基準価額が高い投資信託は成績が良い、安ければ今は買い時ではないかと考えている方も多いのではないでしょうか。実は「基準価額」が高いか低いかだけでは、投資信託の良し悪しは判断することができません。
- 「基準価格」ともよく言われますが、「基準価額」が正式名称です。
投資信託の基準価額は、1万口当たりの金額で表示されています。基本的には1口=1円、基準価額1万円からスタートし、その後の運用結果によって基準価額は変動します。
基準価額の算出方法と確認方法についてはこちらのページでも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
>>>初心者必見!ゼロからはじめる投資信託/基準価額ってなに?
実際に投資信託を見比べてみましょう
参考例として、同じ参考指標(ベンチマーク)を持つ2つの投資信託を見比べます。
■参考指標:日経平均株価
- 投信A:インデックスファンド225/基準価額:5,679円
- 投信B:ニッセイ日経225インデックスファンド/基準価額:23,507円
※2019/8/30時点
まず上記の投資信託のどちらが良いファンドだと思いますか?ご覧の通り、基準価額は大きく差がついています。
Aと判断された方は、基準価額が低いため割安だと判断したかもしれません。
Bと判断された方は、基準価額が高いため運用の成果が良いと判断したかもしれません。
それでは、各々の5年間のパフォーマンスチャートを見てみましょう。
■投信A/投信Bのパフォーマンスチャート
このチャートを見る限り、過去5年間のパフォーマンスはほぼ連動しており、パフォーマンスはほぼ同じような結果になっていることがわかります。
それでは、なぜここまで基準価額に違いがあるのでしょうか?
次に設定来からのパフォーマンスチャートを見てみましょう。
■投信A/投信Bの設定来からのパフォーマンスチャート
チャートを見ると分かるように、2本の投資信託はスタート時期が違います。基準価額は設定後の市場の動きに応じて値動きをするため、投信Aは設定後に相場が大きく下がっていたため基準価額が低くなりました。
上記のことから分かるようにスタートした時期によって基準価額は大きく変わります。
つまり基準価額の高い、安いだけで良い・悪い、割安・割高、買い時の判断はできないのです!
毎月分配型と資産成長型でも大きく基準価額が異なる
毎月分配型と資産成長型では基本的に投資対象は同じです。しかし毎月分配型と資産成長型で基準価額が異なります。
参考例として、『フィデリティ・USリート・ファンド(為替ヘッジなし)』の毎月分配型(B)と資産成長型(D)を比較します。
- 投信B:毎月分配型/基準価額:3,605円
- 投信D:資産成長型/基準価額:18,393円
2019/8/30時点
基準価額の推移を見てみましょう。
■投信B/投信Dの基準価額の推移
水色の毎月分配型は、毎月一定額を投資信託の純資産の中から分配しています。赤色の資産成長型は、分配金を出さずに資産成長を目的として運用しています。
そのため、同じ運用をしたとしても必ず基準価額の差は開いていきます。
上記のことから分かるように分配金のあり・なしでも基準価額は大きく変わりますが、良い悪いは判断はできません。分配型は基準価額は目減りしますが分配金を受け取っていますので必ずしも損しているとは言えません。
以上のことから、「基準価額」が高いか低いかだけでは、投資信託の良い悪い、買い時を判断することができませんので投資信託を選ぶ際には惑わされないようにして下さい。
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このコラムの執筆者
道谷 昌弘
株式会社Fan IFA
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AFP(日本FP協会認定) 大学卒業後、大手証券会社に入社。国内営業部門にて法人・個人の資産運用アドバイスを行う。8年間勤めたのち退社し、より中立的なアドバイスができるIFA(独立系投資アドバイザー)に転身。現在は富山を拠点に、全国各地のお客様に幅広くコンサルティングを行いながら、お客様にとって本当に良い商品提案を日々追求している。