インドの投資環境は?法人税の引き下げは追い風か~コタック社勉強会レポート~

インドの投資環境は?法人税の引き下げは追い風か~コタック社勉強会レポート~

政治・経済

インドの中型株式等に精通した運用会社の一つで、インド最大規模の投資・リサーチチームを有するコタック・マヒンドラ・アセット・マネジメント(シンガポール)(以下、コタック社)のCEOニティン・ジェイン氏による勉強会が、三井住友DSアセットマネジメント社同行のもと開催されました。その内容に基づき、“インドの魅力”についてまとめてみました。

インドと言えば、インドカレーのイメージが強いですが…実は投資先として大変魅力のある国となっております。一緒に見ていきましょう!

インドの投資環境は?

勉強会の様子

インドの投資環境について、ネガティブな側面とポジティブな側面に分けて述べたいと思います。

ネガティブな側面としては、米中貿易摩擦の激化、及びこれに伴う世界経済・インド経済の成長鈍化懸念が挙げられます。米中貿易摩擦は当面続くことが予想されています。世界経済への悪影響は当然避けられませんし、実際に米国や中国の景気減速懸念は強まってきた可能性があります。経済指標にも弱気のものがちらほらと表れ始めました。インド経済にとって今後も逆風として影響を与えるものと考えられます。

ポジティブな側面としては、インドをはじめとした各国の金融緩和や積極的な財政政策(景気刺激策)が挙げられます。財政政策については主要なものとして、公営銀行に対する7,000億インドルピー(約1兆円)規模の支援。住宅金融会社に対する2,000億インドルピー(約3,000億円)規模の支援。ノンバンクに対する1兆インドルピー(約1.5兆円)規模の信用供与。外国投資家に対する追加キャピタルゲイン課税の回避などが挙げられます。それぞれ「流動性の増加」、「住宅建設の増加」、「ノンバンクのバランスシートの改善」、「外国投資家の投資増加」が期待されています。

法人税の引き下げが景気を浮揚させるか

ここでは今後のインド経済に大きなインパクトを与える可能性のある「法人税の引下げ」について考えてみたいと思います。

2019年9月にインド財務省が法人税を減税すると発表しました。現行実効税率35%のところを25%にするというもの。製造業にいたっては17%にまで一気に引き下げます(一部条件あり)。

主要振興各国・地域の法人税率の比較

この引下げにより、主要先進国・新興国より高かった税率は同等あるいはそれ以下の水準まで下げられることになりました。減税は手っ取り早く景気を浮揚させる効果があります。財政悪化につながる可能性がありますが、景気浮揚という側面では大きな効果が期待できるでしょう。当然に投資環境は上向くと言えます。

インド株式に投資するには?

それでは具体的にはインド株式にはどのように投資したらいいのでしょうか。現状ではインド株式に個別に投資することはできません。ADR(米国預託証券)やETF、投資信託などを活用して投資をすることになります。

ADRとは、非米国企業の株式を裏づけに発行される米国証券のことです。ADR自体は株式ではありませんが、裏づけとなる株式から生じる経済的権利の全てを含む有価証券であるため、実質的に株式を保有しているものと同じ効果があります。

ETFは上場投資信託のことで、SENSEX指数やCNX Nifty指数に連動する(同じように動く)商品もあります。1本で幅広い株式に(間接的に)分散投資ができるのが特徴です。個別株式に投資するのは躊躇われる人にお勧めです。

投資信託であれば毎月1万円といった少額でも積立投資が可能です。また株価指数ではない、いわゆるアクティブ投資信託も購入できます。商品によっては大きなパフォーマンスが期待できるので選択肢として検討する価値はあるかと思います。

以上のように、インド株式に直接投資はできませんが、間接的に投資することは可能です。

今後が期待できるインド

これまで日本では中国ばかりクローズアップされてきましたが、ポテンシャルではインドは決して負けていません。人口は早晩中国を抜くのは間違いありません。足元では苦戦気味ですが、経済成長率でも中国に伍しています。地理的な側面や英語が話せる人口が世界一というのも外国企業から見たら魅力的です。IT分野の人材の強さは折り紙つきです。

このようにインドの強みを挙げればきりがありません。短期的な浮き沈みはあるでしょうが、引続き投資先としてのインドはクローズアップされることでしょう。

余談ですが、コタック社の方から、インドで人気のあるビスケットをお土産にいただきました。インドでは今、所得の増加によりビスケットの消費量が年々増えてきているそうです。とっても美味しいビスケットでした。

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このコラムの執筆者

小須田 徹

株式会社Fan IFA

プライマリー・プライベートバンカー(日本証券アナリスト協会認定) 関西学院大学卒。政府系金融機関勤務を経てIFAに転身。東京丸の内店に在籍。日本人の金融リテラシー向上に寄与すべく活動中。投資初心者の若い世代から退職世代の方まで、幅広い年齢層のお客様の金融コンサルティングを行う。

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