわかる通り、運用のメインは「債券」であり、国内外の債券で全体の3/4を占めています。
かなり手堅いポートフォリオになっていますので、これから資産運用を始める人は参考にしてもらえればと思います。
中にはもっと収益を狙っていきたい人もいるでしょう。
その場合は債券の比重を落として株式やリートの比重を増やしましょう。
具体的なポートフォリオを相談したい場合は当社の個別相談を活用ください。
相談予約は当社のHPや電話などで受付中です。
このコラムの執筆者

小須田 徹
株式会社Fan IFA
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プライマリー・プライベートバンカー(日本証券アナリスト協会認定) 関西学院大学卒。政府系金融機関勤務を経てIFAに転身。東京丸の内店に在籍。日本人の金融リテラシー向上に寄与すべく活動中。投資初心者の若い世代から退職世代の方まで、幅広い年齢層のお客様の金融コンサルティングを行う。